星と森と絵本の家のこれまで

三鷹市星と森と絵本の家のこれまで

　平成21年（2009年）7月7日に開設されるまでの経過です。

国立天文台との連携・協働の中で

　三鷹市は、地域再生計画（科学技術と科学文化が融合したまちづくり・ひとづくり）の推進や、三鷹ネットワーク大学など、国立天文台と連携協働して事業を進めてきました。

　平成19（2007）年には、国立天文台敷地の活用方策の検討に関する協定を結び、天文台とその周辺の環境保全や地域開放を検討する中で、大正4年建築の「旧1号官舎」を保存活用し、絵本と体験活動を通じて、比較的低年齢の子どもたちの「科学への関心の基礎」に働きかける活動を行うことに決まりました。

　平成21（2009）年2月には、国立天文台の良好な自然環境の保存活用や、宇宙、自然、科学、文化などに関する事業について、協力・連携しすすめる「包括的な相互協力に関する協定」を結びました。

旧1号官舎とは

明治21（1888）年に発足した東京天文台（現・国立天文台）は、現在の東京タワーの近く麻布区飯倉の地にありました。土地の広さが十分ではなくなり、また都市の明かりのため観測がしづらくなり、観測条件のよい北多摩郡三鷹村に移転することとなりました。
明治末期に10万坪近い土地を購入し、大正13（1924）年に移転するまでの間に順次施設が建てられましたが、旧1号官舎は、なかでも初期のもので、大正4年(1915年)に高等官官舎として建設されました。建坪55坪以上(184平方メートル)で、書生部屋、女中部屋、書斎、客間などがある立派な建物でした。

三鷹市登録有形文化財第1号

　平成16年、天文台内にあった43号までの官舎は、老朽化のためすべて取り壊されましたが、旧1号官舎のみは文化財としての価値があるとして取り壊されず残されていました。

　平成20（2008）年5月に、大学共同利用機関法人自然科学研究機構と市の間で旧1号官舎の譲与と土地の無償貸与の契約が締結され、同年7月にこの建物を広く一般市民の利用に供する施設として再築する建設工事に着工しました。

　外観及び「主玄関」「書斎」「客間」「次の間」の内装を、建設当時の姿に復元するとともに、現在の建築基準法に適合した耐震化を行い、三鷹市登録有形文化財登録を行いました。

子どもと絵本プロジェクトの特色ある「場」として

　星と森と絵本の家は、絵本との出会いや、立地を活かした豊かな体験を通して、広い世代の人々の星（宇宙）と森（自然）への関心を高め、ふれあいの中で子どもたちの知的好奇心や感受性をはぐくむ場とし、多様な分野の市民による創造的な交流を通して、子どもたちを豊かに育む地域文化の形成に寄与することを目的としています。

　また、「不思議さに目をみはる感性（センス・オブ・ワンダー）」を育むことが、子どもたちの将来の科学への興味を支える土台となると考え、「知る」とともに「感じる」ことを大切に、絵本をゆっくり楽しむこと、子どもの心の動きに合わせた探究や自発的な活動、聴くこと、語ること、ものに直接触れること、ものをつくることを重視し、子ども自身の感じ方や発見を重視した事業を行うこととなりました。

市民参加による活動プラン

　平成20年3月には、公募市民70人による活動プランづくりワークショップを行い、国立天文台構内の見学や整備プランの説明などをふまえて、「大事な研究施設を守りながら、幅広い世代が楽しめる場所にする」活動のアイデアなどを出しあいました。これらを、市と国立天文台との話し合いの中で整理した後、「星」「森」「絵本」「家」の分野別に、具体的な事業への参加を募りました。

　星プロジェクト、森プロジェクト、家プロジェクトは、月の満ち欠けをもとに行われてきた伝統的な季節行事や、ものづくりを通した自然体験を、絵本と関連付けながら行うこととなりました

　絵本プロジェクトでは、図書館ではない独自性を魅力とするため、絵本や図鑑の収集範囲や全体構成、分類、配架や展示の方法などを検討しました。その結果、「絵本の家オリジナル分類」を定め、「星」「森」「ひと・くらし」をテーマにした絵本や図鑑などを選びました。

星と森と絵本の家絵本分類

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