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【報道発表】第39回太宰治賞受賞作が決定しました
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作成・発信部署:企画部 広報メディア課
公開日:2023年5月11日 最終更新日:2023年5月15日
2023年5月11日 発表
応募作品総数1,246篇から西村亨さんの「自分以外全員他人」に決定!
令和5年5月11日、第39回太宰治賞(株式会社筑摩書房・三鷹市主催)の選考委員会が三鷹市下連雀二丁目の「みたか井心亭(せいしんてい)」で開かれ、選考委員4氏(荒川洋治氏、奥泉光氏、中島京子氏、津村記久子氏)による厳正な選考の結果、受賞作が決定しました。
受賞作
作品名
「自分以外全員他人」
著者
西村亨(にしむら・りょう)
選評
荒川洋治さんより
みんなが神経を尖らせているこの時代の中で生きるしかない個人の切実さがよく表現されており、かなり共感を呼ぶと思う。
奥泉光さんより
ここ数年の選考の中では、最終候補作4作いずれも力量を感じた。今回受賞しなかった作者も今後に期待できると思う。
中島京子さんより
マスク、ワクチンといったコロナ禍の感覚の描写が巧みだった。主人公の感覚は過激とも取れるが、私たちの感覚の延長線上にある怒りや苛立ちが膨らんでいく感じがよく描けていた。
津村記久子さんより
身につまされる内容。生活の苛立ちの細部を描けており、多くの人が共感し、救われるのではないかと感じた。
受賞作および今後の日程
今回の受賞作は、応募作品総数1,246篇から4篇を最終候補作とし、令和5年5月11日の選考委員会による厳正な選考の結果、決定されたものです。
贈呈式・受賞パーティーは6月16日(金曜日)に如水会館(千代田区)で開催され、受賞者には記念品および賞金100万円が贈呈されます。
作品のあらすじ
あと1年半、あと1年半待てば俺は自殺できる……。マッサージ業界でフリーランスとして働く柳田譲。不安定な日々を過ごし、生きる支えも希望もなく、45歳が限界だと思っていた男は自らに死亡保険をかけ、自殺でも保険金が下りるようになる日を待っていた。人とうまく関係を築くことができず、母とも母の再婚相手とも分かり合うことはないまま家を出て、職場の同僚や客ともおおよそ心地の良い会話はできない。鬱で退職した元同僚の真似をして始めたサイクリングだけが唯一の心のよりどころだったが、逆走する自転車や幅寄せしてくる車を見かけるたびに腹を立て、気が狂いそうになるのを必死で抑える日々。極めつけは入居しているマンションの駐輪場での置き場所トラブル。自分の魂そのものになった自転車を屋根付きの駐輪場に止めたい、それだけだったのに、自分はなにも悪いことをしていないはずなのに。日常が怒りに染まっていく中年の破滅の物語。
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