水車のしくみ

杵(きね)・搗臼(つきうす)

杵が動く仕組みのイラスト杵を上から落とすことによって、搗臼の中の玄米や大麦を精白する。
まず、水輪の回転は、心棒・歯車・搗心棒(つきしんぼう)に伝えられる。搗心棒には、なで棒が4本ずつ付いている。このなで棒は回転に伴って、杵に付いているはご板を持ち上げ、少し高くなると外れる。すると、杵が下へ落ちる。このようにして、回転運動を上下運動に変える。また、杵が搗臼の中に真っすぐ落ちるように、上と下に杵通しがある。杵が上下に動くと、この杵通しに杵が当たり減る。そこで、はぎ板を付け、それを交換することによって減りを防いでいる。特に、新車の杵はケヤキの5寸(約15センチメートル)角で、長さ1丈(約3メートル)、重さ約44キログラム(実測の平均)と大きい。このサイズの杵が12本、少し小さめのものが2本ある。
また、杵の先(下方)に切り込みを入れ、ケヤキをつけて、杵が減らないようにしている。さらに、その先に松の杵穂(きねほ)をつけて穀物への当たりを柔らかくしている。
搗臼は、新車の場合は鉄で、中央は杵が当たるので松の子底(こぞこ)を入れ、その周りには穀物の返しを良くするため大底(おおぞこ)を入れている。さらに、臼の中の穀物がむらなく精白できるよう、縄を使った「輪」を入れる。杵が落ちると、穀物は臼の中で、下から外側を通って上へ動く。杵が上がると、中央のへこんだところへ落ちる。このように循環して精白する。なお、新車には、2斗(米2斗は30キログラム)入る「2斗張り」の搗臼2個と4斗張り12個がある。

小坂克信(産業考古学会理事 水車と臼分科会代表)

杵と搗臼の写真