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オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
作成・発信部署:都市整備部 緑と公園課
公開日:2009年2月16日 最終更新日:2009年3月21日
【連載第17回】春の野原の青い星
3月に入り、道端の野原にも少しずつ草が芽吹き、景色が枯れ草色から緑色へと変わっていきます。春のお彼岸くらいまでは、まだ霜が降りる日もありますが、秋に芽吹いた越年草など、耐寒性の強い植物が少しずつ成長していきます。
そんな野原で、3月になると早くも可愛らしいルリ色の花をつけるのがオオイヌノフグリです。この花が咲くと辺りが一挙に春らしさに包まれる感じがします。太陽が照っているときだけ花を開き、活動を始めたばかりの昆虫を誘います。寒い時期、花粉を媒介してくれる昆虫が訪れないと、夕方になり花を閉じる時に自家受粉する仕組みを持っています。
花の大きさは7~10ミリほどですから、この花をよく見るためには野原にしゃがむ必要があります。一見、離弁花のように見えますが、花弁は基部で合着した合弁花です。
オオイヌノフグリはヨーロッパ原産の帰化植物で、日本産の近縁種にはイヌノフグリがあります。イヌノフグリの名称は漢字名のとおり、果実が犬の陰嚢(ふぐり)に似ているからついたもので、オオイヌノフグリは、より大型であることからついたものです。
イヌノフグリは、明治時代中ごろにオオイヌノフグリや同じ帰化植物のタチイヌノフグリが全国に広まってからは減少してしまい、今では山間部に行かないと見られなくなってしまったそうです。片やオオイヌノフグリはすっかり日本の雑草として定着し、親しまれています。花期は3月から5月ごろです。春を見つけに近くの野原へ行ってみませんか。
- 参考文献
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- 野に咲く花 林弥栄監修 山と渓谷社
- 山渓カラー名鑑 日本の野草 山と渓谷社