水車のしくみ

篩(ふるい)と昇降機

篩と昇降機の仕組みのイラスト挽臼から出てきた小麦は、実と皮(麸<ふすま>)が一緒になっている。それを、二段のやっこ篩で分ける。この動力は、大万力と噛み合う繰り出し万力から中万力(なかまんりき)に伝えられる。この中万力の両側にダボが5個ある板万力(いたまんりき)がある。このダボが縦心(たてしん)のダボと噛み合って、縦心に付いている腕木(うでぎ)と角度を変えるハサミによって、篩が前後に動く。つまり、回転運動が水平の往復運動に変わるのである。

昇降機を下から見た写真篩には絹が張ってあり、細い綱で上から吊って動きやすくなっている。この篩を前後の枠にぶつけることによって、粉をふるい落とす。残ったものは、粉だまりから昇降機で上へ上げ、箱桶から再び挽臼で粉にする。このようにして4俵の小麦が8~10時間かけて粉になる。なお、昇降機は以前はセリアゲといって木で作られていた。今は、ベルトに小さな鉄のバケットが付いたもので、棹心(さおしん)を使い、上方に動力を伝えて回している。

小坂克信(産業考古学会理事 水車と臼分科会代表)