緑と水の公園都市 三鷹市
このページは広報みたかのバックナンバーです。 応募・募集・申込期限が終了している場合がありますのでご注意ください。

広報みたか2017年1月1日4面

■新春対談「大切な宝物に出会える場所 三鷹の森ジブリ美術館」

中島 清文さん(三鷹の森ジブリ美術館館長)×清原 慶子市長

 昨年、開館15年を迎えて全館の改修工事を行った三鷹市立アニメーション美術館「三鷹の森ジブリ美術館」。これまでスタジオジブリ作品のファンをはじめ、小さいお子さんから大人までたくさんの人たちが、都立井の頭恩賜公園の深い緑の一角にあるこの美術館で、感動や発見と出会ってきました。今年の新春対談では、館長の中島清文さんに、美術館の企画・運営を担う上での思いや、館主で名誉市民でもある宮崎駿監督のことなど、美術館の魅力をたっぷりとお聞きしました。

清原 慶子市長 Keiko Kiyohara
 昭和26(1951)年、東京都生まれ。慶應義塾大学、同大学大学院で学んだ後、杏林大学・国際基督教大学非常勤講師、常磐大学人間科学部専任講師、ルーテル学院大学文学部教授、東京工科大学メディア学部教授・学部長を経て、平成15(2003)年4月に第6代三鷹市長に就任(現在4期目)。「参加と協働」「危機管理」「行財政改革」を政策の基礎に置き、「都市再生」「コミュニティ創生」を最重点とした「高環境・高福祉のまちづくり」を推進している。全国市長会副会長、東京都市長会副会長、内閣官房郵政民営化委員会や総務省統計委員会の委員を務めるほか、三鷹の森ジブリ美術館の管理・運営を行う公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団の副理事長を務める。

中島 清文さん Kiyofumi Nakajima
 昭和38(1963)年、栃木県生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友銀行(現・三井住友銀行)に入社し、在職中に徳間書店やスタジオジブリを担当。平成16(2004)年4月、三鷹の森ジブリ美術館の管理・運営を行う財団法人徳間記念アニメーション文化財団の事務局長に就任。翌年6月、同美術館館長に就任。以降、美術館運営を統括する一方で、毎年度の企画展示の製作プロデューサーを務める。平成19(2007)年には古今東西の傑作アニメーションを紹介する「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」活動を立ち上げる。平成23(2011)年に同財団の公益財団法人への移行を実現。平成28(2016)年に実施された改修工事では計画・立案から施工までを統括した。

ジブリ美術館の"守り人"になる 異業種からの大胆な転身
市長 中島館長と初めてお会いしたのは、ジブリ美術館を管理・運営する徳間記念アニメーション文化財団の事務局長に就任された平成16(2004)年でしたね。以前は銀行にお勤めだったと聞いて、とても驚いたのを覚えています。

中島 もともと、銀行員時代に徳間書店とスタジオジブリを担当していて、徳間書店に出向していた時期もありました。そこで、この美術館の館主でもある宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサー、初代館長を務めた宮崎吾朗氏をはじめとする関係者のみなさんとは顔見知りだったんです。

市長 その翌年に館長になられていますが、金融業界からアニメーションの世界に入るのは、ずいぶん思い切った決断だったのではないですか。

中島 宮崎吾朗前館長が映画『ゲド戦記』の監督を務めるため、館長を辞めることになったのを機に、私に声が掛かりました。なぜ館長になったかと聞かれたら、「縁があった」というよりほかに言いようがない気がします。私自身は、アニメーションにも美術館にもほぼ無縁の人間でしたが、スタジオジブリの映画の秘密、ヒットの秘密をもっとのぞいてみたいという気持ちは強く持っていました。

市長 私が中島館長に対していつも感じるのは、ジブリ美術館の館長という大役を10年以上も務めていらっしゃるのに、まったく気負ったところがなく、いつも泰然自若とした穏やかな姿勢でいらっしゃるということです。

中島 「館長に」というお話をいただいたときには、荷が重くて無理だと思いました。でも、ある方から「誰が館長をしても、あそこは宮崎駿監督の美術館だから」と言われて、肩の力がスッと抜けました。「そうか、宮崎駿監督の美術館ならば、私はそこの"守り人"になればいいのか」と。そう思って引き受けることにしたんです。

市長 とても共感できるお話です。私も市長になったばかりのころは「しっかりと三鷹市政を担わなくては」と、強く意識していました。でも、実際には、市民と職員あっての市政ですし、市長が一人だけで担うものではないんですよね。そう考えたら、私も責任感は持ちつつも肩の力が抜けました。

宮崎駿監督からのプレゼントを多くの人に伝える仕事
市長 私が尊敬しているのは、中島館長が毎年、自らプロデュースされて企画展示を行っていることです。平成19(2007)年に新たに立ち上げられた、世界のアニメーションを紹介する「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」も素晴らしいと思っています。

中島 毎年の企画展示は、館主である宮崎駿監督の監修のもとで行うのですが、監督と一緒に仕事をするのはとても面白いんです。たとえば、以前『3びきのくま』という絵本をテーマに企画展示を行ったときに、監督が「中島さん、『3びきのくま』って何が面白いか分からないでしょ。だから、中島さんのために絵を描きました」と言って、企画の絵を見せてくれたんです。その絵を基に展示が作られていきました。展示以外にも数年に一度、長編映画が制作され、短編映画も出来上がる。すると、「こんな意図が込められているんだ」といった発見や驚きが作品の中にあって、毎回自分の前に新しい扉が開く感じがするんです。そうした作品の意図や制作の過程を知るのは本当に楽しくて、次の企画展示をつくる原動力になっていますね。

市長 お話を伺っていると、中島館長は多くの来館者やファンの代表のような存在なのだと感じます。宮崎駿監督やスタジオジブリの作品に深い愛情や好奇心を持っていて、そのメッセージをどう見せたら一番伝わるかということを、常に考えていらっしゃるのですね。

中島 この美術館は宮崎駿監督からのプレゼントだと考えていて、その中身をうまく解釈して伝えていくのが私の役目だと思っています。でも、それは美術館のスタッフ全員に言えることです。スタッフにはいつも、ここで働く者がまずこの美術館のファンでなければいけない。そうでないと、伝わるものも伝わらないと言っています。

市長 素晴らしいお話ですね。ジブリ美術館は近隣の連雀学園の児童との交流事業をはじめ、地域のための活動にも協力くださっていて、市民にとっても館長をはじめスタッフのみなさんは身近な存在です。

中島 毎年のように、連雀学園の児童と触れ合う企画、たとえば昨年度は美術館に泊まるイベントを行いましたが、こうした機会は私たちにとっても貴重です。子どもたちが自由に楽しんでいる姿を見ると「子どもって本当に遊びの天才だな」と実感できて、それが自分たちの刺激にもなっています。

市長 ジブリ美術館のキャッチコピーは”迷子になろうよ、いっしょに。”ですが、ここへ来ると迷子になるのが楽しいし、子どもはより子どもらしく、また大人も素直な子どものような心になれるんですね。

中島 私自身、この美術館にいると、幼いころに楽しんだ遊びや場所を思い出します。自分の中にある「子どもの心」を解放できるので、こんなにいい仕事はほかにないと思っています。

15の年輪を大切にしながら新しい試みを重ねていきたい
中島 昨年は開館15年という節目を迎えて、建物の化粧直しのほか、植栽や屋上、館内設備など、全館の改修工事を行いました。そして、昨年7月のリニューアルオープンというタイミングで、多くのみなさんから「もう一度見たい」という声をいただいたこれまでの企画展示を一堂に紹介している『猫バスにのって ジブリの森へ』(下記参照)をスタートさせました。

市長 今回の改修工事を終えたとき、宮崎駿監督から寄せられた色紙に「おかげさまでまた15年がんばれます」とありました。この改修が、監督のまた今後15年に向かうパワーにつながったのであれば、それは本当にうれしいことです。

中島 現在、宮崎駿監督は『毛虫のボロ』という短編作品を制作中で、今年中には美術館の映像展示室「土星座」で上映できる見通しです。今回はCG(コンピューター・グラフィックス)を本格的に使って制作しています。

市長 それは本当に楽しみですね。中島館長としては次の15年に向けて、この美術館をどんな場所にしたいと考えていらっしゃいますか。

中島 常に何かわくわくドキドキするような出来事が待ち構えている場所でありたいですね。今回の改修では、塗装一つをとっても年輪を重ねたことでしか出せない風合いを職人さんがきちんと残してくれています。けれども同時に大切なのは、美術館という場所で常に何かが起きているということです。これからもアニメーションの世界に限らず、新たな企画を発信し続けていきたいと思っています。

緑豊かで、新旧のものがうまく共存する三鷹の魅力
市長 ところで、三鷹市でお仕事をされていて、このまちにどんな印象をお持ちですか。

中島 都心から中央線に乗って、最初に畑が見えるのが三鷹ですよね。井の頭公園や大沢地区、野川公園など緑がたくさんあって大好きです。都心の鳥は井の頭公園をオアシスにしていると聞きましたが、人間にとっても三鷹はオアシスです。仕事で都心へ出て三鷹に帰ると、ほっとします。毎朝、玉川上水沿いを歩いていると、四季折々の花や緑が本当に気持ちいいし、昔ながらの商店街など地域にコミュニティが生きている。その一方で、新しい企業なども進出している。新旧のいろいろなものがバランスよく共存しているのが、三鷹の良さだと思います。

市長 そのいろいろなものの中にジブリ美術館もあります。世界でたった一つの独創的な美術館でありながら、地域の中に溶け込んでいます。

中島 地域に受け入れられているということは、我々も本当にうれしいことです。ジブリ美術館を支えてくださるみなさんと、スタッフみんなの努力のおかげだと思います。

市長 これからも、この三鷹の森から、たくさんの人に感動や発見という宝物を届けてくださることを楽しみにしています。本日はありがとうございました。

企画展示『猫バスにのって ジブリの森へ』開催中!
 これまでに公開された14の企画展示を一堂に集め、新たなアレンジを加えて紹介。子どもたちが大好きな絵本『3びきのくま』に登場する大きなクマや、大人も乗れるネコバスなど、復活の声が多く寄せられた展示物も再登場しています。ジブリ美術館の凝縮された15年が楽しめる展示です。
[日]平成29年5月まで(予定)
※同館への入場は日時指定の予約制。チケットはローソン(一般)または、みたか観光案内所(三鷹市、武蔵野市、小金井市、西東京市の在住・在学・在勤者を対象にした市民特別枠)で販売。くわしくは同館ホームページ[HP]http://www.ghibli-museum.jp/またはNPO法人みたか都市観光協会ホームページ[HP]http://kanko.mitaka.ne.jp/ghibli/をご覧ください。
[問]同館ごあんないダイヤルTEL0570-055777(休館日を除く午前9時〜午後6時)
※休館日=火曜日。冬季休館ほか長期休館あり(29年は1月3日(火)から開館)。

※写真はPDFをご覧ください。


※詳細はPDFをご覧ください。


市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり

▲このページの先頭へ

目次ページに戻る

トップページへ戻る


   
三鷹市役所 〒181-8555 東京都三鷹市野崎一丁目1番1号 電話:0422-45-1151(代表) 市役所へのアクセス

開庁時間:月曜〜金曜日の午前8時30分〜午後5時(祝日、12月29日〜1月3日を除く)