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フォーラム講演録(3)

作成・発信部署:企画部 企画経営課

公開日:2008年7月2日 最終更新日:2009年3月27日

三鷹市自治基本条例は、平成18年4月1日に施行されました。このページは、制定経過の記録です。
フォーラム「講演録」(2)からの続き

4 まちづくり研究所第2分科会市民研究員の発表

中嶌いづみ まちづくり研究所第2分科会市民研究員
(「自治基本条例をつくるみたか市民の会」、月刊「地方自治職員研修」編集長)

 私は三鷹市の中原というところに住んでおり、今日は市民研究員として発表をさせていただきます。私は第2分科会には、「自治基本条例を作るみたか市民の会」の推薦枠の一人として参加をさせていただきました。報告書をめくりますと、会場にいらっしゃるメンバーの方達と熱い議論を戦わせてきたことが思い出され、感慨深いのですが、今日は内容よりもなぜ私がまち研に参加をし、どういう気持ちで議論してきたかについてお話をします。

 自治基本条例をつくるみたか市民の会は、20人ほどの自主的な市民グループです。みたか市民プラン21会議は、基本計画が策定された段階で解散しましたが、市民として計画を提言するだけではなく、その実施にも市民が関わっていくべきであるということで2001年10月ぐらいから市民の会を発足させ、自治基本条例についての勉強を進めてきました。その後、市の第2分科会発足にあたり、先行して、熱意を持って自治基本条例の研究を進めている市民グループがあるということで、市民の会から市民研究員として3人推薦してほしいとの依頼が市からあり、私はそのうちの一人の市民研究員として参加しました。

 第2分科会の中では、市民の会の自治基本条例案について説明をしたり、市民の会の意見を述べるところで、3人がそれぞれが個人としての意見を述べてきました。第2分科会では、いろいろな意見をお持ちの方が集まり、いろんなやりとりがあり、意見が対立したこともしばしばありましたが、その反映として本日の報告書には少数の意見も付される形になっています。また、市民の会でも、意見はかなり多様に分かれています。しかしながら、自治基本条例は市と市民の間の約束であり、三鷹市の行政がこうあってほしい、私達の三鷹市がこうあってほしいという思いを実現していくための重要な手段である。そのための条例だという思いは共通しておりまして、それを第2分科会の中でも大いに伝えてきたつもりです。そうした観点から、基調講演をされた西尾勝先生に対しても、市民として反対意見を堂々と言ってきた、実際はおずおずと言ってきたのですが、言えたというのが良かったと思います。他のメンバーの皆さんも大いに議論されたところです。

 また西尾勝先生は、地方制度調査会などの激務の間でも第2分科会を一度も欠席されず、西尾隆先生と協力されてよく議論をおまとめいただいたことに感謝しています。こうした形での報告書がまとまりましたので、これからは市民と議会の出番だと思っています。この報告書はたたき台であって、できるだけ多くの市民の意見を反映していく必要があると思います。これから市民の力をつくし、また議会も充実した議論をつくしていただき、三鷹市にふさわしい自治基本条例を作っていきたいと思っています。

5 質疑・応答

Q1.

条例を憲法として位置づけることにより、他の条例との格差が必要と思う。そのひとつに、条例の改正手続として住民投票を行うとか、特別多数の議決にするなどを条例上明記しておくことが必要ではないでしょうか。今回の案でその旨が扱われていないのは、国の法令上抵触するとの考えに基づくものでしょうか。

A.西尾 勝 座長

 自治基本条例が最高規範であることを明確にするために、制定手続や改正手続の点で他の条例とは違う、より重い手続にしておくという考え方は十分ありえますが、そのことが国の法令に抵触する、違反するおそれがあるから今回の提言に盛り込まなかったのではありません。自治基本条例については、先進的な自治体での実験が次々と始まったばかりで、中身も固まってはいない段階です。三鷹で自治基本条例をつくるときも、例えば議会での特別多数の議決とするとか、あるいは住民投票にかけて制定や改正を行うことも十分ありえますが、そこまで今から決めてしまうのはどうかと考えただけです。

 要するに、法令上抵触するという考えに基づいてそれを避けたわけでなく、まだ試みの段階なので、あまり堅い手続にしてしまうことは適当でないという慎重さが現れているとお考えいただければと思います。

Q2.

住民投票資格を18才以上としたのはなぜでしょうか。17才や16才以上という議論はなかったのでしょうか。

A.西尾 隆 座長代行

 私の記憶では17才や16才以上を強く主張した方は第2分科会にはいませんでした。国際的に見ると、選挙権が20才というのは少数であり、18才ぐらいが平均で、グローバルスタンダードになっているということで、住民投票資格を18才以上にすることは自然に決まり、あまり議論がありませんでした。いずれ国政選挙でも、選挙権は18才にする必要があるのではないか、そのような問題提起も含んでいると思っています。

Q3.

自治基本条例を制定するときに、地域住民というときも、現実としてその制定に関わっていない住民が多く、彼らをどういう理論でどのように拘束することになるとお考えですか。

A.西尾 勝 座長

 日本国憲法の場合だと、「国民の権利及び義務」という章がありまして、権利についてたくさんのことを定めていると同時に、義務についても定めています。三鷹が今考えている自治基本条例では、新たに住民になにか公的な義務を課すような条項を置いてはいません。そういう意味で住民を拘束するというようなものが新しく出てくるとは私達は考えていません。ただ、三鷹の自治の仕組みをこうしていきたいというのが書いてあるわけですから、これからこの通りに三鷹市の自治の仕組みが発展していくとすれば、そういう仕組みの中で暮らさなければならない。そのような広い意味でいえば住民はそれに縛られていくことになるかもしれないが、私たちとしても、それはよりよい仕組みにしていこうと思っているわけなので、よりよい仕組みに市民は協力してくれるのではないかと思っていますから、拘束しているという感覚はあまり我々の中にはなかったと思います。

Q4.

市民の権利の主張とともに、発生する市民の義務、または責任についてはどのように規定されるのでしょうか。また市民間の意見や利害の調整をはかるシステムの必要性についてどのように考えられますか。

A.中嶌いづみ 委員

 最初の市民の権利とともに発生する市民の義務ということについては、分科会の議論の中では、参加については権利であって義務ではないという意見でした。また市民の義務についても、「市民と市民自治」のところで「受益と負担」について触れていますが、義務として書き込んでいるところは非常に少ないと思います。ただ、市民がどんどん参加していくべきだということを、義務として書き込むような内容のものを考えられるのではないかと個人的には思っています。

 それから2番目の市民意見の調整をはかるシステムについては、分科会の方でもそのような議論はなかったと思います。三鷹市では計画ごとのプロジェクトといった形で、市民の意見の調整をはかるシステムも設けています。市民間の意見の調整については、議会が担っていくというのが、本来的な議会の役割であると思っています。

Q5.

既に多数の自治体で自治基本条例が制定されていますが、抽象的な規定なので、宣言に終わってしまうのではないかと心配しています。これらの自治基本条例がどのような効果を発揮していると思いますか。

A.西尾 勝 座長

 第一号の北海道ニセコ町のまちづくり基本条例が制定されたのが2000年、施行されたのが2001年ですから、それからまだ一番早い自治体でさえ丸3年しか経っていません。自治基本条例が制定された結果、どのような効果を生んだのかということは、まだ確認するには早すぎる段階だと思います。その後出てきたものを見ても、かなり抽象的なことを書いているものが多い。あるいは法令とか条例に決まっていることを書いているものも結構あります。

 せっかく作るのならば、実際上の意味を発揮するものにしたいというのは、第2分科会で議論してきたときに終始みんなが考えていたことです。ここの報告書に書かれている案はかなり抽象度が高い、当たり前のことしか書いていないという風に思えるかもしれませんが、他の市町村が今まで考えてきたものより相当踏み込んだものになっていると思います。自治基本条例ができたときは、新しい条例を整備する必要があるものもあり、私はそういう意味で、三鷹の基本条例が実際的な効果を発揮する意味での第一号になってほしいと思っています。

Q6.

自治基本条例におきましては、総合計画、特に議会の議決事項である基本構想との関係をどのように考えていますか。

A.西尾 隆 座長代行

 基本構想は議決事項で、基本計画というのは行政が策定するものです。自治基本条例との関係でいうと、基本条例は制度、舞台を決め、基本構想というのは、福祉、教育、都市づくりなどの政策、つまりそこで行われる芝居のシナリオのようなものを決める。そういう関係にあると思います。

 しかし基本構想は地方自治法上には書いてありますが、その策定の手続は、議会で議決することを除き、非常に重要であるにもかかわらず明記されておりません。この基本条例において、最低限こういう参加が必要であるというようなことを自治基本条例に書くことが必要であると考えています。

A.河村助役

 市民プラン21会議が、基本構想・基本計画策定に向けて、パートナーシップ協定を結ぶという新しい試みが行われましたが、次はどうなるのか、あるいは具体的に個々の政策が展開されていくときに、どのような手続が保障されていくのかという市民の皆さんの疑問、提言から今回の自治基本条例の策定が取り組まれました。

 そういう意味で自治基本条例は、重要な制度や仕組みを一定保障する、基本構想は政策の展開をある程度明確にしたものです。議会の議決を必要とするところでは同じですが、制度・仕組みの最高規範としての自治基本条例、政策である計画の中の一番の中心を定めるのが基本構想、これらが市政の両輪になっていくということが、自治基本条例が制定されれば明確になると思います。

Q7.

NPOや行政パートナーとしての市民も行政サービスを担う時代において、これだけは他に任せるわけにはいかない、行政の責任や専門性において実施しなければならない領域とはどのようなものでしょうか。

A.西尾 勝 座長

 志木市の行政パートナーみたいな形で、半分職員、半分市民みたいな人が出てきた場合、職員と同じことを行うのですから、情報の守秘義務など公務員に課せられた義務を負わないといけないのは当然のことであり、そういう制度にしなければなりません。

 また、市民の権利を制限する、市民に義務を課すような公権力の行使、そのような権力的な行政の場合には極めて慎重でなければならない。例えば、住民に税を課す、税額を決定するなど最後の判断をするときには、極めて慎重で合法的に行われないといけない。そういう国民の義務や権利の制限にわたることは、法令に忠実にきちんとやらないといけないということです。これは専門職員が担当すべきことで、行政パートナーのような人が手軽にできる事柄ではない。

 それから経理です。住民から納められた税金、公金を管理し、使っていくわけですから、経理上間違いを起こさないという最後のチェックをする人は、常勤職員でなければならないと思います。つまり、規制行政的なものはどうしても職員の手に残され、市民にサービスを提供するという部分ではかなり市民が提供者として関われるところがある。しかしそこでも公正に行われる必要があり、行政サービス・公共サービスは、同じ条件の人に対しては、誰にも等しくサービスが行き渡らなくてはならない。その公平性をきちんと担保する、最後のチェックをする人は専門的な職員でなければならないと思います。

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