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まちづくりシンポジウム(第1回)基調講演(1)

作成・発信部署:企画部 企画経営課

公開日:2005年4月6日 最終更新日:2012年10月5日

三鷹市における地域ケア~地域連携・協力による自立支援~

  • 日時:平成16年7月17日(土)午後2時~4時
  • 会場:三鷹産業プラザ701・702会議室

出席者(敬称省略)

開催挨拶

清原慶子(三鷹市長)

基調講演

市川一宏(ルーテル学院大学学長)

司会

小林裕(三鷹市企画部調整担当部長)

○ 三鷹市企画部調整担当部長 小林裕

皆さん、こんにちは。今日は本当に暑い中、お集まり頂いてありがとうございます。只今からこちらにありますとおり、「第一回まちづくりシンポジウム」ということで、本日は三鷹市における地域ケアをテーマに、シンポジウムを開催致します。
この催しについて若干ご説明を申し上げます。今三鷹市では、第3次基本計画の改定を進めておりまして、皆さんのお手元のペーパーの中に、このような「第3次三鷹市基本計画改定に関する基本的方向」というものがあるかと思います。このような形で改定に向けた一定の方向をお示ししております。その中で「地域ケア」、それから「ネットワーク大学」、「安全・安心」、「教育・子育て」ということで、4つのテーマについてシンポジウムを連続して開催をして参ります。それから、今回新しい試みと致しまして、シンポジウムを撮影致しまして、それをインターネットでご覧頂いて、さらにそのインターネットを通じて広く市民の方々にもご参加頂けるシステムを導入しております。従いまして本日のシンポジウムは撮影をさせて頂いておりますので、ご了承頂きたいと思います。それとその関係で大変恐縮ではございますが、携帯電話をお持ちの方はオフにされるか、もしくはマナーモードにして頂ければと思います。よろしくお願い致します。
それでは本日は暑い中、2時間にわたりまして地域ケアについて、色々とこれからの課題、大きなテーマとなりますけれども、ぜひ皆さんゆっくり聞いて頂いて、ご参考にして頂きたいと思います。それから、ぜひ地域ケアに関して、またその他でも結構でございますので、基本計画の改定に向けてご意見を頂きたいと思います。また、色々な形でお受けしておりますので、是非ご意見を賜りたいと思います。よろしくお願い致します。
それでは開会に先立ちまして、清原慶子三鷹市長よりご挨拶を申し上げます。

○ 三鷹市長 清原慶子

皆様こんにちは。三鷹市長の清原慶子でございます。本日も大変暑さの続く中、皆様ご多忙にも関わらず、「第1回まちづくりシンポジウム」にお集まり頂きまして、どうもありがとうございます。
三鷹市では今年度、3つの改革の柱を立てております。1つは「第3次基本計画」の改定、そして2つめは「行財政改革アクションプラン2010」の策定、そして3番目は「自治基本条例」の条例案作成ということになっております。今日お集まり頂きましたのは、この1番目の改革の柱であります「第3次基本計画」の改定に際しまして、現状をしっかりと捉え直し、改めて新たな課題を発見し、選択と集中した取り組みを進めていくためのシンポジウムということになります。そして、市民の皆様にも情報を得ていただき、ご意見をいただきながら、望ましい見直しのあり方を模索する重要なテーマの1つとして、「地域ケア」の問題を掲げたということになります。
三鷹市は幸いなことに、とりわけ男性市民の皆様の長寿が、全国の市の中でも一番というような統計的なデータが出ておりますし、障害のある人、ない人に関わらず市民の皆様が共に支えあって生きる、そうしたまちづくりをしてきた力強い経験を持った市でございます。だからこそ、さらに私達が人生80~90年時代を迎えて、よりいきいきと、それぞれが自分達の能力を発揮しながら、このまち・三鷹で元気に生き続けることができる為に、どのような取り組みを市が、あるいは市民が、さらには事業者がしていったらいいのか。そのことを「地域ケアの推進」という共通テーマに絞り込んで検討をしたいと考えております。なお、平成16年度(2004年度)の重点課題の1つに、この「地域ケアの推進」と「安全・安心のまちづくり」を加えさせて頂いていますので、今後、「安全・安心のまちづくり」についてのシンポジウムを予定しています。
本日は幸いにも市内のルーテル学院大学学長の市川一宏先生に講師をお引き受けいただいています。地域福祉・高齢者福祉を政策の観点から研究されている、日本でも第一人者の研究者でいらっしゃいますが、基調講演を快くお引き受け下さいました。実は昨年、健康福祉審議会で「老人憲章」を「高齢者憲章」に改める、その作業をして頂く専門委員会の委員長も務めて下さいました。全国的な視点、世界的な視点のみならず、三鷹市の高齢者・障害者の実情もよくご存知の研究者でいらっしゃいますので、その基調講演をふまえて、後程のパネルディスカッションで深めて頂くことになります。
パネルディスカッションにつきましては、三鷹市の実情を調査に基づいて大変良く知って下さっている、桜美林大学大学院教授の杉澤先生にコーディネーターをお願いしました。研究者の立場からは、日本女子大学の中谷先生。そして地域で高齢者見守りの実践をして下さっている、ほのぼのネットの島野さんには市民の視点からお願いしました。
そして三鷹市役所の高齢者支援室長の宿利室長には、行政の視点から、といいうように、皆さんに思う存分に語り合って頂きたいと思っております。
私はこうした取り組みをこの会場にお集まりの皆様だけではなく、さらに幅広く市民の方に知って頂く新しいITを使った取り組みも、このシンポジウムを皮切りにスタートさせたいと思っております。今日ご参加の皆様、是非この場で大いに学び取って頂き、問題意識を高めて頂き、日頃のご考察を深めて頂くとともに、職場で、家庭で、あるいはご近所で、こうした取り組みに関してご意見をさらに出して頂くようにご紹介を頂ければ心強いと思います。
私達が本当にそれぞれの人生をいきいきと、このまち・三鷹で輝かせることが出来ますために、このシンポジウムの意義を共有して頂き、参加者の皆様お一人、お一人の本当に心からのご参画をお願い致しまして、私からのご挨拶とさせて頂きます。
本日はどうもありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。

○ 小林

ありがとうございました。本日、今市長からお話がありましたとおり、基調講演、それからパネルディスカッションと2部構成になっております。お手元に質問票も用意しておりますので、最後にご質問のコーナーがございます。よろしければ、何かご質問事項がございましたら、ご記入をお願いしたいと思います。
それでは基調講演を始めさせて頂きたいと思います。今ご紹介にありましたとおり、ルーテル学院大学の学長であられます、市川一宏先生。三鷹市の福祉政策につきましては、色々な形でご尽力を頂いております。ご紹介ありましたとおり、お手元に「みたか高齢者憲章」があろうかと思います。この専門委員の委員長も務めて頂いております。地域ケアについて広い視点からお話を頂きたいと思います。それでは市川先生、お願い致します。

○ ルーテル学院大学学長 市川一宏

市川でございます。私は三鷹市における社会福祉に関わらせて頂き、また市民の方々と一緒に社会福祉のあり方を考えさせていただき、30年近くたつのでしょうか。そのような意味では、私の出発点は三鷹でございます。そして市民の方々や、行政、社協、社会福祉法人の関係者の方々に育てていただいたと思っています。

今日の地域福祉問題の一つは、孤立

(1)物理的孤立

さて、直面する地域福祉問題。皆さんどのように考えていらっしゃるでしょうか。最近、児童虐待、高齢者虐待、DV等の、虐待をめぐる事件報道や、対応、予防に関する議論が盛んになされております。私はそれらを引き起こす大きな要因は孤立であると考えております。孤立は、その要因から分類できます。1つは物理的孤立です。道路の段差や狭さ、交通の不便さ等から外に出られない。東北に行きますと、玄関先から道路に至る、その庭のところに雪が積もっておりますと外に出られません。まさに孤立が生まれるわけでございます。しかし、東北の各地はスノーバスターズという活動が盛んにされております。スノーバスターズとは、映画でヒットしたゴーストバスターズをもじったものです。ゴースト、すなわち幽霊をスノーに置き変えたボランティアが青少年世代を含めて動いております。
そして非常に心強いことは、「雪かきは大変です。しかしみんなが共同して、必要なところに取り組んでいく。まさにそれはまちづくりです。」という活動者の方々の信念です。厳しい雪をみんなで片付けないと、その人は孤立していく。だからまさに、まちづくりをみんなでする。困難がある意味での強み、目標になっているわけでございます。

(2)精神的孤立

また、物理的孤立の他に、精神的孤立を指摘したいと思います。また最近の問題として、いいサービスがあってもその情報が必要としている人に届かないという、情報の孤立。つまり情報が届いておらず、その結果頻繁に起こるのは、例えば母子家庭で母親が餓死し、乳児も結果として餓死せざるをえなかったという悲劇が起こっている。相談できる機関や場所、そして提供できるサービスに関する情報が届いていれば、この悲劇を防ぐことができたかもしれない。なお、情報の孤立は、本人自身だけが生み出すものではない。サービスの利用情報が届いていても、世間体というものが実際の利用を妨げる。つまりサービスを利用すると周りの冷たい目が気になる。他の人がどう思うか考える。すなわち、情報が適切に活用され、必要なサービスを利用して自立した生活ができるように、住民や地域社会の理解が問われるわけでございます。

(3)情報の孤立

高齢・障害者の方々にサービスに関する情報が届いていますか。必要な情報が届いていますか。情報を届けるシステムとともに、その情報は、当事者に分かる内容ですか。届いても、理解できない情報はゴミ箱行きになります。必要な人に、通常の広報だけでなく、住民の声、民生児童委員の手、専門職の足を通して届ける多様なシステムを確保し、当事者の視点に立った分かりやすい情報がつくられることが不可欠です。

(4)孤立が生み出す虐待

そして、孤立は虐待と結びつく、いや孤立が虐待を生み出す大きな要因であると私は思っております。地域住民との交流がある、ほっとできるところが地域にある、様々な悩みを聞いてくれる人がいる、また専門職のアドバイスも日常的に受けている状態を、孤立とは言わないし、また虐待が起きる危険性は格段と低いと思います。家庭のなかにいつも隠され、地域社会との関わりを閉ざしたなかで、悲惨な虐待が生まれ、深刻化していくわけでございます。そして、虐待を起こす背景は、日本文化のなかもある。身内が高齢者の介護をすべきである。介護も養育も「すべき論」が先行する。しかし、実態とギャップがある場合には介護地獄へと突き進んでいく。大切なことは、「すべき論」で語るのではなく、どうしたらいい介護が出来るのか、どうしたらいい養育ができるのかということを専門職はもちろん、地域で考え、風通しのいい家庭、そして地域との関係付けをしていくこと。
私はそのことが虐待を防ぐ第一歩になると思っているわけでございます。また近年、子供を育てる母親の活動が活発になっている。そして、これを支援するということは、何から何まですべてを準備しなくても、その人に必要とされることはなんなのかということを理解できればできること。子供を預かる場、必要な情報を提供する場、自由に活動できる場等の、場が確保されれば、本人たちで自主的に動いていく実績ももっていると思います。
当事者の能力を活用してもらうことを支援することが重要なことでしょう。

地域にあるとまり木=ほのぼのネット・新たな出会いの場

家庭と職場、学校のほか、地域に、もしくは広く社会に安心してくつろげる場があることが大切であると思います。その一つが、三鷹で言う「ほのぼのネット」。また全国では「ふれあいいきいきサロン」とも言い、その活動は、急激に増加しています。同サロンとは、高齢者や障害者、そして乳飲み子をもつ親が自由に立ち寄って、食事をしたり、クラブ活動をしたり、よもやま話に花を咲かせたりといったサロン活動です。保健婦さんに来てもらえれば健康チェックや健康相談を受けられますし、近隣の施設職員が来て体操ができれば、ミニデイにもなります。これは、孤立予防だけでなく、老化を遅らせたり、ぼけ防止、ねたきり予防にもなります。何気ない会話の場、交流の場が地域にあるのか。実はそのようなとまり木が増えると、介護保険料は減るというように私はあるリハビリの大家から聞きました。ちょっとしたとまり木があることにより、閉じこもりを減らし、かつ人生が豊かになっていくと思うわけでございます。

児童・青少年の活躍の場を地域に、社会に

また私は、児童・青少年が直面している問題の深刻さに、どのように対応すべきか悩んでいます。子供のとまり木、特に青少年のとまり木が、地域や社会にとても少ないという現状に私は気がつかされます。子供たちのとまり木は、コンビニエンスストアの前なのでしょうか。どこが彼らのとまり木なのでしょうか。児童館に高校生が行けますか。渋谷の計画を立てておりまして、どうしても難しかったのは、渋谷のセンター街にたくさんの青少年が22時以降集まってくるのです。そのような場は、吉祥寺にもあると思います。では、そこで起こる問題は、渋谷区だけの問題なのかという議論が出たのです。なぜならば、渋谷に来る子供たちの中で渋谷の住民は少ないのです。全国から来て、子供たちがとまり木を求めてさまよっている。そして、その街の通りは、一歩間違えれば奈落の底に続いて行く。そして医者たちは個人的に、クラブですとか、集まりやすい場に出かけていった、相談にのっている。健康の相談にのる人もいます。しかし、思いはみんなもっているのですが、ネットワークがなかなか組みにくいのです。地域の問題は、地域住民の問題であるとともに、地域で起こっている問題。これにどう真向かうか。それが子供の援助、子供たちがアイデンティティをもてる場作りということに行き着くのではないかと思います。ちなみに子育てのサロンと同様に、相手の主体性を引っ張り出して、彼らの思考で進めていくというような関わりが私はとても大事だと思います。お膳立てを最小限に減らし、計画の当初から、全部彼ら自身が参加して作り出していく。そのような関わりを三鷹もしてきましたし、私はこのような関わりがとても大事だろうと思います。彼らは受けるのではなく、自分で担う。そこには、自己実現という人生の命題が見え隠れします。
しかし、私には確信があります。三鷹市高齢者憲章の作成に関わらせていただきました。
そこで、市長、健康福祉部長にお願いして、パブリックコメントを小学校・中学校・高校から取りました。つまり、児童、青少年の眼で、評価をしてもらおうと考えたからです。憲章に対するどのような意見がでるのか、一抹の不安がありましたが、彼らの発言は実に理論的、かつ積極的なものでした。なかなか説得力がある発言でした。彼らからは、子供たちは高齢者との交流がしたい、色々なところで出会いたい、自分たちと共に歩めることは何なのかと提案してきました。私はその時に1つの勇気が与えられたわけでございます。

新たな地域ケアの創造

新たな地域ケアの創造ということで、少しお話していきたいと思います。一番に私は「施設入所中心から在宅福祉サービスへ」と書きました。ちなみに私が福祉領域で働きたいと思った大きな動機は何かと言いますと、18歳の時にたまたま友人の代わりに知的障害児施設大島藤倉学園に行ったことでございます。当時、法学部で司法試験の勉強をしておりました。1年の夏休みにある友人が「俺が急に行けなくなったので、代わりに行ってもらえないか」と言われ、子供たちと出会って、自分の人生の道が変わったと思っております子供たちは、全国各地から大島の知的障害施設に来て、生涯を終えると、施設内の墓に葬られる。送り込まれた施設で、人生のすべてが完結してしまっている。このような歴史的事実に、根本的な問いかけがなされているのです。隔離施設ではないのかと。

(1)地域にある施設

施設中心主義から在宅福祉・地域のケアへと移っていく過程で、施設自体の役割も変わってきている。あとで中谷さんがこの部分をおっしゃって頂けると思いますが、ここでは、私はポイントを申します。施設の中だけで利用者の生活が完結するケアは、ある意味での貧弱なケアだと思っております。例えば一番悪いケアは何かと言いますと、寝るところと食べるところと排出するところが同じ。これを寝たきり・寝かせきりと言います。これはケアの質の非常に低い状況であると私は認識しています。ちょっと外に行ける、また地域住民と交流があることを利用者の「生活の社会化」と言い、尊重されるべきことだと思います。また施設の運営に地域住民が関わり、バザーを共催し、様々な催しものに住民が参加する。さらに運営に関わる委員会に住民が出席する。様々な形で施設と住民との接点があることを、「運営の社会化」とも言いますが、まさにそれが地域にある施設の1つの特徴であると認識しているわけでございます。それとともに施設は様々な機能を持っておりますから、私はその機能を住民が利用できるシステムを作ることも必要だろうと思っております。その典型がデイサービス、ショートステイではないでしょうか。デイサービスは従来施設にあった機能を、必要とする地域住民が利用できるシステムにしたところから始まりました。また20年前からある老人ホームでは、入所者も参加できるように、ホーム内に老人大学を作っておりまして、地域の方もそこを利用していたというケ実績もあります。
つまりそこにある専門職やそこにある機能を、地域で活用してもらうという「機能の社会化」が主流になっています。さらに4番目は施設が直面している「課題を共有化」していくということの大事さを私は思うわけでございます。入所施設、通所施設を問わず、それぞれが生活問題に直面した方々に対応する第一線の場になっています。老々介護、児童虐待等々の問題に、そこで働く職員たちは直面し、解決策を模索しています。このような問題があっても、施設の中だけで議論するのではなくて、地域で起こった問題であるわけですから、社会に喚起し、住民、関係者、行政、利用者本人とともに、課題を共有化していけるような、そして受け止めあって話し合っていけるような関わりが、必要であると考えております。

(2)サービス・活動の担い手の多様化の功罪

私は福祉サービス・活動の担い手が多様化したということが、今日の社会福祉のとても大きな特徴であるかと思います。ある意味で親族と行政、社会福祉法人が担い手であった時代から、NPO、ボランティア、営利セクターも加わった時代へと移行した。サービスの担い手を広げるためには、また競争による質の確保を図るという目標のためには、必然的な動向であったと思っています。しかし、私は課題を2点申し上げたいと思います。課題ということでございます。1点は誰が最後の拠り所、責任主体になるかが曖昧になってきているのではないかということでございます。たくさんの担い手がいますと、誰が最後まで支えてくれるのかということが、かなり曖昧になってきている。三鷹ではこのようなことは問題になっていないと思いますが、ある地域では、「介護保険ですから、行政は関わりません」という、行政の新しい役割に対して検討しない。実際に起こったことですが、高齢で痴呆の一人暮らしの方の家が焼け落ちた。以前は誰かが心配して駆けつけていたのですが、誰も駆けつけなかった。ケアマネージャーに聞いたら、「私はケアプランを立てるだけですから」。ではそのような状況にあった場合に、誰が最後の安全網になりますか。誰が最後のゴールキーパーになりますかということが、不明確になっているのではないかということを感じるわけでございます。担い手が多様化したことのマイナス面はまずそこにあると思います。
そして、様々な担い手が登場している現在、私はそれぞれの組織、担い手の強みと弱みを確認しておくことが大事だと思います。確かに住民の見守りはとても大事です。例えば一軒の家を考えて、ヘルパーや訪問看護婦が訪問する。また自宅からセンターに通うデイサービスがある。ところがその玄関先の活動、すなわち見守りやちょっとした声かけといった日常的なサービスが不十分。介護保険にそのサービスを組み入れたら、保険料は膨大なものになるでしょう。まさに住民等が主体となって関わるわけでございます。玄関から中に入らなくても、夜に電気がついているかちょっと確認したり、玄関先の活動というそのような活動が合わさって地域ケアになるのではないかと私は思います。住民のサロンもそうでございます。ただそこで大事なことは何のかというと、その活動には、自ずと限界がある。安否確認や状態の変化のキャッチをすべて住民に任せるというのは、サービスの担い手・専門家の怠慢でございます。何が出来て、何が出来ないのかという役割の共通認識・確認が地域ケアには必要だと私は思っているわけでございます。
民生委員の一部の方を「眠生委員」と言ったことがありました。でも私は長年民生委員の方とお付き合いをしていて、そのような気持ちになることが分かるのです。近所に住んでいるので、何かというと問い合わせがある。仕事とプライベートの区別が付きにくい。
民生委員はボランティアです。あまりに多くを期待すると燃え尽きるのです。何をしたらいいのか、どこまでしたらいいのかということが分からないと、燃え尽きるのです。だから私は、それぞれの役割を、それぞれが確認していく。担い手やサービスが多様になったからといって、ネットワークがとれていない場合には、これは地域ケアにならないし、ある意味での多様化は無責任時代をもたらすと思うわけでございます。

第1回まちづくりシンポジウム基調講演(2)へ続く

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