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東京外かく環状道路計画に関する三鷹市の要望書 

作成・発信部署:都市再生部 まちづくり推進課

公開日:2009年3月24日 最終更新日:2014年4月25日

 国及び東京都において計画の具体化に向けた取り組みを進めている東京外かく環状道路(以下、「外環」)計画に関し三鷹市では、平成17年に公表された「東京外かく環状道路についての考え方」及び「計画概念図」に基づいて、地域に与える影響をはじめ、総合的に検討を進めてきました。
 国及び東京都によると、外環は首都圏の環状ネットワークを構築する上で、必要な三環状の一つであり、建設により大きな整備効果が期待できるとしています。しかしながら、三鷹市域では中央ジャンクションや東八インターチェンジ、更には換気所が計画されるなど、外環が三鷹地域へ与える影響は計り知れないものがあります。
国及び東京都は、今後都市計画(変更)や環境影響評価のプロセスを考えているとしていますが、市の将来都市像である「緑と水の公園都市」の実現に向けて、良好な住宅街の保全及び地域の環境保全を目指す観点から、周辺地域への影響や対応策について計画の具体化の中で、下記のとおり適切な対応をされるよう要望します。

第1 総括的要望

1 本市のまちづくりへの協力

 本市では、「三鷹市基本構想・基本計画」において、安全性や利便性、快適性などの視点から都市全体がうるおいをもった「緑と水の公園都市」として創造することにより、高環境のまちづくりを実現することを目指している。この理念は、個別計画である「土地利用総合計画」、「環境基本計画」及び「緑と水の基本計画」等にも一貫して流れている。国及び東京都には、三鷹市におけるこうしたまちづくりの基本的な理念を踏まえ、外環計画が及ぼす地域へのマイナス面の影響を極力回避するとともに、中央ジャンクションが計画されている地域を中心とする市のまちづくりへの全面的な協力を要請する。

2 都市計画の変更・環境影響評価段階での徹底検証

 国及び東京都は、今後都市計画(変更)や環境影響評価のプロセスを考えているとしているが、その中にあっては、本要望書に盛り込んだ外環及びその周辺整備に対する要望を最大限具体化する一方、影響に対する疑問や懸念に対し真摯に調査・検討を行うなど、本要望の内容につき徹底した検証を要請する。また、今後も引き続き、市と協働しながら計画の具体化を図り、住民への説明や意見聴取を図るなど、この段階での徹底した住民参加を要望する。

3 都市計画の決定に至る最終判断

 三鷹市としては、今後の協議・検討の成果を慎重に見極めつつ、市としての外環計画についての最終的な判断については、都市計画変更の決定に至る手続きの中で行っていくものとするが、国及び東京都においても、今後も「環境への影響が大きいと判断した場合は、計画を止めることもあり得る」としているように、都市計画の決定に至るまではこうした態度を堅持しながら、最大限慎重な取り組みを要望する。

第2 三鷹地域に係る要望

1 環境(自然環境・生活環境)対策

(1)環境アセスを通じた環境対策チェックの徹底

ア 環境対策の複数案検討と対策による効果の明確化

 環境影響評価にあたり、現況データ、交通量予測、環境予測等の公表については、客観性・透明性を確保するとともに、環境対策については、今後複数案を検討するとともに、対策に応じた効果について明らかにすること。また、これらのデータについては、最悪の状況を想定(交通量予測を例示すれば、時間別交通量やピーク交通量等)した数値もあわせて公表し、対策を講じること。

イ 深層地下水の水質汚濁と水枯れ防止策の実施

 本市の上水道事業については、水源の約6割を深層地下水によっており、地下水脈の保全に十分な対策を講じ、水質汚濁防止や水枯れ防止に万全を期すこと。

ウ 農作物への光害の影響検討

ジャンクション周辺の農作物への影響といった観点から、農作物への光害や大気汚染の影響についても検討すること。

(2)環境施設帯他の環境保全対策

 環境施設帯の設置については、幅員を20mとした整備効果について明らかにするとともに、環境施設帯の整備手法及びその利用方策について、十分市と協議すること。

(3)換気所施設の環境対策

ア 換気所の集中回避と施設の高度化・縮小化への努力

 地域にとっては迷惑施設ともいえる換気所については、市として設置を望まないが、技術的・構造上の必要性から設置する場合は、当該地域への集中を可能な限り避けるとともに、施設の高度化、縮小化等により地域への影響が最小限となるように努めること。

イ 換気所の安全性、騒音・振動、風害等の影響検討

 今後の環境アセスのプロセスの中で、換気所の安全性や運転騒音・振動の影響や、現在計画されている換気塔(高さ15m)の付近での予測数値を明らかにすること。また、影響の及ぶ周辺地域の環境基準が確保できるのかどうか、明らかにすること。更に、雨天時、強風時などに問題が発生しないのか、また換気所自体に起因する風害についても検討すること。

ウ 窒素酸化物・浮遊粒子状物質等削減のための最新技術の適用

換気所の機能については、吹き上げ拡散するのみならず、窒素酸化物及び浮遊粒子状物質等の削減に向けた技術開発の動向を踏まえ、最新技術を適用すること。

エ 景観等周辺環境に配慮した施設づくり

 換気所施設については、景観等周辺環境に配慮した施設とするほか、併設施設として地域へ貢献する機能付加を検討するなど、地元の迷惑施設とならぬよう最善の方策を検討すること。

(4)市民の安全・安心対策の実施(工事中・供用後共通事項)

ア ジャンクション周辺の生活道路分断や工事車両に対する安全・安心対策

 外環の建設には10年を要するとしており、これにより、中央ジャンクション周辺は、巨大な工事現場となり、生活道路の分断や工事車両の通行による市民の安全・安心対策が重要となることを踏まえ、万全の対策を検討すること。

イ 工事車両等の市内への流入対策

 一般道を利用する工事車両を削減するため、中央道に工事用仮設インターを設けるほか、市内への交通車両の流入量等の影響についても明らかにすること。

ウ 工事による環境に与える影響についての対策

 工事中の粉塵・騒音・振動・低周波音等の課題に対しても、十分な対策を示すこと。

2 道路・交通対策

(1)地下本線、ジャンクション及びインターチェンジ等の安全構造の確保

ア 災害時における構造物本体の安全性の明確化

 地下構造物である大深度トンネルや地上構造物であるジャンクション及びインターチェンジについては、地震時や水害時における構造物本体の安全性について、明らかにすること。

イ ジャンクション部の公園的空間の創出

 ジャンクション部の整備に当たっては、構造部の露出を可能な限り少なくし、緑で覆うなど、市の目指す「緑と水の公園都市」の都市整備の拠点としてふさわしい公園的空間の創出に努めること。

ウ ジャンクション部の防災拠点化や救急対応についての検討

 交通事故や車両火災時の対策設備や救急対応について、具体的なシミュレーションを示し市民の不安に応えるほか、ジャンクション部・換気所等を利用し、災害に備える防災拠点・避難場所・医療拠点等の整備について、協議会などを設置して検討すること。

エ 東八道路からインターチェンジへ入る構造についての協議・検討

 東八道路からインターチェンジへ入る車の渋滞の緩和を図るため、緑地帯を設けた立体交差等により、安全に入路が可能となる構造について検討し、市とも十分に協議を行うこと。

(2)周辺の都市計画道路等の整備

ア 国・都による外環に関連する都市計画道路の整備

 平成17年9月に国及び東京都が公表した「東京外かく環状道路についての考え方」によれば、国道20号インターチェンジを設置しないこととし、青梅街道インターチェンジが関越道方向のみ利用可能なハーフインターとして計画されていることから、東八インターチェンジに交通が集中することが懸念される。このことによる生活道路への交通の流入を回避するため、下記に示す未整備の南北道路や東八インターチェンジ周辺における都市計画道路については、国又は東京都が事業主体となり、インター関連道路として整備を行うこと。
 なお、これらの路線の施行時期、方法等については、十分市と協議すること。

  • (東八インター南方面) 調布3・4・17号線、調布3・4・18号線、三鷹3・3・11号線
  • (東八インター北方面) 三鷹3・4・7号線、三鷹3・4・14号線
  • (東八インター周辺)  三鷹3・4・3号線、三鷹3・4・12号線
イ 三鷹3・4・13号線の早期整備に向けた財政的支援

 三鷹市が現在施行している三鷹3・4・13については、外環アクセス道路としての機能を有しており、早期完成に向けた財政的支援を行うこと。

ウ 地上部街路(外環ノ2)への適切な対応

 地上部街路(外環ノ2)については、外環本線を大深度地下案とした経緯を踏まえ、住民意見及び市の意見を十分尊重し、地域の特性に合わせた適切な対応を図ること。

エ 三鷹3・3・11号線(北野仙川線)のジャンクション部の構造見直し

 三鷹3・3・11号線(北野仙川線)については、中央ジャンクションと曲線で交差し、縦断勾配が付いた構造で示されている。地域交通を優先するため、直線で交差し、縦断勾配を低減する構造となるよう検討すること。

オ 必要性の高い路線についての整備促進

 上記以外の街路についても、三鷹市内を含む周辺地域の総合的な交通シミュレーションを実施し、東八インターチェンジ設置による交通状況の変化を、やや広い範囲からも予測し、必要性の高い街路については、整備促進を図ること。

(3)生活道路等の確保や安全対策

ア インターチェンジにより分断される道路の機能補償

 インターチェンジにより分断される生活道路等については、地元の意見を聴きながら、補償する道路を確保すること。特に、通学路が分断される場合には、防犯施設の整備を図るとともに、安全・安心の面から、支障のない通学路を確保すること。

イ 生活道路等の車両の規制や安全対策

 東八インター利用車両が幹線道路の渋滞を迂回して、生活道路等に流入することが予想されるため、市内の交通安全対策を推進し生活道路等の安全を確保することが重要となる。このため、居住者の意向を尊重し、市と協働して車両規制や一方通行化等の安全対策について、関係機関と積極的な調整を図ること。

(4)総合的な交通規制の確立

 外環供用後において、騒音・大気汚染の測定結果が環境基準を上回った場合や東八道路周辺の大型車混入率が道路規格と比較して著しく増加するなどして渋滞する場合は、東八インターにおいて大型車規制や交通規制を行う等、総合的な交通規制を行うこと。

3 まちづくり対策

(1)土地利用の改変への対応

ア ジャンクション周辺のまちづくりへの支援

 外環計画により、中央ジャンクション周辺では土地利用が大きく変化することが予想されることから、国や都は縦割り行政の弊害をなくし、道路整備を優先させることなく、周辺のまちづくりについて、市民・市と協働しながら総合的支援を行うこと。

イ 協働による農地の再編や地域の活性化策等の推進

 秩序ある土地利用の改変がなされるよう、土地区画整理事業等のまちづくり施策を国及び東京都並びに市及び地元住民による協働で実施し、街路や公園・緑地の整備、農地の再編や地域の活性化策等の推進にも努めること。

ウ 計画線が見直しされることによる市民への適切な対応

 計画線が見直しされることにより、従来の計画区域から外れる市民や新たに計画区域に含まれる市民への適切な対応を行うこと。

(2)コミュニティの分断対策と地域への貢献策

ア 掘割部の蓋掛け構造による有効利用

 中央ジャンクション及び東八インターチェンジ周辺では、可能な限り蓋掛け構造とし、地域での有効利用を図り利便性の高い箇所で外環を横断できる構造とすること。

イ 外環の上部空間や周辺地域における施設整備の検討

 外環ルートにより、町丁界が分断され、また、地域交流の拠点である、北野ゲートボール場や北野遊び場広場等がなくなることから、コミュニティ活動等を推進させていくために、外環の上部空間や周辺地域を利用し、コミュニティ・センターや文化施設、地域交流広場等の施設整備を検討すること。

ウ バスルートの確保

 北野中央通りについては、バスルートとなっていることから、外環沿線に代替ルートを整備すること。また、バスの折り返し所の確保に努めること。

エ 分断される生活道路等の機能補償と住民意見の反映

 東八道路以南に計画されている付属街路については、外環ルートにより分断された生活道路としての機能を有することから、計画に当たっては、周辺住民の意見を十分に反映すること。

オ 環境施設帯・ジャンクション部を活用した遊歩道の整備

 東八道路から仙川に至る区間については、環境施設帯・ジャンクション部を活用し、人々が歩いて散策できる遊歩道を整備すること。

カ 外環ルートと仙川に囲まれた地域での総合的な対策

 外環ルートと仙川に囲まれた、北野四丁目等の地域については、一体的な区域として捉え、居住する住民の意向を尊重し、思い切った公有地化の推進を図るなど、総合的な対策を講じること。

キ 河川ルートの確保と親水公園等の整備

 仙川の横断部については、開削区間となっていることから、河川ルートの確保及び仙川と一体整備による親水公園等の整備を検討すること。

(3)移転補償や営農希望者への対応

ア 移転に対する十分な補償と生活再建への支援

 外環計画により、移転する家屋は三鷹地域で約260棟となっている。移転を要する家屋については、十分な補償と生活再建に対する支援を行うこと。

イ 残地の積極的な買収

 計画線外の残地については、所有者の意向を取り入れ、環境施設帯として活用するほか、特に、これまでの経過を踏まえ、従来の都市計画線までは、積極的な買収に努めること。

ウ 営農を継続するための対策検討

 中央ジャンクション付近では、多くの都市農地が喪失されることから、周辺で農地を確保し営農を続けたい農家のために、代替農地の先行取得や斡旋、農地の付替え等について市と連携して取り組み、新たな仕組みづくりを含めた対策を検討すること。

(4)その他(景観・遺跡)など

ア 地上構造部の意匠等の周辺環境との調和

 ジャンクションや換気所等の地上構造物については、周辺住民の意見を聴き市と協議しながら、意匠やデザイン等に工夫を凝らし、周辺への圧迫感を抑えるとともに、周辺環境と調和したものとすること。

イ 環境施設帯の景観面からの配慮

 中央ジャンクションや周囲に計画されている環境施設帯については、高木植樹を行うなど、景観面からの配慮を行うこと。

ウ 埋蔵文化財の調査と公開

 中央ジャンクション付近には、貴重な文化財である北野遺跡や第五中学校遺跡の存在が確認されている。発掘調査の結果については、現地説明会の実施や展示施設をジャンクション部(換気所併設等)に設置するなどにより、埋蔵文化財の公開に務めること。

エ 換気所における付帯施設の検討

 換気所については、地下トンネルや換気所の構造、高速道路・外環の歴史や、地下水・土質など、最新の土木技術や環境の学び・見学の場ともなるよう、施設の配置も含めて検討すること。

オ ライフラインの機能補償

 ジャンクション及びインターチェンジ部には、上下水道をはじめ数多くの地下埋設物が存在するが、事業者の責任において市民生活に影響を及ぼさないよう、付替え工事等を行うこと。

第3 外環計画全般に係る要望

1 国・都における総合的施策の推進

(1)総合的な地域支援体制の確立

 国及び東京都は、外環本線の整備を優先するだけでなく、周辺地域の環境改善につながる総合的なまちづくりを推進するため、外環の整備に合わせ、タテ割り行政の弊害を排した総合的な対応組織の設置や、人材交流を含めた地域支援体制を確立すること。

(2)車社会から脱却する総合施策の展開

ア 総合的な交通施策の推進

 今までの車社会中心の経済活動や社会システムが地球環境に大きな脅威を与えていることから、過度に自動車交通に依存した社会から脱却するためにも、外環計画と合わせて、LRTやパーク&ライド、ロードプライシングの導入、自転車専用レーンの設置など、総合的な交通施策を推進すること。

イ 石油燃料に依存しない自動車の普及

 現在進められている排ガス規制と合わせて、石油燃料に依存しない自動車の普及に努め、自動車交通による大気汚染を改善すること。

ウ 料金体系の是正

 高速道路の料金体系については、現在、中央道八王子区間が首都高速道路から切り離され別料金となるなど、地域間格差が生じている。また、外環整備後は外環区間の別料金が想定されている。東八インターへの集中を回避するためにも、対距離制による料金制度に統一するなど、地域間格差の是正に向けた取り組みを推進すること。

エ 未整備のランプの整備

 交通集中を分散させるため、東八インターチェンジの設置に合わせて、中央道高井戸インター下り線オンランプの整備を完了すること。

(3)高速道路のネットワーク機能の確立

 東八インターの供用については、関越道から東名高速までの全線が整備されてからとし、部分開通は行わないこと。
 また、外環計画における東名以南の整備をはじめとする高速道路のネットワークについても、今後、住民の意見を聴きながら取り組むこと。

2 今後の外環計画の進め方

(1)地元市とのまちづくり推進体制の確立

 協働のまちづくりを実践している三鷹市と国及び東京都の市民対応に齟齬をきたすことのないよう、住民意見を真摯に受け止め、誠実に対応することが求められている。市民は地域への影響について、国及び都がどのような対応策を示し、確実に実行するのかを注視しており、高速道路整備のみを優先することなく、まちづくりを進めるための地元市との連携体制の確立に努めること。

(2)「計画を中止する」可能を含めた徹底的な検討の実施

 都の環境影響評価審議会や都市計画審議会の審議において、「環境に与える影響が大きいと判断した場合は、国と東京都の判断により、計画を止める事もあり得る。」としているが、どのような指標に基づいているのか明確ではなく、判断基準を明確に示すべきである。「計画を止める事がある」のか「ない」のかについては、広く市民にも情報を公開するとともに、徹底的な検討の実施を行うこと。

外環に関する詳細情報
  • 国土交通省関東地方整備局東京外かく環状道路調査事務所
    (電話&ファクス)フリーダイヤル 0120-34-1491(所在地)〒158-8580 世田谷区用賀4-5-16 TEビル7F
  • 東京都都市整備局都市基盤部街路計画課
    (電話)03-5388-3279 (ファクス)03-5388-1354

このページの作成・発信部署

都市再生部 まちづくり推進課 外環対策・北野の里(仮称)整備担当
〒181-8555 東京都三鷹市野崎一丁目1番1号
電話:0422-29-9700 
ファクス:0422-45-1271

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