緑と水の公園都市 三鷹市
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広報みたか2023年8月20日12面

■太宰治賞受賞者 西村亨さん寄稿文

 『自分以外全員他人』で第39回太宰治賞を受賞した西村亨(にしむら・りょう)さん(写真)が、6月27日に太宰ゆかりのスポットを巡った時の思いを寄稿してくださいました。

 三鷹の地を踏みしめるのはおよそ八年振り、ひょんなことから高円寺に越して来て間もない頃、太宰のお墓を訪れて以来のことだった。元々高円寺が好きで越して来たわけではなかった。それにはまさにひょんなことからとしか言いようのない理由があり、今ここでその「ひょん」について説明するには、文字数の関係上今回の紀行文の趣旨とズレてしまうので割愛するが、「ひょん」とはあるいは「運命」と言い換えてもいいのではないかと私は思う。文字数の関係上。

 担当編集者のK女史と三鷹駅構内で落ち合い、改札を出るとすぐに三鷹市職員のS様にお声かけいただき、その案内のもと、我々がまず向かったのは駅から歩いて六分ほどの場所にある『太宰治文学サロン』だった。そこでさらに三鷹市職員のO様、みたか観光ガイド協会のM様と合流した。サロン内の真ん中には、太宰が晩年を過ごしたという自宅のミニチュア模型が展示されており、数々の著作の初版本、初めて目にする太宰の写真などもあり、陰気な自分にしては珍しく興奮した。

 サロンを出た我々は、そこからはM様の案内により、太宰ゆかりの場所を巡ることとなった。それに先駆けてまずM様は私に、「太宰は好きですか?」とお尋ねになられた。私は、「別に…」と沢尻エリカをやりたくなるのをぐっと堪え、「はい」と答えた。瞬間、M様の目がキラリと光った。その我慢が功を奏し、私はM様より太宰に関する貴重なエピソードを様々教えていただけた。もしも沢尻エリカをやっていたら、それ以降ずっと無視されていたのに違いない。M様にはそういう、きかんぼう的頑なさがあった(たぶん)。

 特に興味を引かれたのは、やはり玉川上水だった。太宰が倒れた「運命」の場所。入水場所なのではないかと目されている近くの歩道には、目印として津軽産の玉鹿石が置かれている。けれどそこに、入水場所等の説明書きは何もない。

 K女史はそんな三鷹市の奥ゆかしさを、「上品」という言葉で形容した。その言葉は言い得て妙だと思い、ぜひ私が言ったということにしてくれないかと頼んだものの、ダメだ、ということだったので、私は今こうして事実を記すより他なかった。

 そう、上品な街なのだ。川沿いの、車道を挟んだ歩道はゆったりと幅が取られていて、所々に休憩用のベンチが設けられてもいた。上品かつ優しい街。その通りは、『風の散歩道』という名前が付けられているのだという。そんな爽やかな通りを、我々は集団でドラクエみたいにして歩いていた。人通りは少なかったが、たまに人とすれ違うことがあり、我々の方が通行を妨げているのだから当然、「すいません」と頭を下げると、なんと向こうも同じように返してくれるのだった。高円寺では考えられない光景だった。ねめつけ、舌打ち、ともすればぶん殴られても仕方ないと感じさせるような空気感が、かの街には漂っていた。

 飲み屋やライブハウス、ガールズバー等が軒を連ねる、色と欲の街高円寺。好きな人にはたまらないのだろうが、私はそういったことに一切興味が持てないので、駅前にも滅多に行くことがなかった。お世辞でも何でもなく、本当は三鷹のように静かな街でひっそりと暮らしていたかった。

 そんなことを言うと、何のために高円寺に住んでるの? と不思議がられる。そんなこと言われても私にも分からない。そうなっているのだから仕方ない。それがやはり「運命」というものなのだろう。

※写真はPDFをご覧ください。


■三鷹の森ジブリ美術館 市民・近隣市民を抽選でご招待します

[問]芸術文化課TEL0422-29-9861

三鷹市民デー
[日]9月30日(土)午前10時〜午後6時
[人]市内在住の方各回300人程度(1組6人まで)

三鷹市および近隣市民デー
[日]10月1日(日)午前10時〜午後6時
[人]三鷹市と近隣市(武蔵野市・小金井市・西東京市・調布市・府中市)在住の方各回300人程度(1組6人まで)

共通
[申]9月11日(月)(必着)までに代表者の必要事項(11面参照)、入場者全員の人数(代表者と乳幼児を含む)・氏名・年齢、希望日(近隣市民は10月1日のみ)、希望入場回(午前10時、11時、正午、午後1時、2時、3時、4時のいずれか)を「〒181-8555芸術文化課」へ(申込多数の場合は抽選)
※電子申請サービス[HP]https://www.shinsei.elg-front.jp/tokyo2/(右記QRコード)からも申し込めます。
※当選者には9月19日(火)以降に招待状を郵送します(電話での当落確認は不可)。
※同一グループでの複数の申し込みや、記載事項に不備がある場合は無効です。

市ホームページをご覧ください
 よくある質問への回答などを掲載しています。

※写真・二次元コードはPDFをご覧ください。


■三鷹の此の小さい家 企画展示「さよならだけが人生だ―太宰治、林芙美子へ、井伏鱒二の言葉」

[問]太宰治文学サロンTEL0422-26-9150

 太宰からの依頼により、『ヴィヨンの妻』初版の装丁・扉絵を描いた林芙美子。2人の交流は戦後のことで、太宰が芙美子の自宅を訪ね、芙美子の家族にも親しまれていたほどの間柄でした。太宰が肉親同様に世話になった師である井伏鱒二の言葉から、太宰と芙美子の交流を振り返ります。

[日]8月29日(火)〜12月3日(日)午前10時〜午後6時
休館日
 月曜日(祝日の場合は開館し、その翌日と翌々日が休館)、9月13日(水)・14日(木)、10月12日(木)・24日(火)〜27日(金)
[所]太宰治展示室(三鷹市美術ギャラリー内)
[申]期間中会場へ

協働イベント
林芙美子生誕120年記念スタンプラリー

 会期中に同展示室、新宿区立林芙美子記念館、新宿歴史博物館の3施設を巡るスタンプリーを開催します。参加者には各施設でデザインが異なる記念ステッカーを、スタンプをすべて集めた方には特別ステッカーをプレゼント。
※記念ステッカーは各施設先着1,000人、特別ステッカーは先着1,000人。

※画像はPDFをご覧ください。


■第161回太宰治作品朗読会『女生徒』

[所][問]太宰治文学サロンTEL0422-26-9150

 朗読は俳優の北澤小枝子さん(写真)。

[日]9月15日(金)午後6時〜6時50分
[人]20人
[申]9月4日(月)(必着)までに往復はがきで必要事項(11面参照)・参加者氏名(2人まで)を「〒181-0013下連雀3-16-14グランジャルダン三鷹1階 太宰治文学サロン」へ(1人1通。申込多数の場合は抽選)

※写真はPDFをご覧ください。


※詳細はPDFをご覧ください。


市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり

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