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クマゼミ(熊蝉)
作成・発信部署:都市整備部 緑と公園課
公開日:2021年11月8日 最終更新日:2021年11月8日
【連載第103回】関東では新顔の大きなセミ
夏に関西地方へ旅するとワッシ、ワッシ、、、と騒がしい声で鳴くクマゼミの声が響き、関西にきたことを実感。そんなイメージだったクマゼミの声が、2015年くらいから三鷹でも聞こえるようになってきました。
以前、クマゼミ分布の太平洋側の北限は静岡あたりだったのですが、温暖化の影響もあるのか、あちこちでクマゼミが増えています。2008年には気象予報会社がクマゼミの分布全国アンケートを行いましたが、徐々に分布が広がり、日本海側が北陸、太平洋側については福島まで広がっているようです。その時点で東京の気温は1970年代の大阪に匹敵するレベルになっていたそうです。
多摩ニュータウンのある多摩市では2005年くらいから鳴いていましたので、三鷹とは10年くらいの差が感じられます。あくまで感覚的な話ですが、2021年の夏、多摩市ではクマゼミの声がアブラゼミの声より多いような気さえしました。
クマゼミは写真のように全身が黒っぽい全長6~7cmの大型のセミです。温暖化の影響で昆虫の分布が変わり、ナガサキアゲハやムラサキツバメなど南方の蝶が関東地方でみられることも話題になっており、温暖化が生態系に与える影響も顕著になりつつあるようです。
また、関東に常緑樹を植える場合、温暖な九州地方の山などから運んでくることが多く、その際に根巻した土の中にクマゼミの幼虫が入っていて、移植先で分布を広げるというのが、増加のもう一つの要因になっているのではないか、という説があります。多摩ニュータウン等の大規模開発地に、人気の高いクスノキ等の常緑樹を大量に植栽したこともクマゼミの分布拡大に一役かっているのかもしれません。
見られるようになったクマゼミを何とか証拠写真に撮りたいと筆者は2005年くらいから狙っていましたが、なかなか写真が撮れなかったのは、このセミが枝の先の方で鳴くことが多いので姿は見えても逆光ということが多いからでした。個体数が増えたため、チャンスも増え、ようやく2019年に撮ることができました。
暑い夏と乾燥した土壌の場所が好きで都市に適応する力の強いクマゼミは今後も増え続けるのでしょうか。