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地方交付税不交付団体の都市財政の充実強化への要望(H23.3.4)

作成・発信部署:企画部 市長室

公開日:2011年3月7日 最終更新日:2011年3月7日

地方交付税の不交付団体における都市財政の充実強化についての要望(提出)

22三企財第437号
平成23年3月4日
総務大臣 片山 善博 様

三鷹市長 清原 慶子

地方交付税の不交付団体における都市財政の充実強化について(要望)

 三鷹市は、「地方分権改革推進法」(平成18年12月)の基本理念を踏まえた『地域主権改革』を、積極的に推進していくべきであるとの立場に立っています。
 そして、真の地域主権の確立のためには、地方自治体の財政力がその役割分担に見合ったものとなることが必要であり、国庫補助負担金や地方交付税など、税財源の適切な配分に向けた制度設計が求められると考えます。
 地方分権が進む中、それぞれの自治体は、市民ニーズに対応しながら様々なサービスを提供していくことが求められています。そのため本市でも、行財政改革を推進するなど様々な経営努力を積み重ねてきています。
 しかし、国の制度が、財政力の弱い自治体への支援という名のもとに不交付団体への配慮を欠いているという現状は、国民に対する公平と平等の観点から大いに問題があると言わざるを得ません。
 そこで、地方交付税の不交付団体であり都市部自治体の典型でもある三鷹市として、地方財政制度に関しての問題提起をさせていただきたいと思います。今後、下記のような問題点を早急に解消し、公平かつ適正な国庫補助金の一括交付金化など、真の地域主権の確立と都市財政の充実強化に向けた制度設計を行うよう強く要望します。

≪問題点1≫ 地方交付税制度による不交付団体の不利益
 地方交付税制度が、地方自治体間の財源の偏在を調整することを目的とした財政調整制度であることは理解できます。しかしながら、地方交付税の算定に用いられる「基準財政需要額」と「基準財政収入額」は、全国の自治体の収入支出を統一的かつ客観的に測定するための数値にすぎず、多様な施策を展開している各自治体の、実際の財政状況を表現するものではありません。
 それにもかかわらず、国の補助制度など財源配分が、地方交付税の交付・不交付の別で画一的に割り切られるような仕組みとなっているのは、国民に対する税の正当な配分の観点から問題があると言わざるを得ません。
 地方交付税制度を前提とした財源配分の仕組みにより、不交付団体である三鷹市に不利益が及んでいる実例として、次のようなものがあり、これらが市の財政を圧迫する要因となっています。
(1) 国庫補助金に関し、不交付団体への補助率が低く設定されているものがあり、それが一般財源を圧迫するとともに、不足額を地方債に依存せざるを得ない状況をもたらしています。例えば、本市で平成22年度から24年度にかけて実施を予定している「小中学校への空調設備設置事業」などの大規模改造工事については、交付団体への国庫補助率が3分の1のところ、不交付団体に対しては7分の2の設定にとどまっています。
(2) 景気の低迷などによって市税収入が減収または伸び悩みの傾向を示す一方、社会保障関連経費の増嵩が著しい昨今、当初予算編成において大幅な財源不足が生じるなど、厳しい財政状況が続いています。こうした中、本市では、「臨時財政対策債」を活用した一般財源の確保によって、後年度負担に配慮しながらの財政運営を行っているところです。しかし、平成23年度地方財政対策において、発行可能額の算出方法が見直され、不交付団体による臨時財政対策債の発行は今後3年間で廃止されることとなりました。
(3) 普通交付税の画一的な算定を補完し、自治体ごとの具体的な事情を考慮して交付されていた「特別交付税」について、不交付団体への交付は災害対策等の緊急的な財政需要に重点化することとされ、平成18年度から4年間で、緊急時を除き交付額をゼロとすることが示されました。昨今の厳しい経済情勢による税収減などにより、一定程度の交付が継続しているものの、従来と比較して大幅な削減がなされ、今後の見通しも不透明です。

≪問題点2≫ 地方への負担転嫁について
 「三位一体の改革」によって、本市では、国庫補助負担金の削減額が税源移譲による増収を大きく上回ったことから、5億円を超える財源不足がもたらされたところです。
 さらに、個別の案件としても、次のような問題があり、地方の自主性を損なう形での負担転嫁がなされているものと認識しています。
(1) 児童手当に代わる制度として平成22年度から開始された「子ども手当」について、当初は全額国庫負担としていたものを、制度の一部に従来の児童手当の仕組みを存続させたため、地方と事業主の負担が残ることとなりました。しかも、こうした制度設計に当たり、地方に協議・説明がなく、一方的に決定がなされたばかりでなく、平成23年度においても児童手当法に基づく地方負担が継続されることとされています。
 さらに、「子ども手当」に関して、国は、今まで自治体に交付していた「児童手当特例交付金」を大幅に減額することとし、その一方で、「年少扶養控除の廃止による所得税の増収分を普通交付税総額に組み込む」ことでバランスをとるとしています。しかしながら、この措置は、地方交付税の不交付団体にとっては単なる負担増でしかなく、交付団体と不交付団体との格差は広がる一方です。
(2) 「地方議会議員年金制度廃止」に伴う経過措置として、年金給付に要する経費を地方負担とする旨の事務連絡が総務省自治行政局公務員部福利課から出されました。これに係る経費については、地方財政計画に計上されていますが、交付税の不交付団体にとっては、長期間にわたり一般財源での負担を強いられるものです。地方議員年金制度の廃止は、国の進める市町村合併の結果として生じたものであることから、当該経費については、地方交付税の交付・不交付にかかわらず、すべての市町村に対し、国費で補てんすべきであると考えます。
(3) 国が示している35人学級について、小中学校の設置者としての市町村は、教室の増設や備品の購入などハード面での対応を迫られることとなります。こうした場合には、当然のことながら国費での負担がなされるべきところ、本市では平成23年度の35人学級に向け本年度、市負担で施設改修を行うこととしています。今後、全額補てんに近い形での適切な負担がなされるよう、きめ細かい補助制度の創設が必要であると考えます。

≪問題点3≫ 一括交付金について
 地域主権の確立に向けた地方の自主財源の充実強化は、基幹税の税源移譲によってなされるべきです。したがって、「補助金の一括交付金化」は、あくまでもそれまでの経過措置として捉えるべきものです。こうした観点から、一括交付金化は、[1]国の政策誘導の手段とはせずに地方が自己決定できる財源とすることと、[2]国の各省庁の枠を超えた制度設計がなされるべきであること、が必要であると考えます。
 平成23年度において一括交付金は、まず都道府県向けに導入されることとされており、国では、総額の9割程度を従前の補助制度における継続事業の事業量に応じて交付し、残りの1割を道路延長などの客観的指標に基づいて配分することとしています。しかし、自治体の自己決定権を最大限尊重するという観点からは、「客観的な指標による配分」がより望ましいと考えます。さらに、その範囲の設定に当たっては、「現金給付は国、サービスは地方」との原則に基づいて整理を行うことも必要です。
 今後、一括交付金の市町村への配分を検討するに当たっては、上記のような内容を踏まえるべきです。また、自治体間の財源調整制度は地方交付税制度によって保障されているとの前提に立ち、一括交付金については不交付団体に不利益が生じないようご配慮いただきたいと要望します。

≪問題点4≫ 地方特例交付金について
 平成11年度から実施された恒久的な減税の影響による地方の減収を補てんするために創設された「地方特例交付金(減税補てん特例交付金)」は、平成18年度までで終了しました。その後、3年間の暫定措置として「特別交付金」として交付されていましたが、これは21年度で終了となり、22年度からは「減収補てん特例交付金」と「児童手当・子ども手当特例交付金」のみが残ることとなりました。
 「地方特例交付金」は、もともとは国の制度減税などを補てんするためのものであることは了解しています。しかしながら、リーマンショックにおける地方税の大幅減収のような、自治体経営を根幹から揺るがすような事態が生じた場合(本市では平成22年度予算において大きな影響が表れた)において、減収補てん措置が何も取られなかったことは大変遺憾だと思います。

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