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第1分科会第1次提言(緊急提言)(2002年11月5日)
作成・発信部署:企画部 企画経営課
公開日:2007年4月10日 最終更新日:2009年3月27日
三鷹市まちづくり研究所第1分科会(第1次提言)
平成14年11月5日
第1分科会委員
- 中村 陽一(座長)
- 新津 晃一(副座長)
- 清原 慶子
- 西尾 隆
- 加藤 敏春
- 田尻 佳史
- 正満 たつる子
- 東出 吉弘
- 樋上 寛
- 宮川 齊
三鷹市まちづくり研究所第1分科会(第1次提言)
「市民協働センターのあり方について」
1 提言の目的
平成14年4月に設置した、まちづくり研究所第1分科会では、「新しい協働型社会のあり方について」を研究テーマとし、月1回の調査・検討を重ねてきた。
三鷹市は、昭和40年代からコミュニティ行政を展開し、近年は、公園整備や学校建て替えでのワークショップの採用、計画策定における白紙からの市民参加など、市民と行政との協働のまちづくりを推進している。
本分科会では、これらの実績と現状を検証する中で、新しい協働型社会のあり方について調査・研究を進めてきたが、中でも早急に具体的な計画を立案すべき緊急課題として「市民協働センターのあり方」について集中的に議論してきた。
ここに、第3次三鷹市基本計画における最重点プロジェクト「ともに信頼し責任を担う、協働のまちづくりプロジェクト」を具体化する一つのコア機能として、三鷹らしい市民協働センターのあり方を提言する。
2 提言の背景と理念
(1)三鷹市における市民活動の現状
三鷹市には、住民協議会を中心としたコミュニティ活動の蓄積があり、多くのボランティアグループも活発に活動している。また、NPO法人(特定非営利活動法人)も増え続けており、任意団体を含む地域活動型のNPO等(注1)も活躍している。
これらのグループは、独自の個性的な活動を行っているが、運営等において共通の悩みを抱える場合も多く、事業展開における他団体との連携や情報交換・交流の場の提供など、協働のまちづくりに向けたコーディネート機能が求められている。
(注1) NPO等とは、NPO法人だけでなく、法人格をもたない市民活動団体を含む。
(2)市民プラン21会議の提言からのスタート
みたか市民プラン21会議は、平成12年10月に市長へ提出した提言の中で、「NPO等市民活動支援センター(仮称)の整備」を掲げている。この提言は、その後、市との意見交換を重ね、平成13年11月に確定した第3次三鷹市基本計画において、「市民協働センター(仮称)の設置・運営に関する検討」が主要事業として位置づけられた。
この市民協働センター(仮称)は、市民プラン21会議の提言の趣旨である、「従来のNPO支援センター的な機能だけでなく、市民と行政との協働のまちづくりを実現するための機能」を理念としたものである。
すなわち、まちづくりにおける計画(Plan)、実行(Do)、検証評価(Check)、見直し・改善(Action)のPDCAを中心としたサイクル全てにおいて、市民が協働のまちづくりの担い手として活動するための推進機能を持ち、そのための体制が整備されたセンターをイメージしたものである。
3 市民協働センターの基本的な機能
市民協働センターは、これまで行政が主として担ってきた公共の分野を、市民・NPO等や民間事業者が協働の主体となり、新たに市民公益分野として登場しつつある活動領域も視野に収めて進めるという「新しい公共」のあり方を推進していくセンターである。
このセンターには、各地域が主舞台であるまちづくりをサポートするための基本的な機能として、市民参加の窓口機能、NPO等への活動支援機能、交流や情報提供機能など、次のような特色を持つことが望まれる。
(1)まちづくりにおける市民参加の窓口機能
市民と行政との協働のまちづくりを実現するためには、単に計画策定への市民参加に留まらず、まちづくりにおけるPDCAを中心としたサイクル全てにおいて、市民が主体的に関わることが重要である。
そのためには、まちづくりにおける調査・研究、計画策定(見直し)への提案、市民の主体的な活動による実行、計画(施策)の評価・改善、というサイクルを市民自らが行なうための側面的支援として、その窓口機能(関連NPO等との調整・市との連絡調整等)を担うことが必要である。
(2)「新しい公共」分野における協働推進機能
前述の「新しい公共」のあり方を進めるため、市民・NPO等が市に対して行なう企画提案をサポートしたり、市が公募するボランティアや協働によるまちづくりの提案のコーディネートを市民の視点に立って行なう。
(3)NPO等への活動支援機能
協働の担い手として期待されているNPO等の活動を支援するとともに、NPO(法人)設立におけるサポートを行う。
- NPO(法人)設立のための相談・助言機能
- コミュニティ・ビジネスに対する相談・助言
- 地域通貨の導入支援に関する事務
- 住民協議会の活動との連携
- 市民活動団体の運営に対するサポート
- 行政との協働事業の窓口(提案事業の相談等)
- 地域資源の発掘・開発・仲介機能
(4)市民活動への場の提供と交流機能
市民活動を行う人たちの交流の場を確保するため、ボランティア団体、NPO、個人などの交流拠点(サロン)を設置する。また、NPO等が抱える大きな課題として「場」の確保があり、事務処理ができる場所や機器利用等のサポートのあり方を検討する。
- NPO等に対する交流拠点(サロン)や場所・施設・機材の提供
- 市民・NPO等との交流事業の実施及びコーディネート
(5)情報交流機能
地域や行政、グループなどの情報を積極的に収集し、自由にその情報にふれ活用できるような仕組みづくりを行う。
- 個別の相談や企画の提案等に対して情報提供を行うとともに、紹介・仲介する機能
- 市民、住民協議会やNPOなど各団体等とのネットワークを広げ、活動の連携を図る。
- 市民会議や学習会の企画・実施
- 地域や諸活動の情報収集・提供・発信機能
4 あるべき運営の方向性
市民協働センターが効率的・効果的に運営されるためには、市民の利用状況やニーズなどのデータの蓄積が必要である。また、はじめから固定的なあり方を示すのではなく、活動のなかで柔軟に対応し改善していくことも必要である。そのためには、期間を限定したうえで、次の内容で、試行的な設置・運営からスタートし、成果の検証、見直しを図るなかで改善を行い、運営体制を整備していく必要がある。
(1)公設協働運営方式の採用
運営主体は、センターの機能の特徴を考慮し、市民と市との協働による公設協働運営を目指すべきである。また、住民協議会をはじめ、地元で活躍するNPO、ボランティア団体や個人等の活動の自主性・主体性を尊重しながら、それらと連携し総合的な支援の役割を担う体制を整備する必要がある。そのためには、事務局機能の強化が特に重要である。
(2)運営委員会の設置
市民・NPO等・学識者などの参加による「運営委員会」を設置し、機関決定が出来るようにする。また、将来的な運営委員会のあり方についても検討を進めていく。
(3)実証実験としての取組み
市民協働センターの運営については、はじめから固定的なあり方を示すのではなく、例えば3年間等の期間を限定した試行的な設置・運営からスタートすべきである。
この試行期間中は、市が主体となって「運営委員会」を設置し、事務局を担うことが考えられる。ここでは、市民・学識者・NPO等との協議を行ない方針を決定していく。また、一定期間ごとに構成メンバーや組織の見直しを行なうなどメンバーの固定化を避けるべきである。
この実証実験では、「運営委員会」の方式や必要な支援についても、さらに調査・検討を進める必要性がある。あわせて、人材の確保と継続性、また運営費の確保の課題を協働運営の中でどう具体化していくかを実証期間中に十分に検証していくことが必要である。
5 市民協働センターの留意点
(1)将来的な市民協働センターのあり方の検討
実証実験終了後に、その検証結果をふまえ、新たな協働センターを再スタートすることとするが、特に運営については、事務局(機能、構成メンバーなど)のあり方及び運営費用等の研究を進めていくべきである。
(2)ボランティアセンター等との役割分担
ボランティアセンターや同様の活動を行なっている組織との役割分担を明確にし、あわせて連携を進めることが必要である。
(3)住民協議会との連携
三鷹市のまちづくりに大きく係わり、地域の担い手となっている住民協議会の活動との連携が重要である。
(4)自主財源の確保等
市民協働センターの運営や市民活動団体への支援においては、その財源として、市民活動支援ファンドの創設や寄付金等の活用を検討するべきである。
- まちづくり研究所の今後の進め方について
- 市民協働センターの具体的な運営方法等について、さらに集中的な議論を行うため、第1分科会に「市民協働センターの運営について」と「地域通貨の導入に向けた支援について」のワーキンググループを設置し、検討を進めていくことが必要である。
- また、市民協働センターの運営においては、市と市民・団体等とのまちづくりに向けた協働の内容を整備する必要があり、制度的な研究も進めるべきである。
- なお、まちづくり研究所のあり方については、市民協働センターの具体的な運営方法等を検討する中で、市民協働センターが運営することを視野に、議論を進めて行きたい。
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