緑と水の公園都市 三鷹市
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広報みたか2018年5月20日12面

■第34回太宰治賞が錦見映理子さんの『リトルガールズ』に決まりました

 三鷹市と株式会社筑摩書房の共同主催で復活後20回目となる「太宰治賞」の最終選考委員会が、5月9日にみたか井心亭で開催され、選考委員の加藤典洋さん、荒川洋治さん、奥泉光さん、中島京子さんにより、1312編の応募作品の中から、第34回太宰治賞が錦見映理子(にしきみ・えりこ)さん(筆名)の『リトルガールズ』に決まりました。

受賞作『リトルガールズ』
中学2年生の桃香には、最近悩みが多い。恋に目覚めた友人にはついていけないし、血のつながっていないお父さんとは仲が良いけど、お母さんにはほかに好きな人がいるらしい。クラスメイトの美少女・小夜が少し気になっているが、それを知った幼なじみの勇輝は複雑そうだ。一方、家庭科担当の教師・大崎は55歳を超えて、人目を気にせず好きな服を着られる日々に満足していた。ところが、新任の若い美術教師が「あなたを絵のモデルにしたい」と迫ってきて……。「少女」たちの心のひだを描く群像劇。
選考委員の加藤典洋さんは「今回の最終候補作は、別の年であればすべての作品が受賞してもおかしくないほどレベルが高かった。選考委員の評価は割れたが、本作は私自身が強く推したもの。人は人を好きになると弱みができ、失うものができると弱みになる。しかし、それこそが生きるということであり、作者はよく分かっていると感じた。次回作以降もダイナミックな活躍が期待できる作品である」と評しました。
荒川洋治さんは「最終候補作は、いずれも現実世界を舞台として描かれており、真面目で折り目正しい印象を持った。本作は、今を生きる自分との対話、そして読み手との対話が十分に感じられ、親しみやすく読後感が爽やかで心地良い。非常に良い作品が選ばれたと感じている」と選評を述べました。
奥泉光さんは「いずれの最終候補作も作者に力があると思うが、技術的な欠点もあり決め手に欠けた。本作にも技術的な問題はあるが、次回作以降の期待を込めて加藤典洋氏の本作への強い推薦に賛同した」と選評を述べました。
中島京子さんは「本作は、技術的には大きな欠点があるものの、読後感が本当に楽しくなる作品である」と述べました。
受賞した錦見映理子さんは、東京都出身・杉並区在住の50歳。受賞の知らせを受け、「25年間、短歌ばかりを書いてきましたが、散文である小説を書き始め、最初は全く書けなかったが今回の作品で初めて小説が書けたと思うのでうれしいです」と喜びを語りました。

●第34回太宰治賞贈呈式は6月12日(火)午後6時から如水会館(千代田区)で行われ、正賞の記念品と副賞100万円が贈られます。なお、受賞作および最終候補作のすべてと選考委員の選評などを収録した『太宰治賞2018』は、筑摩書房から発売予定です (発売日未定)。

※写真はPDFをご覧ください。


■第34回太宰治賞最終候補作品

・『彼女がなるべく遠くへ行けるように』 山家 望
・『新しい子供』 日上 秀之
・『リトルガールズ』 錦見 映理子
・『ナスと蛙』 吉田 穂


■太宰治賞とは

 昭和39年に筑摩書房が創設した小説の公募新人賞で、吉村昭をはじめ、加賀乙彦、金井美恵子、宮尾登美子、宮本輝など多くの著名作家を世に輩出してきました。昭和53年の第14回を最後に中断していましたが、三鷹ゆかりの文人たちの文化の薫りを継承したいと考えていた三鷹市が、三鷹になじみの深い太宰治の没後50年(平成10年)を機に、筑摩書房に呼び掛け、共同主催の形で復活しました。
 その後も、芥川賞を受賞した津村記久子さん、三島由紀夫賞を受賞した今村夏子さん、大江健三郎賞を受賞した岩城けいさんなど、有望な若手作家を輩出しています。

[問]芸術文化課TEL内線2912


■「第34回太宰治賞贈呈式」にご招待

[日]6月12日(火)午後6時〜8時
[人]市民5人
[所]如水会館(千代田区一ッ橋2−1−1)
[申]5月28日(月)(必着)までに往復はがきで必要事項(11面参照)・太宰治賞や関連イベントへの感想を「〒181-8555芸術文化課」へ(申込多数の場合は抽選)
※結果は6月5日(火)までに通知します。
[問]同課TEL内線2912


■好評開催中!太宰治文学サロン企画展示「太宰治の愛のことば」

[所][問]同サロンTEL26-9150

 太宰治が終生訴え続けた読者への〈心づくし〉の一つとも言える「愛のことば」を、三鷹時代の作品を中心に紹介する展示を開催中です。
 戦後無頼派と称され、破滅型私小説作家のイメージの強い太宰ですが、作品を通して読み手を勇気づけるたくさんの温かいことばを語りかけています。それは、時を経ても、幅広い世代の読者を獲得し続けている、太宰文学の最大の魅力ともいえるでしょう。同展では、『HUMAN LOST』『チャンス』などから10点の「愛のことば」を厳選し、ハートやリンゴの形をしたパネルで紹介しています。
 今もなお太宰の名句として語り継がれる代表的なことばだけではなく、太宰が作品に込めた読者へのメッセージをぜひお楽しみください。

[日]9月17日(祝)までの午前10時〜午後5時30分
※月曜日休館(祝日は開館し、その翌日と翌々日が休館)。
[申]期間中会場へ

※写真はPDFをご覧ください。


■平成30年度特別展「太宰治 三鷹とともに」記念講演会「資料で紐解(ひもと)く太宰治展―没後70年を迎えて」

[問]山本有三記念館TEL42-6233

 今年、太宰治没後70年を迎えるに当たり、市と(公財)三鷹市スポーツと文化財団の主催で特別展「太宰治 三鷹とともに」を6月16日(土)〜7月16日(祝)に開催します。会期中の関連イベントとして開催する同講演会では、同展を監修した安藤宏さんに、見どころと太宰治の創作活動を展示資料をもとに紹介していただき、展示会の味わいをより一層深めます。
※特別展について、詳しくは『広報みたか』6月3日号でご紹介します。

[日]6月24日(日)午後2時〜3時30分
[人]100人
[所]三鷹ネットワーク大学
[講]東京大学大学院教授の安藤宏さん
[物]同展の観覧券(観覧済み半券も可)
※当日会場でも購入可。
[申]6月13日(水)(必着)までに往復はがきで必要事項(11面参照)を「〒181-0013下連雀2-12-27三鷹市山本有三記念館」へ(応募は1枚につき1人。複数枚の申込はできません。申込多数の場合は抽選)

※写真はPDFをご覧ください。


※詳細はPDFをご覧ください。


市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり

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