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自然観察のすすめ
作成・発信部署:都市整備部 緑と公園課
公開日:2021年3月17日 最終更新日:2021年11月9日
【連載第101回】東京は自然が豊か!
日本ほど四季の美しさが際立つ国はないと言ってもよいと思います。
日本は東北から西南にかけての長い形状の国土と3000m級の山岳を控え、たくさんの島々など多様な地形を併せ持っています。
近年、生物多様性を守ることの重要性がクローズアップされていますが、日本は降水量の豊富さもあって、世界でも有数の生物多様性をもつ豊かな自然環境を誇れる国です。
特に東京都は標高0mの東京湾岸から2017mの雲取山まで、さらには小笠原などの島しょ部を含めるとたいへん多様性のある環境を保有しています。環境の多様性は生物多様性につながっています。
みたかいきもの図鑑では今までに100の生き物を紹介しました。今回は101回目ということで、自然観察の楽しさについてご紹介します。
身近な自然に親しもう
三鷹市は東京都心からほど近い位置にありながら、武蔵野台地を中心に古多摩川の形成した国分寺崖線、水の豊かな野川沿いには、野川公園、国際基督教大学、国立天文台、さらに下流の調布市域には深大寺、神代植物園などと大規模な緑地が連なっています。市の東側には井の頭恩賜公園と神田川、玉川上水、仙川と三つの水の流れと豊かな緑が織りなす、緑と水のまちとなっています。少し散歩するだけで自然と親しむことができます。改めて身近な生き物を観察してみてはいかがでしょうか。自然に関心を持つと様々な良いことがあります。まず、四季の移り変わりに敏感になります。俳句や短歌を詠まれる方が季語を盛り込み、季節感を出しますが、その季語の数々はまさに自然の移ろいです。
寒かった冬から日が長くなると、梅、桃、桜と順に開花をする様子や、ウグイスのさえずりといったものに私たちは春の訪れを感じます。特に桜(最も注目されるのはソメイヨシノ)の開花日が毎日ニュースになるほど、皆さんお花見を楽しみにされていますね。それほど桜の開花は劇的です。
五感を使って自然を感じる
気をつけて自然観察するとさらに細かい情報に気づくようになります。野鳥を見るときも、ただシジュウカラがいるな~と漠然と見るだけではなく、よく見ることで、例えばシジュウカラがコケなどをくわえていることに気づき、コケを何に使うのだろう?(巣の材料にします)オスかメスか?どこに巣があるだろう?いつごろ卵を産むだろう?と次々に興味が湧いてきます。
自然の観察は五感をフルに使います。例えば、大きな木がある(目で見る)、オケラが土の中で鳴いている(耳で聞く)、ジンチョウゲの良い香りがする(鼻で嗅ぐ)、コナラの芽がふわふわの毛におおわれている(手で触る)、モミジイチゴの実が甘ずっばい(舌で味わう)等と自然を感じるのです。五感を使うことで感性が豊かになり、ますます観察が楽しみになっていきます。特に幼い子どものころにこのような体験を積み重ねることは心身の発育にとても重要なことではないでしょうか。
旅行の楽しみが倍加
自然観察の視点をもって旅行に行くと、見えてくる風景が変わります。例えば3月に伊豆半島に行ったとします。三鷹より気温が暖かいことは皆さん感じると思いますが、自然をよく見ると、生えている木の種類が違うことに気づくと思います。三鷹では雑木林が葉を落としている時に伊豆では常緑樹が多く、鬱蒼(うっそう)とした緑があります。
また、軽井沢に行ったとすると、雪が残っていて寒く、常緑樹は三鷹よりも少なく、ほとんどの木が葉を落としていることに気づくと思います。
それぞれの環境に適応した植物が生え、昆虫や野鳥が棲んでいますので、地球上どこへ行っても生き物を観察する楽しみが広がります。
自然観察を通してすべての生き物が食物連鎖(食う、食われる)でつながっていることを身を持って知れば、私たちも植物が光合成によって作ったエネルギーに支えられていることに気づきます。
ひいては自然資源の大切さ、SDGsの考え方が大切なものであることも実感できるはずです。