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ヤマザクラ (山桜)
作成・発信部署:都市整備部 緑と公園課
公開日:2009年3月12日 最終更新日:2009年3月16日
【連載第30回】花の美しさはさまざま
お彼岸を過ぎ、寒さを忘れる時期になってくると、お花見の話題で盛り上がるのは、今も昔もかわらないのではないでしょうか。日本人にとって桜は特別な花です。万葉集の時代には花といえば梅の人気が高く、桜は梅、萩に次ぐ存在だったそうですが、平安時代に桜の人気が上昇し、逆転したそうです。
鎌倉時代になると、接ぎ木の技術も広まり、里桜と呼ばれる園芸品種が多く作り出されてきました。野生のサクラ10種をベースに自然交配、品種改良によって300種を超える品種があるそうです。現在植栽されている桜の中で最も親しまれているのはソメイヨシノですが、このソメイヨシノは江戸時代に品種改良で作られた園芸品種です。ソメイヨシノは葉が出る前に木全体に一斉に花を咲かせるので見事ですが、ヤマザクラの場合は、花と同時に葉が出芽します。また、ソメイヨシノが接ぎ木で増えるクローン(全個体が同一の遺伝子)なのはよく知られていますが、こちらは実生なので一本一本の遺伝子が異なり、花と同時に出る若葉の色も淡緑色から赤茶色まで、個性的で美しさもさまざまです。
ソメイヨシノが広まる以前は、桜といえば山桜だったそうです。
今年の春はヤマザクラの美しさを見直してみませんか。三鷹市内でも玉川上水沿いなどで多く見られます。また、野川公園や天文台などの国分寺崖線の雑木林で、周囲を囲むミズキ、コナラ、アカシデなどの色とりどりの芽吹きの中で一層華やかな女王のように見える木がヤマザクラです。
- 参考文献
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- 大人の園芸 庭木 花木 果樹 濱野周泰監修 小学館
- 樹木たちの歳時記 林弥栄監修 講談社