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平成17年第2回教育委員会定例会会議録(2)

作成・発信部署:教育委員会 総務課

公開日:2005年8月10日 最終更新日:2020年1月6日

平成17年第2回教育委員会定例会

日程第4 議案第7号 平成17年度三鷹市教育委員会学校教育の指導目標及び基本方針の承認について

○廣瀬委員長

 今のお話を伺っていると、ここの(2)のところのアだけの問題じゃなくて、基本的な考え方として、一人ひとりの人間、子どもも人権があって、その成長ということが保障されているわけですよね。それを育てるということが学校教育であって、こうするということではないというふうに、ちょっと逆の発想で伺ってたんです。もしそうだとすると、やっぱりこれは前のほうに全体を統括するような形でもって、そういう精神があるべきだと思って伺ってたんですね。
 23ページの学校教育の指導目標の四角のすぐ下のところ、「人権尊重の精神を基調とし、」というのがあるわけですけれども、そこで点を打ってあるこのフレーズがどこにかかるのかなと、こう思いながら読んでいたんですけれども、これは実はあいまいにかかっているということじゃないかと思うんですね。つまり、人権尊重の精神を基調とする調和のとれた子どもを育てる、子どもというふうな見方もできるし、一方、人権尊重の精神を基調としてこれらの育成を目指すというふうにもとれるわけなんですけれどもね。だから、これは両方にかかっていると考えると、この第1文というのがもっとハイライトを浴びてもいいことなのかもしれないと思ったんです、先生のお話を伺っていて。
 24ページの(1)の1行目のところに憲法と教育基本法と児童の権利に関する条約等とあるわけですけれども、ここで児童の権利ということをやっぱり我々もはっきりと認めて、この文の中に入れているわけだから、そこを読み流しちゃうんじゃなくて、しっかりと確認するような形の書き方ということを考えていくべきだなというふうに思うんです。
 細かい文言というのは、事務局のほうでいろいろ検討していただかないといけないと思うんですけれども。

○磯谷委員

 今これを訂正するしないという問題ではなくて、廣瀬委員長のおっしゃった(1)の人権教育の推進のところも、ご指摘を受けて見直してみると、人権教育はもちろん重要で、子どもたちがほかの人の人権を守る、自分自身を大切にするということは非常に重要なんだけれども、学校が、あるいは教員が、子どもたちの人権をきちんと保障していくということもほんとうは非常に重要なんですよね。そういう視点も本来盛り込む必要があるんだろうと。人権教育というのは、子どもにちゃんと人権を守りなさいと言うんではなくて、ほんとうに学校関係者が人権を守れているのかというところですよね。そことさっきの話をリンクすると、要するに、守られていない子どもたちがいて、そしてたまたまその子が自分の学校にいる。じゃあ、その子のために学校がどういうことをしてあげられるだろうかという、そういう視点に結びついていくように工夫をしていただけるとありがたいなというふうに思うんですね。

○廣瀬委員長

 教育長、何かありますか。

○貝ノ瀬教育長

 確かにそのとおりでありまして、こういう種類の文章というのは主語があいまいなんですよね。だから、私たちはこういうことをやっていきますというふうなことなのか、だれがというのは、確かにおっしゃるとおりですね。でも、あんまりそれがはっきり出ると、というふうなところもあるのかもしれませんけれども。しかし、今のように、強調すべきところは意識的に出したほうがいいということはおっしゃるとおりですね。それは工夫できますので、考えてみたいと思いますね。
 それからもう1点、確かに児童虐待の問題については、これは健全育成上の問題で、わい小化される問題じゃありませんよね。ですから、無理に指導上の問題として押し込めるんじゃなくて、むしろ1項目起こして、そして、教育も一つの関係機関として役割を果たさなきゃいけないという、そういう位置づけで表現が必要だと思いましたね。確かにおっしゃるとおりですね。これは、後ほど、具体的にですね、文言も考え、場所も考えてみたいと思っています。

○廣瀬委員長

 ほかにいかがでしょうか。
 アンダーラインで随分つけ加わったところというのは、それぞれの右側の欄に説明がありますけれども、やはり今までに我々が考慮してきた事柄をずっと反映していただいているので、大変いいというふうに私は思いました。ありがとうございました。
 特に27ページの小・中一貫構想の研修・研究の重要性というものを明記したという、この明記するということはとても大切だなと思ったんですね。その次の校内体制の充実の明記ということについてもそうだと思ったんです。
 質問なんですけれども、最近、新聞とかニュースなんかでもよく取り上げられているけれども、ゆとりある教育ということに対して文部科学省自体が方向転換をしつつあるわけなんだけれども、ゆとりある教育活動、「ゆとり」という言葉がたくさん出ているわけですね。そこのあたり、ゆとりある教育活動というものを我々はどうとらえていくべきなのかということで、ご意見を伺いたいことが1点ございます。

○里吉指導室長

 ゆとりある教育でございますが、今回の学習指導要領の改定に伴いまして、学習内容の3割削減ということがございまして、子どもたちに、学習内容を厳選した中で、教員の指導体制を整えて、きめ細かい指導をしていくということで、子どもたちにとってわかりやすい授業が展開できるということでございます。教える内容を少なくし厳選するのとあわせて、教員の資質を高めて、指導体制を整えることによって、子どもたちがわかりやすい授業を受けていく。それが、子どもも学習にとってゆとりがあるというふうにとらえているところでございます。

○廣瀬委員長

 その結果として、世界的なランクからいっても日本の子どもたちの力が落ちたとか、漢字の力が落ちているとか、マスコミにはそういうことがどんどん出てきていて、問題になっていまして、世の中もそのことで非常に懸念しているんだけれども、削減されていて、ゆとりはできたかもしれないけれども、三鷹の子どもたちの基礎学力というものは、いわゆる読み書きそろばんが落ちてしまっては問題が大きいわけですから、そこを各校長が、あるいは各学校が、これに基づいて、ゆとりも持たせなきゃいけないけれども、やっぱり学力の向上も考えなきゃいけないということを考えると、悩む部分が出てくるんじゃないかと思うんですよね。具体的にはどういうことが起きるのか。それは各校長がお考えになることかもしれないけれども、ちょっと気になる部分があるんです。

○里吉指導室長

 児童・生徒の確かな学力ということで、基礎・基本ということがよく言われるわけでございますが、読み書き計算という、いわゆる生きていく上で必要な力というのは、当然、あるわけでございますが、基礎・基本といったときに、小学校1年生から中学校3年生まで、それぞれ学年に応じた基礎・基本というのがございます。これも学習指導要領というもので定めているわけでございますが、小学校1年生には小学校1年生の教科等に応じた学習のねらい、それから目標を持って、1年生には1年生の基礎・基本としての学習指導要領がございます。2年生には、当然、2年生のものがございます。それが、9年間確実に学習をしていくことによりまして、基礎・基本の揺るぎない定着ということになるわけでございまして、各学校で基礎・基本の充実ということで取り組んでいただいているところでございますが、各学年ごとに子どもたちがおおむね満足できる段階で次の学年に進んでいく、ここのところを十分確認をしていただくことが重要なところでございまして、これを、現在、絶対評価ということで、子どもたち一人ひとりの学習の定着状況を把握して、それぞれの子どもたちに応じた指導を積み重ねながら、次の学年に進んでいくということを取り組んでいただいているところでございます。これが、今三鷹で推進しております小・中一貫教育校の9年間のカリキュラムに基づいて学習を進めていくことによって、さらに定着していくものというふうにとらえているところでございます。

○廣瀬委員長

 教育長、どうぞ。

○貝ノ瀬教育長

 ちょっとお時間いただいて、説明させていただきますが、そもそも現在進行しています教育活動のもとになっているものは、「ゆとりと充実」というキャッチフレーズの学習指導要領の改定に基づいて始まっているわけですね。これは、先ほどちょっと出ましたけれども、学校週5日制、つまり土曜日が休みになるということで、勉強時間が減るわけですね。ですから、そういうこともあって、また、もう一つは、最近はちょっと熱が下がってしまいましたけれども、受験競争の激しい時代があって、自殺者まで出たり、「七五三」とか落ちこぼれが出て、大変な社会問題になったということがあって、やはりこれで、国も何とかしなきゃならないということで、さまざまな議論をされて、「ゆとりと充実」というキャッチフレーズのもとで、学習内容を3割減らし、指導時間を2割減らすという、そういうゆとりを持って、きちんと落ちこぼれをなくしていきましょうという学習指導要領が出発したわけですね。そこでは、基礎・基本と同時に、目に見えない、見えにくい、テストでははかりにくいんだけれども大事だとされる考える力とか、勉強に対する意欲だとか、判断力だとか、責任感とか、発表力とか、そういうものをやっぱり力を入れていかなければ、この先、しっかりした人間がつくれないのではないかというふうなことで、「生きる力」が大事だということで出てきたわけですね。
 ですから、そういうことの中で、多少勉強時間が減ってきているわけです。指導内容も減ってきているわけですから、目に見えるような、テストではかれるような学力は多少下がったとしても、しかし、それを補うこれからの子どもたちに大事な、21世紀を生きる子どもたちに大事な能力であるコミュニケーション能力とか、判断力とか、考える力とか、意欲とか、そういう面の力が期待される内容なんであるということで、総合的な学習時間も始まって、力が入ってきているわけですね。そういうことの中での、今回、OECDでの成績の結果が出て、確かに国際的には、上位ではあっても、少し下がったということが出た途端に、右往左往して、これはもう時間数を増やさなきゃならない、土曜日もやめなきゃいけない、夏休みもやめたほうがいいかもしれない、学習指導要領も全面見直ししなきゃいけないというふうなことを、一国の大臣がそういう一つや二つのデータでもって右往左往するのはいかがなものか、というふうな私の立場ですね。
 ですから、むしろもっと、朝令暮改じゃなくて、きちんと今までの長い積み重ねをしっかり検証して、しっかり議論をして、ほんとうに変えるべきものは変えていく必要がありますけれども、しっかり議論したものが必要ではないかと。あまり思いつきの発言で右往左往することは避けなければならないということでありまして、そういう意味では、三鷹の場合は、小・中一貫教育のカリキュラムをしっかりつくっていくというふうなことで、この問題にもある程度対応できるというふうに思いますし、現状の中での各学校がやれることというのはいっぱいありますから、それをちゃんとやっていただく。授業の改善もそうですし、読書の指導もそうですし、楽しく学校へ来てもらうという、そういう努力もそうですし、いろんなことができるわけで、そういうことをまずやって、もうどうしようもないということになれば、もうにっちもさっちもいかなくなれば、そういうふうなことも考えられますけれども、そういうことをまだ手をつけずに、すぐ根本的に考え直すという、それはちょっとどうかなというふうに個人的には思っていますね。ですから、そういう意味では、三鷹では、教育ビジョンもしっかりつくりながら、着実に教育をつくっていきたいというふうに思っているわけです。
 ですから、こういう今の教育の流れをちょっと冷静になって思い出していただくと、また同じことを繰り返す、そんなことをしないで、しっかり煮詰めて、落ち着いてやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っておりますけれどもね。

○廣瀬委員長

 よろしいですか。
 落ちこぼれがなくなったりなんかするという意味ではいいんだけれども、指導要領は最低基準ということになりましたよね。それで、上のほうに伸びようとする子どもたちに対する指導というか、保障というものを具体的に考えないといけないと思うんですよね。だから、そこが各校の研究授業とか、研究校のいろんな課題になるんだろうと思うんです。
 教育委員会でやることは中学校までだけれども、大学に入ってくる子どもたち、最近見ていると、やはり力は大分落ちていて、このギャップというのは一体どこから来ているのかなということを考えざるを得ない部分があるわけですよ。ですから、国全体としてはそういう方針があったとしても、三鷹の学力というのはやっぱり高目にしておくことを考える、方策を考えておかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思ったものですから、ちょっと伺いました。

○貝ノ瀬教育長

 もう少し補足させていただきますと、昨年度、東京都は中学校2年生を対象に学力テストをやりまして、その結果も出ましたけれども、そこで問題なのは、一つは、誤答、間違ってというふうなことよりも、無答が多いということなんですね。本市のある一部の学校についてはですね。つまり、もう初めから投げちゃうと。一生懸命考えようとしない。チャレンジしようとしない。ですから、そういう意欲、態度というか、そういう情意面での問題点というのがかなりあるのではないかということですね。
 それから、やはり基本的な生活習慣ですね。つまり、朝御飯とかですね。これは小・中一貫のほうのアンケートでも同じなんですけれども、朝御飯をしっかり食べてくる・こない、それから、睡眠時間をしっかりとる・とらない、本を読む・読まないと、それと学力というのは相関関係にある。比例しているんですね。そういうこともやはり大きな問題ではないかなと思っております。
 ですから、ただ単に授業時数を増やしてそういう問題が解決するとも思えませんし、夏休みをつぶしてもどうかというふうに思いますよね。ですから、子どもたちがほんとうに進んで自分たちからやる気になって、これはほんとうに自分にとって大事なことなんだ、将来にとって役に立つことだというふうな、ほんとうに思って取り組めるように意欲を持ってもらうにはどうしたらいいかという、そういうこともやはり大きな視点になるんじゃないかなと思っているんですけれどもね。

○廣瀬委員長

 あともう一つは、コミュニティ・スクールのところにかぎ括弧がついている。そのかぎ括弧つきということは特別の意味があるわけですから、それはここには書かないことなのかもしれないけれども、いわゆるただのコミュニティ・スクールじゃないわけですよね。三鷹のコミュニティ・スクールという考え方なんですけれども、そこを、教育長、ちょっと簡単におさらいしていただけるといいかなと思うんですが。

○貝ノ瀬教育長

 前にもちょっと触れさせていただきましたけれども、「コミュニティ・スクール」というふうに総称されておりますけれども、中身はいろいろありまして、いろんな議論がされておりまして、これがコミュニティ・スクールだというものがないということもありますので、三鷹は三鷹らしいコミュニティ・スクールをつくっていきたいと。それは、具体的には、小・中一貫教育の場合は、開設準備検討委員会の中の学校運営部会の中で検討されていくだろうと思いますし、コミュニティ・スクールについても具体的に検討されていくと思いますが、そういう意味で括弧つきにしておいたほうがよろしいんじゃないかと、そういうふうな意味合いですね。

○廣瀬委員長

 わかりました。
 ほかにいかがでしょうか。

○寺木委員

 全体的には、今進められていることがくまなく入っていて、いいと思うんですが、これは「学校教育の指導目標」というテーマがついていますので、この「指導」というのはやっぱり、大人が子どもたちにしてあげるという、そういうことが細かく書かれているというふうに思って読みました。それで、子どもを指導するという中に、成長するのを見守るという、何かそういう姿勢をこの中にもう少し入れていただくと、大人はあなた方を見守っているんだよ、それでこうこうこういうことをするんだよというような、教育する立場の先生に向けて、そこのあたりを入れていただけるといいのではないかと思いますが。

○廣瀬委員長

 先ほどの磯谷先生の人権の問題ともかかわってきますね。

○寺木委員

 はい。

○廣瀬委員長

 ほかにご質問、ご意見、ありますでしょうか。よろしいですか。
 なければ、採決いたします。議案第7号 平成17年度三鷹市教育委員会学校教育の指導目標及び基本方針の承認についてでございますが、先ほど挙げられた幾つかのご意見を事務局のほうで反映させたものをつくっていただくということを条件にして、これを可決することにいたしたいと思いますが、ご異議ありませんでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○廣瀬委員長

 ご異議なしと認めます。本件は、一部修正を含めて可決されました。

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