広報みたか2017年8月6日3面
■三鷹まちづくり総合研究所「庁舎等建替えに向けた基本的な枠組みに関する研究会」から報告書が提出されました
建設から50年以上が経過した庁舎等の建替えを検討するため、三鷹まちづくり総合研究所(※)に設置した「庁舎等建替えに向けた基本的な枠組みに関する研究会」から、6月21日付で市に報告書が提出されました。今号では、同報告書の概要をお知らせします。
[問]都市再生推進本部事務局TEL内線2053
※総合的なまちづくりに資する調査・研究・提言などを行うため、市とNPO法人三鷹ネットワーク大学推進機構が共同設置している機関。同研究会では、学識経験者6人(亜細亜大学都市創造学部教授の松岡拓公雄さん〈座長〉、武蔵野美術大学造形学部教授の齋藤啓子さん、工学院大学建築学部教授の村上正浩さん、(株)住環境計画研究所の村越千春さん、NTTネットワーク基盤技術研究所の松本公秀さん、UR都市機構東日本都市再生本部の木村政喜さん〈29年3月まで〉)と市職員14人が研究員として参加しました。
研究会設置の経過と報告書の位置づけ
市では、公共施設の耐震性の確保や効率的な維持・保全・活用に向けた「都市再生」の取り組みとして、防災活動の拠点となる消防団詰所や避難所となる学校、コミュニティセンターの耐震化を平成28年度に完了しました。また、老朽化し耐震性に課題のあった複数の公共施設を、29年4月にオープンした「三鷹中央防災公園・元気創造プラザ」に集約しました。
そこで次に大きな課題となるのが、建設から50年以上が経過した市庁舎等の建替えです。市庁舎は市民自治の拠点であるとともに、発災時には災害対策支援の拠点となる重要な施設です。そのため、28年3月に改定した『第4次三鷹市基本計画(第1次改定)』でも、「市庁舎建替えプランの検討」を主要課題に位置づけ、検討手法などの研究を進めることとしていました。
こうした中、28年4月に発生した熊本地震は、県内の市役所・町村役場が大きな被害を受け、庁舎機能を移転せざるを得なくなった自治体もあるなど、災害時における庁舎の重要性を再認識させるものでした。そのため、市では、庁舎等の建替えに向けた検討を加速化することとし、28年9月、三鷹まちづくり総合研究所に「庁舎等建替えに向けた基本的な枠組みに関する研究会」を設置しました。同研究会では、約10カ月にわたって調査・研究が行われ、このたび研究会としての提言などが盛り込まれた報告書が市に提出されました。
市では今後、報告書を議論の出発点として、広く市民のみなさんのご意見を伺う多様な市民参加を展開し、「庁舎等整備基本構想(仮称)」を策定する予定です。
報告書の概要
※同報告書の全文は、市ホームページからご覧いただけます。
第1章 現庁舎等の概要
検討の前提として、現在の市民センター(※1)および教育センターについて、敷地・施設の概要をまとめた。また、現在の市民センター内の施設のうち、特に庁舎棟、議場棟、公会堂には次のような優れた特徴があることを特記する。
●建築当時としては斬新なデザインであり、第8回BCS賞(※2)を受賞している。
●コア方式によるワンフロア・システムを採用したため、来庁者の見通しが確保され、その後の組織改正に伴う執務空間の変更などにも柔軟に対応できている。
●開館当初から執務室を禁煙とし、完全分煙としている。
●近年では、情報セキュリティマネジメントシステムや環境マネジメントシステムの運用にも取り組んでいる。
※1 庁舎棟、第二・第三庁舎、議場棟、三鷹市公会堂(さんさん館を含む)、市民総合体育館(平成29年度以降除却予定)、福祉会館(29年度除却予定)ならびにそれらの敷地。
※2 建築業協会(現・日本建設業連合会)が行っている、国内の優秀な建築作品の表彰。
第2章 現庁舎等の課題と建替えの必要性
現庁舎等の課題を整理し、建替えの必要性について研究会としての考え方をまとめた。
課題1 耐震性能
現庁舎等は新耐震基準で求められるIs値0.6を確保しているが、国では、災害応急対策活動に必要な建築物のうち特に重要なものについては、大地震後も構造体の補修をすることなく使用できるよう、Is値0.9以上を目標値としている。また、熊本地震では、耐震補強工事後の庁舎にも被害が生じた教訓を踏まえると、三鷹市の庁舎についても、国の目標値を参考にしながら、耐震性能を向上させることが必要である。
課題2 建物の老朽化
鉄筋コンクリート造および鉄骨コンクリート造の建物の耐用年数は60年程度とされている中、現庁舎等は建築、設備ともに全体的に経年劣化が進んでおり、給排水設備の主配管や、庁舎棟全体の大型空調機などの更新が必須となる。しかし、こうした基幹的な設備の更新は、庁舎機能の一時停止、困難な施工、景観への悪影響などの課題があるうえ、多額の投資を必要とする。
課題3 時代の変化への対応
多様化する市民ニーズに対応するための利用空間・執務空間の改善、さらなるバリアフリー化とエネルギー効率の向上、狭あい化と庁舎機能の分散化の解消などは、現庁舎等での改修では限界がある。
こうした課題の整理を踏まえると、平成37(2025)年に築60年を迎えることを一つの契機として現庁舎を建替えることは、時宜にかなったものであり、速やかに具体的な検討に入ることが望ましい。
第3章 新庁舎等の整備に向けた基本的な考え方
市の最上位計画である『三鷹市基本構想』は、「人間のあすへのまち」を基本目標に掲げている。したがって、新庁舎等の整備に向けた基本理念も、「『人間のあすへのまち』を象徴する新庁舎等」とすることが望ましい。
また、市民満足度の高い次世代型の庁舎を検討すべきとの観点から、コンセプトに通底する基本的な考え方として、3点の「基本方針の『基礎』」を提案する。
そのうえで、建物のコンセプトを検討するに当たり重要な柱となる「人間」「時間」「空間」の観点から、11の基本方針を提案する(下記イメージ図参照)。
※図はPDFをご覧ください。
第4章 新庁舎等の位置
都市化した三鷹市で新たな用地を確保することは困難であることを踏まえ、現在の市民センターの位置が新庁舎の整備に適しているか否かの検証を行いつつ、他の市有地での整備の可能性を検討した。市庁舎の位置について、地方自治法は、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情や他の官公署との関係などを考慮することを求めている。こうした観点から、現在の市民センターの位置を検証すると、次のような利点が挙げられる。
●「三鷹市役所前」バス停から各方面へのバス便は早朝、深夜を含めて充実しており、利便性が高いと考えられる。
●他の官公署等との関係としては、三鷹警察署、三鷹消防署、JA東京むさし三鷹支店、三鷹郵便局などと近接している。
●三鷹市域全体でみた地理的重心(市域の外周円の中心点)と人口重心(市域内の人口が全体として平衡を保つことのできる点)は、ともに市民センターの近くにある。
また、市のまちづくりの観点から見ると、市民センターの隣地にオープンした三鷹中央防災公園・元気創造プラザと新庁舎等が近接することは、市民サービスの向上、にぎわいの創出、市民の安全安心に大きく寄与する。研究会で実施した市民アンケート(回答数:447人)でも、現在の市役所の場所について、「便利だ/満足だ」と「普通だ」との回答が約8割を占めている。
一方、一定の面積を有する他の市有地(井口特設グラウンド用地、環境センター跡地、三鷹駅南口中央通り東地区再開発エリア)はいずれも、立地や面積などに課題がある。こうしたことから、新庁舎等は、現在の市民センター用地に再整備することが望ましい。
第5章 市民参加・学識参加・職員参加等
三鷹市は、市民会議・審議会、パブリックコメント、まちづくりディスカッション、市民意向調査などの豊富な市民参加の取り組みの実績を有している。従って、新庁舎等の整備に向けた市民参加としても、これまで実践してきた多様な手法を適宜選択しながら、市民意見の反映を図ることが効率的かつ効果的である。
また、市議会での「市庁舎・議場棟等建替え検討特別委員会」の設置が見込まれることから、議会と連携しながら検討を進めていく必要がある。さらに今後、設計業務、工事請負業務などを民間事業者との契約によって進めていく際には、学識者の知見が有効であり、助言者会議などを設置することが望ましい。機能的・効率的で生産性の高い新庁舎等とするためには職員参加による検討も必須である。
第6章 規模と事業費の想定
新庁舎等の規模と事業費のシミュレーションを行った。
基本条件として、(1)現在の庁舎棟、議場棟、三鷹市公会堂、第二・第三庁舎、教育委員会事務局を一体的に整備することや、(2)議員定数と職員数をほぼ現行どおりとすることなどを仮定したうえで、総務省が示した基準などを参考にシミュレーションを行うと、想定延べ床面積は約26,000平方メートルとなる。さらに、一定の公共・公益施設の集約に伴う面積増を仮定すると、全体の想定延べ床面積は約30,000平方メートルとなる。
一方、工事費については、他の自治体の実績や東京都が示す標準建物単価を勘案しながら1平方メートル当たりの単価を想定したうえで事業費を試算すると、約30,000平方メートルの延べ床面積の場合、建築費は140〜170億円となる。
こうした試算を参考にしながら今後、図書館を取り込んだ再整備、子ども・子育て支援や健康福祉、地域活性化などの機能の複合化、さらには、隣接する三鷹郵便局との一体的な整備など、さまざまなプランが検討されることを期待する。
第7章 整備手法と整備スケジュール
庁舎等の建替えのためのさまざまな整備手法のメリット、デメリットを整理するとともに、想定される整備スケジュールを示す(下図参照)。
近年、都市部の自治体では、庁舎の建替えに際し、商業施設や住宅などとの合築を行う実例があるが、現在の市民センター内での再整備を前提とすると、立地などの条件からある程度オーソドックスな手法とならざるを得ない。ただし、いずれの手法を採用するとしても、いわゆるコンストラクション・マネジメント方式(※)を採用することが望ましい。
なお、今後のスケジュールの想定は下図のとおりであるが、現在の庁舎等の老朽化を勘案すると、さまざまな手法を検討することによって、さらなる短縮化に向けた調整が望まれる。
※建設プロジェクトの企画、設計、発注、工事、引き渡しの各段階において、マネジメントの視点から品質向上やコスト適正化に取り組む手法。
新庁舎等の整備に向けたスケジュール案
※表はPDFをご覧ください。
市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり