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みたか国際化円卓会議 第13期報告
作成・発信部署:企画部 企画経営課
公開日:2025年5月23日 最終更新日:2025年5月23日
第13期活動内容が報告されました
「みたか国際化円卓会議」は、国際化に関する様々な問題とその解決策について、国境を超えて話し合い、市の施策に反映させていくため、平成11年5月に設置されました。外国籍市民自身による市政への参加を進め、外国籍市民等に開かれた暮らしやすいまちづくりに向けたものとして、活発な議論が行われています。
令和7年4月に、第13期(令和5年8月~令和7年3月)の活動内容が、以下のとおり市に報告されました。
みたか国際化円卓会議 第13期報告
第13期では、以下の2つのテーマを中心に意見交換を行いました。
- 三鷹市が当時検討を進めていた「人権を尊重するまち三鷹条例」(令和6(2024)年4月1日施行)について、外国籍市民の視点から意見交換。
- 「外国籍市民の生活支援」、特に防災分野について意見交換。
三鷹市から外国籍市民向け防災ガイドブックを作成する方針が示されたことから、ガイドブックの掲載内容等について、ワークショップ形式も含め検討を行いました。
この度、第13期の取り組み内容を取りまとめましたので、ここにご報告します。
令和7年4月28日 みたか国際化円卓会議
円卓会議の開催状況
第1回 令和5(2023)年8月3日(木曜日)
- 委員委嘱及び正副座長選任
座長:坂本 ロビン(杏林大学 外国語学部学部長)
副座長:野村 隆志((公益財団法人)アジア・アフリカ文化財団常務理事) - みたか国際化円卓会議の活動等について
- 人権基本条例(仮称)について
- 第13期議題について
第2回 令和6(2024)年1月11日(木曜日)
- 新任委員によるスピーチ ナカザワ チェンドム・アンドレア委員
- 人権を尊重するまち三鷹条例(仮称)について
- 第5次三鷹市基本計画(1次案)について
- 第13期議題について
第3回 令和6(2024)年3月25日(月曜日)
- 第13期議題について
第4回 令和6(2024)年10月3日(木曜日)
- 第13期議題(外国籍市民の生活支援)について
第5回 令和7(2025)年1月30日(木曜日)
- 防災ガイドブックに関するワークショップ
- 第13期提言について
第6回 令和7年3月11 日(火曜日)
- 第13期提言について
みたか国際化円卓会議第13期の取り組み
検討内容
みたか国際化円卓会議第13期は、多様な国籍、多様な考えを持ち、三鷹に愛着を持つ14名の委員により、令和5(2023)年8月3日にスタートしました。今期の議題を決めるにあたり、まずはこれまでの円卓会議の状況の確認や第12期の振り返り、近年の国際化の推進に関する主な取組を踏まえ、テーマ候補について意見交換しました。
第13期の議題を検討するなかで、事務局より三鷹市が当時検討を進めていた「人権を尊重するまち三鷹条例」(令和6(2024)年4月1日施行)について、外国籍市民の視点から、条例案についての意見を出してほしいという提案がありました。提案に賛同し、第13期では「人権を尊重するまち三鷹条例」の案についての意見交換を行いました。
また、事務局より令和6(2024)年6月に策定された「第5次三鷹市基本計画」において「外国籍市民の生活支援」が盛り込まれており、基本計画の策定に向けて活動した市民参加でまちづくり協議会(Machikoe)からも、生活支援に対する政策提案があったことについて説明がありました。委員からも生活上の困りごとに関する意見が多く挙がったことから、まずはどのような生活上の困りごとがあるか、意見交換を行いました。
最終的に、非常時・災害時に特化したものを作成するのが良いという結論になり、 今後、市で外国籍市民向け防災ガイドブックを作成していく方針が示されました。
第4回会議では、ガイドブックについてどのような情報を取り入れ、どのようなものを作成すべきか、他市が作成しているガイドブックを参考にしながら自由に意見を出し合い、第5回会議では「外国籍市民にとって重要だと思う防災情報」をテーマにワークショップ形式で意見交換を行いました。ワークショップでは、
- 三鷹市の防災ガイドブックで知りたい内容
- 災害時に直面しそうな問題
- 日本での文化や生活習慣の違い
の3つの視点でグループを分け、意見を出し合いました。
提言内容
「人権を尊重するまち三鷹条例」について
三鷹市では、一人ひとりの人権が尊重され、誰もが暮らしやすいまちを実現することを目的として「人権を尊重するまち三鷹条例」 を制定し、令和6(2024)年4月1日に施行しました。私たちは、一人ひとりが、それぞれの違いを認識し、理解し、自己と他者の人権に対する意識を高め、全ての市民が不当な差別を受けることなく暮らせるまちを実現するという基本理念に賛同します。
今期の円卓会議において、条例の骨格案や素案の段階で、様々な角度から意見交換を行いました。その中で挙げられた意見は以下のようなものがありました。
- 条例ということで罰則はないと思っているが、人権侵害があったときの対応を事前に考える必要性を感じた。
- 差別する気持ちはないと思うが、外国人は日本語を話せても、見た目で判断される。私は英語で話しかけられることが多いが、母語はハンガリー語なので複雑な気持ちになる。差別としては受け取らないが、この事例をどう捉えるかが大事だと思う。
- 100%差別や偏見がないということはありえないと思う。大切なのは、どの国の人が来ても、宗教や言葉、肌の色に違いがあっても等しく受け入れられるような三鷹市を作っていきたい。そのためには、市と警察、消防の境目がなくなり、連携することが大事だと思う。三鷹市なら住み続けたいとどこの国の人も感じられるようになったら嬉しい。
- 文化の違いによって差別が生まれることがある。お互いの文化を理解し合うには、交流しかないと思う。
- 子どもへの条例の理解促進はどのように行うのか。小学生が、日本人に見えない人に対して、悪気なく外国人だと差別してしまうケースもあると思う。
- ホームページやガイドブックは理解しやすい表現であることが重要と感じた。QRコード等も活用して、ホームページにアクセスしやすい、情報を得やすい環境づくりも大切。
- 条例の周知徹底が最も難しい問題になると思う。市が教育委員会に積極的に働きかけて、時間をとって教える場を用意するなどできると良い。また、高齢者への周知、理解も難しいと思う。
- 条例は罰則事項がないため、守らない人も多くいると思う。相談員や審議会があるため、守ってもらうためにはどうすればいいか話し合う必要がある。
- 市の広報に毎回掲載したり、イベントを開催したり、駅前でティッシュと一緒に配布したりなど様々な方法で積極的にアピールしていかないと、条例ができたことも知らないまま終わってしまうのではないかと懸念する。
外国語版防災ガイドブックについて
外国籍市民に向けて作成するには、外国籍市民と日本人の災害に対する意識の違いを踏まえることが重要です。日本における防災の考え方として推奨される「自助・共助・公助」についても、外国籍市民の中には理解していない人も多いのではないでしょうか。子どもの頃からの防災教育を受ける機会の差も、そうした意識の違いに大きく影響しているものと思われます。また、災害時には外国籍市民だからこそ直面する課題も多く想定されます。例えば、避難所で靴を脱ぐことに対して驚く外国籍市民の人がいるかもしれません。
こうした文化や意識の違いを前提として、三鷹市に暮らす外国籍市民に向けた防災ガイドブックを作成する際に必要な視点、掲載すべき内容、また完成後の活用方法などについて、以下に提案します。
ガイドブックを作成する際に必要な視点について
- 災害を経験したことがない人は防災情報の重要性が分からないため、ガイドブックにデータを盛り込むなど危機感を与えることが大切。
- 震災を経験した人の経験談は、防災意識の向上に効果的。例えば3.11の時には電車も止まり、コンビニからも食べ物が何も無くなったことが非常に大きな出来事だった。そうした時に役立つ情報(日頃の備えなど)を伝えられると良い。
- 「あなたにも関係がある。」と分かってもらうためには、ショックな言葉を並べることも必要。
- 単に震度の大きさに関する情報より「私にはこうした経験があり、一番大切なのはこれです。」といったストーリー性をもって伝えられると良い。
- 外国籍市民に伝えるには、シンプルアンドイージーな表現が大切。
- 外国籍市民にも、日本に住む選択をした意識はある。災害時にどのような状況になるのかを伝えて、災害に向けて自助の行動を促す内容にすべき。
- 外国籍市民というと英語が思い浮かぶが、複数の言語で作る必要がある。三鷹市に住んでいる外国籍市民の内訳に基づいて作成言語を検討すると良い。
ガイドブックに掲載されるべき内容について
- 文化や地域環境を意識して、外国籍市民だからこそ必要な情報に加え、基礎的な情報も充実していると良い。
- 外国語が話せるスタッフが待機している場所(母国語で会話が出来る場所)
- 避難所で受けられるサポートの内容
- 災害時の行動の流れ(地震発生時は揺れが収まるまでテーブルの下に隠れてから、避難所へ向かうようにする等)
- 避難時に身体を温める方法
- 避難所の過ごし方(避難所では靴を脱ぐ等)
- 災害時の病院の情報
- 災害時に近づいてはいけない場所
- 大雨の警戒レベル
- 非常食の作り方
- 日頃から備えておくべきもの
- 三鷹市で災害時の無事を示す「黄色いタオル」
- 地震時に発生リスクのある火災について(発生を防ぐ行動、消火器の購入先や使い方、市内にある公共の消火器について等)
ガイドブックの周知・活用方法について
- 紙ベースのものをデジタル化することも必要。三鷹市ホームページにリンクを貼ることをはじめ、気づいた時にいつでもダウンロード出来るよう、三鷹駅やバスの停留所など、外国籍市民が多く利用する場所にQRコードを設置するとよいのではないか。いざという時に見られることが大事。また、それを読み取ると自分の分かる言語で表示されるようにすれば、外国籍市民にとって非常に便利になると思う。
- コミュニティ・センターにガイドブックを置いておくことで、周知ができる。
- 今はオンラインで手続きができるようになり、市役所に行く機会が減っている。ガイドブックを受け取るために市役所へ行くきっかけを作る必要もあるのではないか。
- 留学生に対しては、学校を介して配る方法もある。
- 市内大学の学園祭や、三鷹国際交流協会(以下「MISHOP」という。)の三鷹国際交流フェスティバルなど、近所の人が来るようなイベントで周知すると効果的ではないか。
- 例年MISHOPでは、NPO法人Mitakaみんなの防災(以下「みんなの防災」という。)が出向いて防災出前講座を行っている。そうした出前講座を学校や外国籍市民のコミュニティなどでも行うなど、MISHOPやみんなの防災とも連携しながら、ソフト面の取組も含めガイドブックの活用を考えていく必要がある。
さらに、MISHOPとみんなの防災も参加したワークショップでは、外国籍市民が災害時に直面すると思われる課題や、外国籍市民の防災意識向上のために実施するとよいこと等、多様なアイデアが出されました。防災ガイドブックの作成にあたっては、こうした課題等も考慮して取り組むことを要望します。具体的な意見として挙げられたものは次のとおりです。
- 災害時には、噂や正確でない情報に惑わされて、誤った行動を起こす問題が発生するおそれがある。
- 地震を体験したことのない外国籍市民は、不安など精神的な問題も強く出ることが考えられるため、相談場所が必要。
- 宗教上の問題等により、避難所で用意された食事が食べられない場合も考慮する。
- 避難所には外国語の案内がない場合も想定する。
- 避難所に設置される共同風呂は、外国籍市民には抵抗感があって入れない人もいるため、個別シャワーブースも必要(一方、日本の文化である温泉を経験したい外国籍市民には、共同風呂でも問題ない、という意見も)。
- ペットは一緒に避難できるのか、餌はどうするのか。
- 災害時の医療体制を知っておかないと、けがや病気の際は混乱するのでは。
- 子どもは学校で避難訓練などを経験するが、大人は経験する機会が少ないため、地域の防災訓練以外にもそのような機会を作るべきである。例えば、運転免許証の更新時などに訓練の時間を設けるのはどうか。
- 水害時について、大雨の状況を色別で示すものをつくり、コミュニティ・センター等目立つ場所に目印として掲げると、外国籍市民にも状況が分かりやすく伝えられる。
今後の「みたか国際化円卓会議」の方向性
みたか国際化円卓会議が設置され、13期25年が経過しました。第13期では「外国籍市民の生活支援」について、なかでも防災分野をテーマに据え、取り組んできました。
しかしながら、第13期の会議でも委員から挙がったように、その他の生活上の困りごと、支援が必要な場面は、病気のときや学校生活など多岐に渡ります。今後も引き続き、外国籍市民が安全・安心して市民生活を送ることが出来るための取組について議論することが大切と考えます。また、令和6(2024)年4月より施行された「人権を尊重するまち三鷹条例」の基本理念として掲げられている「一人ひとりが、それぞれの違いを認識し、理解し、自己と他者の人権に対する意識を高め、全ての市民が不当な差別を受けることなく暮らせるまち」の実現には、三鷹市に暮らす外国籍市民それぞれの経験やニーズが異なることを認識して議論を行うことが重要だと考えます。
みたか国際化円卓会議は、三鷹市の国際化に係る諸課題を協議し、その解決のための方策について提言する場として有効です。そのため、三鷹市には今後も市政に関する様々な取組について、積極的に情報提供をしていただきたいと考えます。その情報を基に、外国籍市民の観点から課題解決に向けた方策について議論しますので、その結果が市の施策や事業に効果的に反映されることを切に願います。
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