広報みたか2026年10月4日2面
■まち・人ととながり進化し続ける三鷹の森ジブリ美術館
■まちの”余白”をこれからも大切に
総合デザインと初代館長を務めた宮崎吾朗さんに聞きました!
ジブリ美術館を創る際に私が担ったのは、当時の館主・宮崎駿が考えた理想の美術館を、現実の建築や空間、意匠に落とし込み、実現させる仕事です。そこには法律や施工上のさまざまな制約がありますが、創造性でより良い形にして制約を乗り越える過程は面白くもありました。例えば、入り口から階段で地下へ向かうアプローチは、建物の高さ制限があったから生まれたアイデアです。試行錯誤を重ねた美術館がオープンし、お客さまが喜ぶ笑顔を見るのは、うれしいことでした。ただ、創る人間というのは次の創作に気が向きがちで、美術館を維持・運営する館長の仕事は、私には向いていないな…とも思っていました(笑)。
今は東京がどんどん都市化・過密化して、三鷹もまた例外ではありません。それでも、三鷹駅からジブリ美術館へ向かう「風の散歩道」などの景観は、開館時の25年前とそう大きく変わっていない。まちの中に緑や自然が残る、いい意味での“余白”があることは三鷹の良さであり、大切なことだと思います。これからもジブリ美術館が、緑や水辺など環境的な余裕を保ったまちの中にある、小さな美術館であり続けられたら幸せだと思っています。
■迷い込んで楽しむ不思議の世界
美術館のキャッチコピーは「迷子になろうよ、いっしょに。」。迷路のような建物に順路はなく、来館者は目線の高さや時間の経過などにより異なった表情を見せるしつらえや、館内の至る所にちりばめられた面白い仕掛けを見つけながら、自由に巡り歩きます。
どんなものを見つけて、何を感じるかは、その時、その人次第。観る人に委ねられた展示や空間は、いくつになっても、何度訪れても、また新たな発見をもたらしてくれます。
■公園の緑に包まれた美術館
開館当初は井の頭恩賜公園の緑の中にある色鮮やかな外観が特徴的でしたが、時を経て、植栽の変化や周りの植物との調和で趣ある雰囲気に。緑と建物が融け合う、ここにしかない景観を形作っています。
■エンブレムに描かれた三鷹
美術館のエンブレムに描かれているのは、三羽の鷹(三鷹)、イノシシの頭に「イ」の字(井の頭恩賜公園)、大きな木の下のトトロ(ジブリ)。三鷹感満載の言葉遊びをモチーフにしたこのデザインは、海外の紋章や旗が好きな宮崎駿監督が、設立の際に自らスケッチを描き、考案しました。
■地域とともにまちを盛り上げる!
今年も10月18日(日)に井の頭恩賜公園で開催される「三鷹の森フェスティバル」(美術館共催)は25年前の開館を記念して始まった音楽フェスティバルです(16面参照)。美術館スタッフおすすめの映画を上映する「三鷹の森アニメフェスタ」(2027年3月上旬開催予定)の「アニメーション古今東西」などのイベントも、市と美術館が協力して開催しています。そのほか、三鷹阿波おどりや三鷹市民駅伝大会などのイベントに美術館スタッフも参加しています。
■大人気の市民デー・近隣市民デー
市民・近隣市民限定で、美術館が開館した10月1日前後に、無料でご招待しています。応募者多数のため毎年抽選となり、当日は多くの市民の方でにぎわいます。また、コロナ禍で一時休館を余儀なくされた際には、三鷹市民の方から入館を再開。少しずつ入館人数を増やしていきました。
■暮らしのすぐそばにある美術館
三鷹駅から美術館のある井の頭恩賜公園までを結ぶ「風の散歩道」も、開館に合わせて整備しました。案内人は、オリジナル案内板の上にいる「山猫」です(トトロではありません)。また、地域の方に親しまれる美術館を目指し、市民・近隣市民の方の優先入館枠を設けて、三鷹駅前のみたか観光案内所でチケットを販売しています(QRコード参照)。
2024年にリニューアルした広報みたかのロゴマーク(1面参照)、市のデザインにも美術館の外観が描かれています。
■美術館とともに誕生したPoki
開館を記念して宮崎駿監督がデザインし、三鷹のキャラクターとして誕生した「Poki(ポキ)」。名付け親は、公募で選ばれた萌絵ちゃん(当時4歳)で、生息地は三鷹の森です。2017〜2025年には、みたかシティバスのラッピングにも登場。市内10カ所にはPokiのデザインマンホールがあります。市内事業者による関連グッズが販売されているほか、市立小学校1年生のランドセルカバーや、毎年開催される「Poki4コマまんがコンテスト」(10面参照)など、三鷹市民にはおなじみの存在です。
■地域とともにある美術館としての歩み
創設メンバーで現館長の安西香月さんに聞きました!
2017年に館長に就任するまで主に展示の仕事を担当してきました。例えば、常設展示室「映画の生まれる場所(ところ)」の立ち上げでは、絵を額に収めずそのまま壁に貼るという宮崎駿監督のアイデアを形にするため、プリンターメーカーの方に手描きイラストに使うような質感の紙を開発してもらい、複製画を作りました。また、展示が常に新鮮に見えるように維持するには、小まめに手を入れて人の気配が感じられることが大切です。そこで、ときどきスタジオからアニメーターや美術スタッフを招いて、常設展示の机で実際に絵を描いてもらっています。小さな子に「おじさん、うまいね」と褒められるなど、スタジオのスタッフも楽しいようで、上機嫌で協力してくれています。
開館から25年が経ち、近ごろは小学3年生のときに来館した子どもたち(下記参照)が大人になって再び訪れ、「今見ると昔と違って見える」といった感想をスタッフに伝えてくださることも。当館はいろいろな見方ができるものを提供しているので、そこにちゃんと気付いてくれる人が育っていることがうれしく、長く続けてきたかいがあると思っています。
■三鷹の子どもたちい豊かな体験を
市立小学校15校の3年生は社会科見学の一環として、また市内約50の幼稚園・保育園の子どもたちは遠足などで訪れます。さらに、地域の皆さんの働きかけで、四小では2003年から野外上映会を不定期で開催しており、今年は東台小での上映も予定しています。過去には、美術館の近隣の小学生を対象にしたお泊まり会など、子どもたちの思い出に残るイベントを行っています。
市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用(記載のないものは無料) 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話(要約筆記)あり
