ここから本文です

施政方針

作成・発信部署:企画部 財政課

公開日:2020年7月1日 最終更新日:2024年2月16日

 令和6年度の一般会計予算及び特別会計予算を提案するに当たりまして、施政方針を申し上げます。

1 はじめに

 ~まちの声をカタチにする三鷹の新時代への幕開け~

 私は、令和5(2023)年4月の市長選挙で市民の皆様の信託を受け、市長として2期目の市政運営を進めており、現在、『第5次三鷹市基本計画』の策定に取り組んでいます。約2年半にわたる新たな市民参加の実践、「市民参加でまちづくり協議会」からの政策提案を計画に反映し、市民の声を三鷹のまちづくりにつなげていきたいと考えています。また、市のグランドデザインである新たな『三鷹市基本構想』を、昨年12月に議案として市議会に提出し、慎重にご審議いただいています。基本構想では、「常に新しい三鷹を創造し続ける」という意志を込め、平和の希求、人権の尊重、自治の推進を基調とした「あすへのまち三鷹」を基本目標に掲げています。誰もが自分らしく生き、暮らしやすさを実感できるまちをつくり、未来を担う子どもたちに継承していくため、少子高齢化の進展など将来の人口の推移を見据えながら、高環境・高福祉のまちづくりを着実に進めてまいります。

 世界的に猛威をふるった新型コロナウイルス感染症は、昨年、5類感染症に移行し、三鷹のまちにも活気や賑わいが戻ってきました。一方、全国各地で私たちの想像を上回る自然災害が発生しており、元日の能登半島地震は石川県能登地方に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。このように自然災害が激甚化する中、私は改めて、自治体が果たすべき防災対策の重要性を強く実感しています。そして、まちづくりと一体となった防災・減災対策を自治体の責務として全力で取り組んでいきたいと固く決意したところです。
 また、ウクライナや中東など、世界各地で戦禍がやまず、恒久平和への道のりはまだまだ遠いと言わざるを得ません。こうした国際情勢や、円安に伴う原油価格・物価の高騰が市民生活に大きな不安や影響を与えており、未だ先行きが不透明な中、自治体としてのきめ細かな対応が求められています。
 地球環境に目を向けると、温暖化が原因とされる気候変動が、台風、集中豪雨、干ばつなどとして、世界各地に甚大な被害をもたらしています。さらに、海面水位の上昇や生態系への影響などは、世界レベルの大きな課題になっています。これらを乗り越え、持続可能な社会を実現するためには、基礎自治体による率先行動をはじめ、一人ひとりが環境に対する意識を高めることが重要です。三鷹市も令和4年12月に「ゼロカーボンシティ」を宣言し、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めることとしています。

 こうした社会経済情勢の中にあって、三鷹ならではの新たな価値を創出し、未来志向の新たなまちづくりに果敢に挑戦するとともに、市民の暮らしに寄り添いながら、全ての市民の皆様が、安心して、平和で心豊かな毎日を過ごせるよう、「あすへのまち三鷹」に向けたまちづくりを推進していきます。

2 『第5次三鷹市基本計画』に基づく施策の推進  

 令和6年度は、『第5次三鷹市基本計画』の実行元年として、「コミュニティ創生と未来への投資」を優先課題とし、未来志向のまちづくりを積極的かつスピード感を持って進めていきます。

 「未来への投資」は、防災・減災のまちづくりを基軸に据えながら、魅力あふれる都市の創造や地域の活性化に向けた都市基盤の再生を進めるものです。

 市全体を緑あふれるまち並みとする「“百年の森”構想」の実現に向けて、“子どもの森(仮称)”をコンセプトとした「三鷹駅南口中央通り東地区再開発事業」に最優先に取り組みます。さくら通り駐車場・駐輪場用地の一部にUR賃貸住宅を先行して整備するための準備に着手するなど、段階的な整備を開始します。また、令和6年3月に閉園する三鷹幼稚園の敷地に、地権者の理解を得ながら子どもたちの居場所となる施設を整備するため、基本プランを策定します。
 国立天文台と連携した大沢地区の新たなまちづくりでは、義務教育学校の制度を活用した小・中一貫教育校の整備、西部図書館の移転などによる地域の共有地「コモンズ」の創出に向けて、具体的な施設配置を盛り込んだ「土地利用整備計画」の策定に着手します。
 井口特設グラウンドの利活用では、地域医療の拠点機能と防災機能の強化、スポーツの機会の継続に向けて、市内医療機関を対象とした事業者を選定し、定期借地契約の締結に向けた取組を進めるとともに、グラウンドや東西通路の整備工事に着手します。
 地域の防災力の向上に向けては、防災NPO団体「Mitakaみんなの防災」と連携した共助の核となる人財育成や、災害時避難行動要支援者を対象とした個別避難計画の作成を進めます。また、令和4年12月に策定した「新都市再生ビジョン」に基づき、老朽化した公共施設の計画的な維持保全と更新に取り組むとともに、防災拠点となる中原小学校の建替えに向けた検討に着手します。
 「ゼロカーボンシティ宣言」を踏まえた取組としては、井の頭コミュニティ・センターへの太陽光発電設備の設置や、森林環境譲与税を活用した姉妹町等とのカーボンオフセット事業などによって、脱炭素化を推進していきます。
 コミュニティバスについても、主要バス路線との乗り継ぎ等を軸に交福(こうふく)ネットワークを目指した「交通総合協働計画」を策定するとともに、井の頭及び西部地区でのAIデマンド交通の本格運行に向けた取組を進めます。また、牟礼の里公園と玉川上水のアクセスを確保し、三鷹の原風景を形づくっている農空間を保全するため、牟礼の里農園(仮称)の整備に着手します。

 「コミュニティ創生」は、全ての市民が健康で心豊かに暮らすことができるよう、「地域の力」の再生など、時代に即した取組を推進するものです。

 担い手の高齢化や固定化が進むコミュニティの課題解決に向け、「コミュニティ推進計画(仮称)」を策定するとともに、みたか地域ポイントの本格運用を開始し、ポイントの付与数や有効期間の拡充、市にポイントを寄付できる制度の導入を図ります。また、誰もが暮らしやすいまちの実現に向けて、「人権を尊重するまち三鷹条例」の理念に基づき、普及啓発に取り組むほか、相談窓口を開設します。
 「福祉Laboどんぐり山」では、研究開発、人財育成、生活リハビリの3機能が連携した取組を着実に進めつつ、最新機器を活用した在宅医療・介護のモデル環境の創出などに積極的に取り組みます。また、地域福祉コーディネーターを7地区全てに配置し、重層的支援体制の充実を図るとともに、住宅確保要配慮者の居住支援のプラットフォームとして、不動産関係や福祉団体等と連携しながら「三鷹市居住支援協議会(仮称)」を設立します。
 コミュニティの活性化のためには、地域社会全体で安心して子育てができ、未来を担う子どもたちが健やかに成長できる環境が重要です。保育園と学童保育所の待機児童ゼロを継続するとともに、今後、需要が多く見込まれる地域では、新たな学童保育所の整備に取り組みます。また、「学校3部制」に向けて、子どもの充実した居場所となる地域子どもクラブを拡充するなど、地域に開かれた学校づくりに取り組みます。さらに、国の「子ども未来戦略方針」に基づき、児童手当や児童扶養手当を拡充するほか、ベビーシッターの利用に係る助成制度を創設するなど、子育て世帯への支援の充実を図ります。
 なお、令和6年4月から、東京都の補助制度を活用して、市立小・中学校の給食費を無償化します。これに当たっては、多額の財政負担が経常的に生じることとなるため、公設民営保育園の公私連携保育園への転換をはじめとした保育園の運営形態の見直しにより国庫負担金・都負担金の確保を図るなど、新たな財源の捻出に向けた取組を並行して進めます。
 「文化の薫り高い三鷹」に向けた取組としては、「アール・ブリュットみたか2024」を開催するほか、撤去が予定されている三鷹こ線人道橋について、市民の記憶の場としてのポケットスペース整備に向けた設計に取り組むなど、回遊性を高めながら、にぎわいのあるコミュニティを創造していきます。

3 持続可能な自治体経営の推進

 令和6年度は、定額減税の影響を除くと市税収入は前年度予算を上回る見込みですが、人件費や社会保障関連経費の増加、物価高騰の影響などで経常的経費が増加しています。そのため、行政サービスの質と量の適正化を図りながら、財政基盤の強化に向けた行財政改革を進めていくことが必須となります。
 時代に合った市政運営を推進していくためには、効率的で効果的な組織体制を構築していかなければなりません。そのため、令和6年4月から、まちづくりと一体となった住宅政策の推進や交通ネットワークの再構築に向け、都市再生部に「住宅政策課」を新設するとともに、「都市交通課」を都市整備部から移管します。また、子育て世代への包括的な支援に向けて、健康福祉部の母子保健に関する事務を子ども政策部に移管するほか、保育の質の向上と適正化を図るため「保育支援課」を新設します。あわせて、事業の新規・拡充に応じた適切な職員配置と組織力の強化、職場環境の充実に向け、職員定数を増員します。
 デジタル技術等の活用は、行財政改革を進める上で重要な視点となります。「書かない」窓口に向けた新たなシステムの導入や、生成AIの活用による業務の効率化、SNSを用いた情報プラットフォームの構築などに取り組みます。また、令和7年度のガバメントクラウドへの移行に当たっては、国に財源の拡充を要望しながら円滑な移行を進めます。このほか、フリーアドレスへの段階的な移行や市税総合窓口の開設による手続きのワンストップ化など、来庁者の利便性向上と職員の労務環境の改善を図ります。
 受益と負担の適正化に向けては、国民健康保険税及び介護保険料を、低所得者の負担に配慮しながら改定します。学童保育所育成料についても、待機児童ゼロをはじめとした多様なニーズへの対応や職員の処遇改善などにより指定管理料が増加傾向であることから、見直しに向けた検討を進めます。
 なお、ふるさと納税による市税への影響が年々拡大し、財政運営において看過できない状況となっています。FC東京と連携した体験型の返礼品や市内大学の応援寄付の新設など、市の魅力発信と財源確保を図りながら、多くの方に共感していただけるような取組を進めます。
 また、引き続き国や東京都等の補助金を有効に活用していきます。本格運営を行う福祉Laboどんぐり山では、東京都の子供・長寿・居場所区市町村包括補助金を活用するほか、牟礼の里農園(仮称)整備事業における公益財団法人東京都農林水産振興財団の補助制度なども活用していきます。
 市債については、世代間負担の公平性を確保する観点から、都市再生の財源などとして活用します。基金については、退職手当の増などにより収支の乖離が拡大したことから、とりくずしが前年度予算を大幅に上回ることとなりますが、令和5年度補正予算において、今後の財政運営を見据えて積立てを行い、年度末時点では一定水準の基金残高を確保するよう努めます。

4 令和6年度予算の財政的特徴点

 令和6年度の予算規模は、一般会計が8318,7972千円で、前年度比534,4873千円、6.9%の増となります。
 国の総合経済対策に伴う低所得者支援及び定額減税を補足する給付金の給付や牟礼の里農園(仮称)の用地取得のほか、退職手当の増や会計年度任用職員への勤勉手当の支給開始による人件費の増、社会保障関連経費の伸びや物価高騰の影響なども加わり、過去最大の規模となっています。
 市政運営の根幹となる市税収入は398億4,945万7千円で、国の定額減税の実施などにより前年度比3億7,587万8千円、0.9%の減となりますが、地方特例交付金により減税分が全額補塡されることから市税を含めた一般財源総額は、前年度を6億円余上回る見込みです。また、基金のとりくずしは34億7,866万9千円で、前年度比14億8,832万3千円、74.8%の増、市債の発行予定額は13億6,600万円で、前年度比730万円、0.5%の減となります。
 下水道事業会計を除く特別会計全体の予算規模は397億2,007万2千円で、前年度比4億1,473万6千円、1.1%の増となります。下水道事業会計の収益的収支予算は1億9,043万円の純利益、資本的収支予算は6億4,453万2千円の不足で、この不足額は損益勘定留保資金等で補塡します。

 以上が、令和6年度を迎えるに当たっての施政方針及び予算概要です。
 議員各位のご理解とご協力をいただきながら、市民の皆様の暮らしに寄り添いつつ、まちの声をカタチにする未来志向のまちづくりを積極的かつスピーディーに進めていくために、誠心誠意、努力していく所存です。
 ご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 

  令和6年2月

                         三鷹市長  河村 孝

施政方針 ・ 予算概要の目次

  • 施政方針

このページの作成・発信部署

企画部 財政課
〒181-8555 東京都三鷹市野崎一丁目1番1号
電話:0422-29-9035 
ファクス:0422-45-1599

財政課のページへ

ご意見・お問い合わせはこちらから

あなたが審査員!

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

  • 住所・電話番号などの個人情報は記入しないでください。
  • この記入欄からいただいたご意見には回答できません。
  • 回答が必要な内容はご意見・お問い合わせからお願いします。

集計結果を見る

ページトップに戻る