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アオゲラ(緑啄木鳥)キツツキ科
作成・発信部署:都市整備部 緑と公園課
公開日:2014年8月15日 最終更新日:2024年3月25日
身近なキツツキは森の番人
アオゲラは屋久島から本州に分布する日本の固有種で、スズメ大の小さなコゲラとともに、比較的身近なキツツキです。大きさは全長29cm、ほぼヒヨドリと同じくらいの大きさです。北海道には大陸に広く分布する、よく似た近い種のヤマゲラが棲んでいます。アオゲラの名前は背面の体色が緑色であることからきています。これは昔、緑色を「あお」と呼んでいた名残だそうです。
キツツキの仲間は、枯れた幹や枝に写真のようにたてにとまり、コツコツと辺りに響く音を立てながら虫を探します。樹木の幹に穴を開け、木を枯らしてしまう穿孔虫(カミキリムシの幼虫など)を主に食べ、緑を守る救世主といえます。また、ノミのような強いクチバシで木の幹に巣穴を掘りますが、このキツツキが掘った巣穴(樹洞)はシジュウカラの仲間やムササビ、フクロウなど多くの生き物が利用します。このような生態から、キツツキの仲間はキーストーン種(Keystone species)と呼ばれ、個体数は多くないのですが、森林生態系に与える影響が強い、重要な種と考えられています。
キツツキの仲間が幹にたてにとまり、木を強くつつくことができるのは、2本の足としっかりした尾羽により3点支持をしているからです。この尾羽に触れたことがありますが、他の部分の柔らかい羽と違い、まるで紙ヤスリのようにザラザラしていて、下に滑りにくくなっています。さらに、足指も2本ずつ対になっており、しっかりと幹の凹凸を掴む構造になっています。また、その舌はとても長く、小さな穴の奥にいる虫を絡め取ることができます。
春、繁殖期を迎え、メスへの求愛や縄張り宣言の行動として、多くの小鳥たちのオスが美しい声でさえずるのに対し、アオゲラなどキツツキの仲間は、枝や幹を激しく叩き、タララララ・・・という音をたてる「ドラミング」という行動をします。また、アオゲラはふだん「キョッ」、「ケレケレ」などと鳴きますが、繁殖期には口笛のような「ピョー・ピョー・ピョー」と大きな声を出します。
夏が終わり、気温が下がると、野鳥の動きが急に活発になります。それまであまり声を出さずに子育てしていた鳥たちがにぎやかに声を出すようになりますし、秋の渡りが始まり、山から下りてきた漂鳥や北から渡ってきた冬鳥の飛来によるものです。寒さの中、自然はしっかりと息づいています。葉の少なくなるこれからの時期は野鳥の姿を見るのに最適な時期です。お近くの雑木林に出かけてみませんか?写真は野川公園での撮影です。
- 参考文献
- 日本の野鳥 叶内拓哉解説 山と渓谷社