広報みたか2022年5月15日12面
■第38回太宰治賞が野々井透さんの『棕櫚(しゅろ)を燃やす』に決まりました
三鷹市と(株)筑摩書房との共同主催で復活後24回目となる「太宰治賞」の最終選考委員会が5月11日に開催され、選考委員の荒川洋治さん、奥泉光さん、中島京子さん、津村記久子さんにより、1478編の応募作品の中から、第38回太宰治賞が野々井透(ののい・とう)さん(筆名)の『棕櫚(しゅろ)を燃やす』に決まりました。
受賞作『棕櫚を燃やす』のあらすじ
なにかが父に巣くって、父の体をゆっくりと壊してゆく――。34歳の春野と、5歳年下の妹・澄香と父は、3人で暮らしている。「水越しにぼやけた地上をみる」ように他人と距離をとって生きる春野と、何事にも納得したい澄香、すべてをさもありなんと受け入れる父は、唯一の心地よい関係を育ててきた。その父の体内に何かが棲み、余命1年であるという。春野と澄香は毎日をあまさず暮らそうと約束する。
父と浴びる春の陽射し、玄関に脱ぎ捨てられた父の靴下、明け方の高速道路のドライブ、3人で囲うすき焼き鍋……。穏やかな日々の一方で、膨張し姿形を変え、「ごめんね」が増えていく父を春野は疎ましくも感じ、むるむるとしたものが体をめぐる。あまさず暮らすとはどういうことだろうか。
過ぎていく日の愛おしさ、どうしようもなく変わってしまう関係とその戸惑い。喪失へと向かう日々を、繊細に美しく描き出す。
選考委員の評
選考委員を代表して、中島京子さんは「受賞作は 文体・構成といった小説としての 完成度が高かった。病に侵され、余命少ない父を持つ家族が、残り少ない時間を大切に暮らしている様子を丁寧に描写している点を評価しました。最終候補4作に共通していたのは、身の回りの手の届く範囲の出来事を描いた点でしたが、本作はそこだけに収まらず、外に出ていくようなところが描かれており、その点が読者に感動を与えるのではないかと感じました」と述べました。
受賞者の野々井透さん
受賞した野々井透さんは、東京都出身・神奈川県在住の42歳。受賞の知らせを受け、「三鷹市が共催の、歴史ある太宰治賞を受賞できたことにただただ感謝と感動の気持ちです。これからも日一日、努力してまいります」と喜びを語りました。
◆第38回太宰治賞最終候補作品
・周詩恩 『異邦の人』
・野々井透『棕櫚を燃やす』
・村雲菜月 『桃のもも色』
・芥川心之介 『×没』
受賞作および最終候補作のすべてと選考委員の選評などを収録した『太宰治賞2022』は、筑摩書房から6月下旬発売予定です。
◆太宰治賞とは
昭和39年に筑摩書房が創設した小説の公募新人賞で、吉村昭をはじめ、加賀乙彦、金井美恵子、宮尾登美子、宮本輝など多くの著名作家を世に輩出してきました。昭和53年の第14回を最後に中断していましたが、三鷹ゆかりの文人たちの文化の薫りを継承したいと考えていた三鷹市が、三鷹になじみの深い太宰治の没後50年(平成10年)を機に、筑摩書房に呼び掛け、共同主催の形で復活しました。
その後も、芥川賞を受賞した津村記久子さん、今村夏子さん、大江健三郎賞を受賞した岩城けいさんなど、有望な若手作家を輩出しています。
[問]芸術文化課TEL0422-29-9861
■タッタカくん!アプリイベント第3弾!みたかチャレンジラン
[問]スポーツ推進課TEL0422-29-9863
三鷹市オリジナルスポーツアプリ「タッタカくん!ウオーク&ラン」(下記)を活用して、いつでもどこでも参加可能です。参加者には、ネッククーラー(窓口配布)や同アプリで使用する「タッタカくんポイント」を100ポイント、目標距離の100kmを達成した方には500ポイントをプレゼントします。
大会概要
開催期間 6月12日(日)まで
部門 (1)一般の部(高校生以上)、(2)シニアの部(大会参加時に満50歳以上)(3)中学生の部、(4)小学生の部
参加資格 在学・在勤を含む小学生以上の市民
目標距離 100km
申込方法 開催期間中に「タッタカくん!ウオーク&ラン」アプリから申し込み
※アプリ上で表示される注意事項を必ず確認のうえ、ご参加ください。
タッタカくん!ウオーク&ラン
ウオーキングやランニングの歩数・距離・消費カロリーなどが測れる無料のスマートフォンアプリです。定期的に開催されるイベントもあり、楽しみながら運動することができます。
■車いすバスケットボール 祝 石川優衣選手が日本代表に!
[問]スポーツ推進課TEL0422-29-9863
三鷹市職員で、車いすバスケットボールチーム「ELFIN」などに所属する石川優衣(いしかわ・ゆい)さん(写真右)が、同競技の女子日本代表に選出されました。石川選手は、5月21日(土)からタイで開催されるIWBFアジアオセアニアチャンピオンシップスに出場します。皆さんで一緒に、石川選手を応援しましょう!
石川選手からのメッセージ
今回、日本代表として素晴らしい舞台に立たせていただけることを大変うれしく思っています。チームの勝利に少しでも貢献できるよう、今の私にできることを出し切りたいです。これまで支えてくださった皆さんや、応援してくださる皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに、最後まで全力でプレーしてきます!
市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり