緑と水の公園都市 三鷹市
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広報みたか2022年8月21日12面

■太宰治賞受賞者 野々井透さん寄稿文

 『棕櫚(しゅろ)を燃やす』で第38回太宰治賞を受賞した野々井透(ののい・とう)さん(写真)が、7月1日に行われた太宰治朗読会に合わせて三鷹を訪れた時の思いを寄稿してくださいました。

太宰が生きたまち「三鷹」
 梅雨の明けた、気温と体温が同じくらいの日の午後、三鷹市役所の井上さんとみたか観光ガイド協会の小谷野さんに三鷹市内の太宰に所縁のある場所を案内していただいた。
 暑さのため出してくださった車に乗って、途中で降りて、水を飲んで、を繰り返しながら跡を巡ってゆく。皆、汗を流しながらも、道中、太宰への語りは尽きない。
 太宰が家族と暮らしたささやかな借家、その玄関の前にあった百日紅を移植した井心亭、仕事場として次々に借りた家族の知らない家々、好んで散歩した道、親交の深かった亀井勝一郎の家へ通った道すがらの美しく立派な旧山本有三邸、その家を恨めしく思っていたこと、編集者と打ち合わせと言いながら毎晩のように訪れた屋台の跡、親しんだ小料理屋、美容師の山崎富栄と出会った場所、肺病のために血を吐いて遺書を書き彼女と過ごした二階のその部屋、六月十三日にふたりで歩いた道、その先を流れる玉川上水、結婚して間もないころに妻の美智子と散歩でよく訪れた禅林寺。
 六月十九日、その墓石に彫られた名前にはかわいい小さなさくらんぼがいくつも嵌め込まれ、花いっぱいになる。桜桃忌に訪れた時、そこには太宰を偲ぶひとびとがじっと、佇んでいた。
 「いちばんすきな散歩道の、いちばんすきな場所から入水したのです」車中で、このように聞いた。
 いちばんすきな場所から死んでゆく。こんなこと、太宰にしかできない、と思った。
 冒頭一文目からしっかり囚われ、気がついた頃には、もう抜け出せないほどに惹かれ、その世界にとっぷりと入り込んでしまう。それが、私にとっての太宰治で、特に女性を語り口とした小説には中毒性のようなものを感じ、作中に描かれる「彼」に彼女と共にどうしようもなく焦がれている自分をあっけなく見つけてしまう。だめだと思っていても、惹かれてしまう。純粋で、正直で、愚かで、哀しくて、けれど、いとしいひと。
 「太宰でいちばんすきな作品は何ですか」
 「朝、です。人間失格や斜陽もいいですけど、太宰は、お茶目なところもあったんです」
 朝、と教えてくれた時の小谷野さんはこの日いちばんの笑顔だった。ひとばん、男女が同じ部屋でこたつに足を入れながら横たわっていて、ふたりになにかがはじまりそうになって、はじまることを消えそうな蝋燭に託し、今はじまる、という時に朝になってしまった、という短い小説。この舞台も、三鷹の太宰の仕事場。
 この街で太宰が確かに日々を暮らし、そこから感じたもので作品を書き上げていったことをしずかに感じた。その息遣いのようなものが、今も、この土地に残っていて、街は、それを当時も今も温かく見守り続けようとしている。太宰はいないけれど、今も、いる。今もいる、と思うことができるように、見えない気持ちを大事にしている街。
 太宰の生きた街。太宰が、なお生きている街。
 暑い中、案内してくださった皆様、ほんとうにありがとうございました。

※写真はPDFをご覧ください。


■三鷹の森ジブリ美術館 市民・近隣市民を抽選でご招待します

[問]芸術文化課TEL0422-29-9861

三鷹市および近隣市民デー
[日]10月1日(土)午前10時〜午後6時
[人]三鷹市と近隣市(武蔵野市・小金井市・西東京市・調布市・府中市)在住の方各回300人程度(1組6人まで)

三鷹市民デー
[日]10月2日(日)午前10時〜午後6時
[人]市内在住の方各回300人程度(1組6人まで)

共通
[申]9月12日(月)(必着)までに代表者の必要事項(11面参照)、入場者全員の人数(代表者含む)・氏名・年齢、希望日(近隣市民は10月1日のみ)、希望入場回(午前10時、11時、正午、午後1時、2時、3時、4時のいずれか)を「〒181-8555芸術文化課」へ(申込多数の場合は抽選)
※電子申請サービス[HP]https://www.shinsei.elg-front.jp/tokyo2/からも申し込めます。
※当選者には9月20日(火)以降に招待状を郵送します(電話での当落確認は不可)。
※同一グループでの複数の申し込みや、記載事項に不備がある場合は無効です。

市ホームページをご覧ください
 よくある質問への回答や、同館の新型コロナウイルス感染症対策などをご案内しています。

※写真・二次元コードはPDFをご覧ください。


■みたかえるの体験学習「縄文人になる!」

縄文時代にタイムスリップ?

[問]生涯学習課TEL0422-29-9862

 実際に三鷹で出土した縄文土器に触れたり、縄文時代の道具や服装のレプリカを使って、縄文人の体験ができます。夏休みの思い出や自由研究・レポートにもお薦めです。

体験できること
 縄文人の服装の着用、弓矢・石斧の使い方、石器づくり、網代編み体験、縄文土器の文様づくりなど
※体験の内容はご要望に合わせてコーディネートします。写真撮影も可能です。

[日]8月20日(土)・22日(月)〜24日(水)午前10時〜午後4時(正午〜午後1時を除く)
[人]小学3年生以上の方
[所]三鷹歴史文化財展示室「みたかえる」(教育センター2階)
[申]期間中会場へ

※画像はPDFをご覧ください。


■大沢の里古民家講座「和ハーブと暮らす」

[問]生涯学習課TEL0422-29-9862

 同施設周辺の植物を観察しながら、和ハーブ(有用植物)の活用方法や日本の風土とのつながり、衣食住との関係などを学びます。

[日]9月10日(土)午前10時30分〜午後0時30分
[人]16人
[所]同施設
[講](一社)和ハーブ協会副理事長の平川美鶴さん
[¥]200円(入館料。中学生以下無料)
[申]8月22日(月)午前9時から必要事項(11面参照)を同課TEL0422-29-9862・[メール]shogai@city.mitaka.lg.jpへ(先着制)

※写真はPDFをご覧ください。


※詳細はPDFをご覧ください。


市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり

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