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平成20年第11回教育委員会定例会会議録(5)
作成・発信部署:教育委員会 総務課
公開日:2009年6月15日 最終更新日:2009年10月2日
平成20年第11回教育委員会定例会
貝ノ瀬教育長
今回のこの全国学力調査ですけれども、結局、こういうことなんです。つまり、国語と算数・数学の2教科、小学校2教科、中学校2教科なんですけれども、限定的ではあるんですけれども悉皆なんです。つまり、中学生は3年生、小学生は6年生全員にやってもらったんです。つまり、全児童・生徒対象なんです。文科省がやるときには、政策的に、文科省の教育政策が正しいのか間違っているのか。また、どういう問題点があるのかということを確認しようとするためには抽出でいいんです。つまり、サンプル。あちこちの自治体の幾つかでもって、100ぐらいのサンプルがあれば、政策的な判断についてはできるわけです。でも、あえて悉皆にしたということは、先生もおっしゃってくれましたけれども、すべての子どもたち、究極的には一人一人の子どもたちの教育の、算数と国語だけではあるけれども、その課題について明らかにして、それが先生も知るところになり、保護者の知るところとなって改善に生かしてもらう、直してもらう。どう改善したらいいのかということを議論してもらおうということでやっているんです。
ですから、そういう意味からすると、実際に行われて協力してやったということになりますと、国の平均点何点、都の平均点何点、それから市の平均点は何点と、この3つだけ。それについて仮に市民の方に知らせたとしても何もわからないです。何の意味もなされない。ですから、点数を知ったとしても、その点数に応じて、うちの子は、又はうちの市の子どもたちが、結局、何に問題があるのか、そして、学校はどうしていくべきなのか、教育委員会は何をしたらいいのかということを明らかにしていくために、これが使われれば目的が達せられるわけです。
ですから、国は、都道府県の平均点は公表したんです。区市町村については自分たちで考えなさい。そうなりますと、さっき申し上げたような経過からすると、結局、市民に開かれた教育行政をやっていくということになりますと、これは必然的に課題を明らかにしながら点数についても序列づけだとか、競争にならない範囲内のぎりぎりのところで出せる点数と課題を明らかにして、いいところをもちろん明らかにしながら、そして、市民にお知らせして議論を巻き起こしてもらう。結果的にはこのぐらいが限界だろうと。つまり、学校ごとの平均点を全部お知らせしない。でも、学校は全部自分のところの点数は知っているんです。教育委員会はもちろん知っていますが、それは学校ごとにはやらないけれども、学校ごとにそれは自分たちで分析してもらうけれども、教育委員会として、概括的に市の平均点に応じた課題ということで、ある程度明らかにしていく。その対応についても明らかにするということは、教育委員会の責務というか、必然的に出てくるわけです。ですから、そういう意味で、事務局のほうの判断ですけれども、最終的には私が承認しているんですけれども、それでこういう実情になっているわけです。
ですから、磯谷委員がおっしゃるように、国のほうは各自治体の判断だと言っているんですから、三鷹市教育委員会としては、教育委員さんに、事前にご相談をして、そして、確認した上で進めるというのが筋だったろうと思います。
ですから、後先になってしまったんですけれども、その辺ご理解いただきたいというふうには思いますけれども。その辺、いかがでしょうかね。
磯谷委員
今、貝ノ瀬教育長、あるいは鈴木委員がおっしゃったことはとても私も勉強になりました。私もちょっと誤解しているところもあったと思います。私自身もこれが反対だとか、賛成だとかというよりも、非常にデリケートな問題だと思っているんです。
それで、例えば、これも私のちょっと誤解があるかもしれませんけれども、何か図形で、例えば、n角形の内角の和を求める公式の意味を理解しているというところで、三鷹市は45.5%の正答率で、全国は46.1%とすると、0.6%全国より低いわけです。だから、三鷹の子はn角形の内角の和を求める公式の意味を理解していなのかというと、そういうわけじゃなくて、ある程度たくさんの人数を集めたときに、不正答だった子がちょっと全国より多いということなわけですよね。
ところが、何かそこがとても目立ってしまって、三鷹はそこが弱いんだといっていろいろ計画を立てる。しかし、ほかのところ、例えば円錐の体積と円柱の体積の関係を理解しているというのは、確かに全国は51.4%、三鷹は55.3%。しかし、55.3%しか逆に言えば正答していないわけですから、そこを手を抜いていいわけじゃないんです。
だから、この分析というのも非常に短絡的に出てしまうと、かえって方針が大きくぶれちゃうような気がするのが1点。
それからもう一つは、教育委員会の意図は、今、事務局も、あるいは教育長もご説明になったとおりで、それはそのとおりだなというふうに思うんですけれども、一方で、市民の受けとめ方が、どうしても序列、つまり三鷹市は何点だった。それでお隣の武蔵野市はこうだから、三鷹市のほうが上なんだとか、そういう単純な受けとめ方になる可能性というのは常にはらんでいるんだと思うんです。そういうふうなところをどう避ける形で、例えば公表するなら公表するのか。というところは、相当工夫が要る話なんじゃないのかなという気はするんです。
貝ノ瀬教育長
その辺につきましても、何回目でしたか、去年でしたでしょうか、伊藤説朗先生に、学力調査の見方、考え方ということで、みたかの教育について文章を書いてもらって、それだけ書けば全部に適したという意味じゃないです。そういう意味じゃないんですが、それをもとにしながら各学校で保護者会やPTAで議論してもらうということなんですが、結局、しょせんは平均点をどう考えるかなんですけれども、賢明な市民は、よく考えればわかるんですけれども、確かに短絡的に平均点だけで見て、上がったり、低いと思って、低いから総なべて三鷹の子どもが全部ここについては問題があるとか、そういうふうに言っちゃうのは、これは行き過ぎなんです。ですから、私がよく例に出すんですけれども、2人の人間がいて、AとBがいて、1人は100点、1人は0点、2人いますから平均点は50点ですよね。違う学級では、1人は70点、1人は30点、そうすると100点で、2で割ると50点でしょう。それは極点な例ですけれども、50点、50点でも平均は50点。ですから、それを例えば、100点の子がいて、0点の子がいるからこの学級は、こういう問題については非常に問題があると言い切っていいかどうかとか、70点と30点だから、問題があると言い切っていいかどうか。そうなると、平均点というのは、結局はっきり言うとあいまいなんです。だけれども、おおよそのことはわかる。ですから、平均であっても低いほうがいいとは言えない。平均であっても20点でいいとか、平均点が0点でいいということにはならないで、平均でも60点、70点ということになれば、2人の子どもがいれば、70点となるとまた違ってくるわけです。だから、平均点であっても、厳密な細かいことまではわからないんだけれども、しかし、低いよりは平均点でも高いほうがよろしいだろうとなるわけです。ですから、おおまかなことしかわからないんですが、そういう範囲内で傾向をつかんで、そして、改善に生かしてもらう。
ですから、今おっしゃったように、それこそ平均点が都よりも低い部分があるから、そこについては、三鷹の子どもが全部できないんだというとらえ方はもちろんできないし、しては困るんです。その辺は、やはり正しく受け取ってもらうということを同時に啓発しなければいけないとは思います。
議会などは、やっぱりもっともっと知りたいという要請があるわけです。でも、逆にいろいろなことを中途半端にお知らせしても、なまじ誤解されるからしないほうがいいんだということも言えないわけで、ですから、ぎりぎりできる情報提供をしながら、正しく理解してもらうという努力も同時にしなければいけないと思います。
ですから、誤解されるおそれがあるので、全部シャットアウトですという判断はやはり今の時代は難しいんじゃないかと思っているんです。ですから、そういう意味で、去年の流れからすると、事務局としては当然お諮りしなくてもご理解いただけるものというふうに考えてはいたんですが、しかし筋から言うと、やはり開示するのかしないかについては、これは三鷹市教育委員会の判断ということになりますから、それについては、ご相談があってしかるべきだったと思いますので、その点、反省をして、そして、ご理解をいただければありがたいと思っています。
寺木委員長
秋山委員、これをお読みになった感想は、いかがでしょうか。
秋山委員
鈴木先生がおっしゃったように、子どもたちの未来のために成長を見る、はかるものだとして、それが学力調査だとすれば、これが単年度の評価だけに終わらなくて、毎年、三鷹の子どもたちは成長しているんだという指標にもなればいいかなと思うんですけれども。
寺木委員長
私もとても興味深く拝見いたしました。正答数分布グラフというあたりは一番関心を持ちまして、それで読み進んでいく最後のほうに、学習状況調査というのがありまして、これについては、私は教育委員の立場として子どもたちのことを考えるときに、非常にこれは参考になる資料だなと思いました。
それから、これをいただきまして、教育委員の立場としては、各学校の資料がないとか、そういうことはもちろん全然問題ではなくて、とてもいい資料をいただいて、今後いろいろなときに、これは役立たせていただきたいと思います。
鈴木委員
手続的に、私は磯谷委員がおっしゃった、やっぱり教育委員のほうに諮っていただかなきゃ困るというのは、それは我々は責任を持っているわけですから当然だと思うんです。ですから、これは次のときからおっしゃるように気をつけていただきたいと思うのが一つ。
それから、やっぱり、これも磯谷先生がおっしゃったように、微妙な点が確かにあるというのも事実ですから、これは絶えずどういう社会の動きの中で、こういうことがどう論じられているかということは事務局なら事務局で追っていていただきたい。
しかし、それに何も我々が流される、あるいは影響される必要は全くない。それよりも、それに流されずに、三鷹の子どもたちというのは、どういうふうに育っていってもらいたいのかということを基本として、その観点からすると、これはどういうふうな原則を三鷹市は持っているべきなんだということは、どなたかの見方というのが去年、我々がいただいたというのはありましたよね。
寺木委員長
伊藤先生。
鈴木委員
伊藤先生。
貝ノ瀬教育長
伊藤先生。
鈴木委員
だから、そういうことも役に立つのかもしれませんし、だから、今年のようなものは抽象的だと思いますけれども、この教育委員会の中では、ちゃんとした意見というか、多少は異なってもいいんですけれども、整っていないと困る面もありますから、しかし、それを持っていながら毎年、毎年状況がこういうふうに変わっているというのは、ちゃんと意識するというフレームワークをつくっておく必要があると思うんです。
我々はおそらくパーフェクトで間違いがないということはあり得ないと思うんです。だから、それに対しては絶えず反省をしながら、事務局と一緒にこういう状況をつくっていくということが必要だと思います。
磯谷委員
いずれにしても、去年もう既に開示をしていますし、私が多分、後藤さんがおっしゃったように去年多分諮られたというか、そういう問いかけがあったんでしょうけれども、これは私自身の反省点もありますけれども、やはり、どういう問題があるとか、ほかの市がどうだということがあまり意識がなかったというところも反省点としてはあるとは思っています。
ただ、確認させていただきたいのは、特に去年公表してそれで何か問題が生じたりとかということは、現状はないと考えてよろしいですか。
後藤指導室長
それはございません。
磯谷委員
そうしたら、私としては、今回も引き続き開示をするということで、ただ一方で、やはり非常にデリケートな問題であるということは、我々もよく認識すべきだと思いますので、その公表の仕方であるとか、あるいは、今後の取り扱われ方であるとか、やはりそういうところをよく注視しながら、また今後も、問題が生じればやはり再検討していくというふうなスタンスでどうかなというふうに思いますがいかがでしょうか。
貝ノ瀬教育長
去年やっていないんじゃないんですか?
後藤指導室長
去年、報告のところで多分お出ししたかと思います。
貝ノ瀬教育長
いやいや、市民向けにです。
後藤指導室長
市民向けにはホームページに載せました。同じような形で分析しました。確かに協議というものではなくて報告の中でお出ししたかと思います。
岩下教育部長
新聞の取材も、去年も今年もありまして、それにお答えもしていると思います。
貝ノ瀬教育長
じゃあ、同じなんですね。
岩下教育部長
同じスタイルでやっています。
鈴木委員
この議論は大切だと思います。
磯谷委員
私もそう思います。きょうはよかったと思います。
寺木委員長
一つの問題について、それぞれの立場で意見が出せてとてもよかったと思います。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、日程第4 教育長報告を終わります。
以上をもちまして、平成20年第11回教育委員会定例会を閉会いたします。お疲れさまでした。ありがとうございました。
午後 4時03分 閉会
平成20年第11回教育委員会定例会会議録の目次
- 平成20年第11回教育委員会定例会会議録(2)
- 平成20年第11回教育委員会定例会会議録(3)
- 平成20年第11回教育委員会定例会会議録(4)
- 平成20年第11回教育委員会定例会会議録(5)
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