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「第11回 回廊ギャラリー展示絵本作品公募」 選考結果

作成・発信部署:スポーツと文化部 芸術文化課

公開日:2024年5月30日 最終更新日:2024年5月30日

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入賞作品は、星と森と絵本の家の回廊ギャラリーにて順次展示します

第11回 三鷹市星と森と絵本の家回廊ギャラリー展示絵本作品公募の、選考結果をお知らせします。

今回は76点の作品を応募いただき、選考の結果、下記のとおり6作品が入賞しました。

最優秀賞

該当なし

優秀作

『灯台守とホシカモメ』

ゴダード・エレナ 作(東京都)

『きつねとわたしとおつきさま』

おのかつこ 作(東京都)

『ポラリス Polaris』

りょう 作(神奈川県)

『おほしさまがきた』

オイスターズ 作(東京都)

『星をみにいくまえに』

Mari 作(東京都)

『月のこよみレストラン』

柚木 万由子 作(東京都)

展示について

入賞作品は、星と森と絵本の家の回廊ギャラリーで順次展示します。
各作品の展示スケジュールは、決まり次第ホームページでお知らせします。

最終選考に残った作品

  • 『月のすいぞくかん』 かみいち しゅん 作
  • 『あの星には…』 さく山 ちょこ 作
  • 『すいきんちかもくどてんかい』 Moto 作
  • 『たけのこのノコのこと』 いたくらー ぺい 作
  • 『ソラノナベ』 寺田 佑子 作

選考委員講評

絵本家 広松 由希子

「星と森と絵本の家」という世界でも珍しい絵本の施設で、天体や宇宙をテーマにした絵本公募を始めて11回目。今年は最優秀賞に該当作品がなく、6作品の入選作が同列で優秀作という初めての事態になりました。審査員一同粘り強く何度も投票し、延々と協議した末の結果です。どの作品にもよいところと気になるところがあり、審査員の意見が割れました。それは、「絵本」がさまざまなベクトルの要素がひとつになった媒体であることの現れでもあります。

『おほしさまがきた』は3人組ユニットの作品で、バランスのよさでは群を抜いていましたが、エピソードが少し物足りなかったかな。『星をみにいくまえに』は繊細な筆致で愛らしく仕上げられていましたが、主人公のネズミの造形などオリジナリティを磨きたい。『きつねとわたしとおつきさま』の版画はとても魅力的ですが、全体の構成力に課題あり。『灯台守とホシカモメ』は見開きの捉え方に規定とズレがあったのですが、力強い画力と新鮮な個性が感じられました。『月のこよみレストラン』は絵が部分的に弱い印象ですが、豊かなアイデアで読者を幸せにしてくれる本でしょう。『ポラリス』は科学的なところをしっかりおさえられたら、軽やかでグラフィックなノンフィクション絵本になり得るかもしれません。

公募も回を重ね、近年では入選者同士の横のつながりも生まれてきています。お互いに刺激し合い、よいところを学び合い、多角的に絵本をとらえた上で、自分の個性と作品を磨いていけるといいですね。絵本を一冊仕上げて賞に応募するということは、それだけで大きなステップですが、今回の応募と入選をひとつの踏み台にして、さらに跳躍してください。次回はきっと私たちに新しい宇宙を見せてくれるような、突出した絵本と出会えることを期待しています。

国立天文台 縣 秀彦 

過去最多、76作品もの応募がありました。そしていずれも力作ぞろい。応募して下さった皆さまありがとうございました!

11回目を迎えた今回の特徴は、海外からの応募など外国人のみなさんから複数の応募があったことと、過去にもこの絵本公募に応募して下さった方々が16名(応募者の約2割)も応募して下さったこと、そして前回と異なり子どもたちからの応募が少なかったことです。また、天文・宇宙を題材とした科学絵本はごく少数で、想像の翼を広げた独創的な創作絵本がほとんどでした。2009年に開館した「三鷹市星と森と絵本の家」の設置の趣旨を顧みると、もっと多くの科学絵本が集まったらなと個人的には希望しております。

全般的に作品のレベルは向上しており、作画デザイン、ストーリー、新規性など絵本評価の要素のうちの全部で合格点を取ることは難しいものの、そのいずれかが卓越しており、作者の将来性や可能性を感じさせる作品が数多くありました。正直、第一次選考で選外となった作品のほうがわずかであり、各々の審査員が読んだ際に、何らかの印象を残した作品がほとんどでした。しかし、魅力的なイラストなのに関わらず、展開が途中から意味不明に落ちていたり、逆にストーリーは泣けるほどに訴えかけてくるのに、イラストに独創性が欠けていたりと絵本の世界の難しさや奥行きの深さを感じる場面が審査の過程で何回もありました。

審査の観点でいうと、応募作品全体の平均レベルが極めて向上したと感じる一方、ダントツに突き抜けた「すぐに絵本にしたい!」レベルの作品に出会えなかった気がします。今回、これは最優秀作品と自信をもって、星と森と絵本の家を訪れる人たちに薦められる絵本には残念ながら遭遇できませんでしたが、優秀作品に選ばれた6作品のみならず、あともう一歩で入選、またはもう一工夫・もう一頑張りで過去の最優秀作品レベルという作品に多数出会いました。

応募者のみなさま、どの応募作品もぜひ、今一度、フレッシュな気持ちで読み返してみてください。きっと気付くことがあると思います。また、ぜひ周囲の友だちや家族にも読んでもらいましょう。どれも作者ご本人+5人の審査員のみ読むのではもったいない作品ばかりです。一つ一つの作品に愛情をもってさらにブラシュアップして再挑戦していただければ嬉しく思います。そして、皆さんの絵本の世界が周囲の人たちを巻き込んで、さらに広がっていくことを願っています。

みたか・子どもと絵本プロジェクト連絡会代表 小谷 奈保子 

三鷹のこんな小さな公募展に今年もまた多くの個性豊かな作品を沢山応募いただき、有難いと思う反面、選考はなかなかに難航しました。きっとご自身が楽しみながら作品を作られているだろうその思いは随分と感じました。しかしながら1ページ1ページのイラストは素敵でも、よく読むとストーリーの流れや展開、絵本はファンタジーといえど科学的におかしな部分があったり、テキストの推敲の甘さがあったりするものも見受けられ、勿体ないなと思うものも実際多かったです。他の審査員の先生方のご指摘される箇所は、いつもとても専門的で、皆が納得いくもので、私自身も毎回勉強になっています。

ただ、今年は各委員の票が割れ、最終的に最優秀作品に該当する作品は選出されませんでしたが、入選作品はいずれも表現力は豊かでした。どの作品にも伸びしろを感じますので、今後に期待したいです。絵本の家の回廊ギャラリーに展示されたあかつきには、きっと来館者の方々の目を楽しませてくれることと思います。
『おほしさまがきた』はお風呂での子どもの空想ものということで、松岡享子の『おふろだいすき』と設定が似通ってはいますが、読み進めると、作者(3名のユニット)さん達が楽しみつつも細部まで注意深く描かれてるのがよくわかり、オリジナリティがあります。小さな子どもと寝る前に、お布団の中で一緒に読みたいかんじです。
『星をみにいくまえに』は、リュックを背負うシーンで「おや?」と思い、望遠鏡に入り込むシーンには「なるほど!」と楽しくなります。全体的にまとまってはいるものの作品の意図が少しわかりづらかったです。

『灯台守とホシカモメ』は情緒豊かなイラストで、構成も上手でした。作者は南米チリの方なので、日本語のテキストに随分と苦労されたのではないでしょうか。

応募された皆さま、ありがとうございました。受賞された皆さま、おめでとうございました。

おとな絵本ラウンジ代表 絵本勉強家 梅澤 尚子

今回もまた応募作品のレベルアップを感じました。
ただ残念なことに、例年のような審査会の喧々諤々とした議論はなく、満場一致で最優秀賞なしとさせていただきました。入選作は、いずれも弱いところはありながらも、それぞれ魅力のある作品でした。ただ、この作品をどうしても一番に選びたいと思うほどに心を揺さぶられる作品がなかったというのが正直な気持ちです。
絵本のアワードなので、絵本の型を問われるのは当然ですが、チャレンジや楽しむ心も必要と思います。絵本に限らずクリエイターにとって、自分がどんな作品を作りたいのか、どうして作るのか、何を伝えたいのか、といったことを知っておくことは重要じゃないかと思います。

最後に、入選されたみなさま、おめでとうございます。
審査は、たくさんの絵本に埋もれる楽しい時間でした。ありがとうございました。

三鷹市星と森と絵本の家館長 西村 路香

天体や宇宙をテーマにした、星と森と絵本の家ならではの絵本公募も第11回目となりました。今回は、海外の方や幅広い年代の方たちから、過去最多となる76作品の応募をいただきました。前回から引き続き応募いただいた方も多くいらっしゃったことも、とても嬉しく思っております。どうもありがとうございました。

応募された作品は、絵本を通じて作者の想いが強く感じられる作品ばかりで、今回は残念ながら最優秀賞は該当なしという結果になりましたが、優秀作に選ばれた6作品は、個性にあふれ、ぜひ星と森と絵本の家の回廊ギャラリーで原画を展示していただきたいと思った作品でした。そして、最終選考に残った作品も心に残る作品で、今後もご応募いただきたいと思いました。

この入賞作の原画展をたくさんの子どもたちや来館者の皆さまにお楽しみいただきたいです。原画展は星と森と絵本の家の開館記念日である7月7日から始まります。

皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

第11回三鷹市星と森と絵本の家回廊ギャラリー展示絵本作品公募 募集要項

募集テーマ

「天体」「宇宙」をテーマにした絵本を想定して描かれたもの。フィクションまたはノンフィクションの絵本で、科学絵本、写真絵本などジャンル、手法は問わない。

募集期間

令和6年4月1日~15日

選考委員

  • 絵本家 広松由希子氏(選考委員長)
  • 国立天文台 縣秀彦氏
  • みたか・子供と絵本プロジェクト連絡会代表 小谷奈保子氏
  • おとな絵本ラウンジ代表 梅澤尚子氏
  • 三鷹市星と森と絵本の家 館長

このページの作成・発信部署

スポーツと文化部 芸術文化課 星と森と絵本の家
〒181-0015 東京都三鷹市大沢二丁目21番3号(国立天文台内)
電話:0422-39-3401 
ファクス:0422-39-3402

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