緑と水の公園都市 三鷹市
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広報みたか2016年8月21日8面

■太宰治賞受賞者 夜釣 十六さん 寄稿文

『楽園』で第32回太宰治賞を受賞した夜釣十六(よづり・じゅうろく)さん(写真)が、6月19日に行われた太宰治朗読会に合わせて三鷹を訪れた時のエピソードを寄稿してくださいました。

《こんなに自分のことばかり書いて―この人は自分で自分を啄ばんでいるようだ》

 『回想の太宰治』(増補改訂版 1997年8月 人文書院発行)の中で、津島美知子さんは夫に対する印象をそのように記しています。太宰作品の読者として、また物書きの端くれとして、非常に心打たれる一文です。

 今年6月、拙作が太宰治賞を頂いたご縁で、三鷹市内を案内していただく機会がありました。ちょうど桜桃忌にあたる19日のことです。みたか観光ガイド協会の小谷野さんにお話を伺いながら、玉川上水沿いの「風の散歩道」を歩きました。

 江戸期に造られた玉川上水は、初夏の緑のなかに今も細く流れていました。かつて溝渠の両岸に木々は少なく、風通しのよいその土手を太宰は好んで散歩したといいます。土地の来歴を教わりながら歩いていくと、静かな水の流れに、過去から現在へと連なる歳月の奥行きが感じられました。

 道すがら小谷野さんがご紹介くださった『回想の太宰治』には、三鷹での住居に関する次のような記述があります。
《南側は庭につづいて遥か向こうの大家さんの家を囲む木立まで畑で、赤い唐辛子や、風にゆれる芋の葉が印象的だった。西側も畠で夕陽は地平線すれすれに落ちるまで、三畳の茶の間とお勝手に容赦なく射し込んだ》

 美知子夫人の平明な文章には、読み手のイメージを喚起する強い力があると感じます。昭和14年から夫妻が暮らした借家の辺りには、今では住宅がぎっしりと立ち並んでいましたが、手記の表現に触れた途端、目の前にある街並みが半透明に薄らぎ、地平線近くまで田畑の続いていた夕暮れの風景が二重写しになって広がるようでした。

 太宰邸にあったサルスベリの木が、「みたか井心亭」に移植されているというのも嬉しい事実でした。6月にはまだつぼみもなく青々とした葉だけが繁っていましたが、いずれ時期が来れば、美知子夫人が《クレープペーパーで造ったような》と鮮やかに表現した花を咲かせるのでしょう。「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」という漢詩の一節が想起されます。

 思うに、太宰の生きた頃から時を経ても変わらないのは、卓越した小説家の、自分自身の胸に嘴を突っ込んで文章の材を引っ張り出すような、ある意味では痛ましい性質かもしれません。冒頭で引用した美知子夫人の言葉は、鋭い観察眼とともに、深い敬意と情愛に裏打ちされているように思えます。

 太宰の短編『HUMAN LOST』の「人、おのおの天職あり」という一節に《啓示を受けたように深い感銘を受けた》という美知子夫人。太宰の才能のために尽くし、彼の没後も正確な記録を残すことを自らの務めとしたという彼女の生き方。平凡な私は、天才・太宰治よりも、むしろ美知子夫人に強い憧れと共感を覚えるのです。

 この文を書くにあたり、忘れがたい桜桃忌の一日を反芻するごとに、私にとって三鷹のまちは、美知子夫人の生きたまちとして深く心に刻まれていくのでした…などと言うと太宰先生はご不満に思われるでしょうか。皆様、くれぐれも内密にお願いいたします。

※写真はPDFをご覧ください。


■芸術写真の時代 塩谷定好(シオタニテイコウ)展

[日]8月20日〜10月23日(日)午前10時〜午後8時(入館は7時30分まで)
※毎週月曜日と9月20日(火)、10月11日(火)は休館(9月19日、10月10日の祝日を除く)。

 大正から昭和にかけて活躍した写真家・塩谷定好(1899〜1988年)は、小学生の頃から写真を始めました。生まれ育った鳥取の自然や人々を詩情豊かな描写と構成力で写し、数々のコンテストで入選や受賞を重ねますが、1930年代以降は中央の写真界から徐々に距離を置き、故郷の写真界の発展に尽力します。
 同展は東京の美術館では初めての回顧展で、1920年代〜70年代の仕事を100点の作品展示で紹介します。

[¥]一般600円、65歳以上・学生300円
※中学生以下・障害者手帳などをお持ちの方は無料。
※この記事を持参の方は、一般600円を480円に割り引きます(1回に限り2人まで)。

三鷹市美術ギャラリー
JR三鷹駅(南口)CORAL5階TEL79-0033
[HP]http://mitaka.jpn.org/gallery/

※写真はPDFをご覧ください。


■たにぞうさんと一緒に親子で元気に踊っちゃおう!

[問]スポーツ振興課TEL内線3326

 NHK「おかあさんといっしょ」の体操コーナー「ブンバ・ボーン!」の作詞と振り付けでおなじみの、たにぞうさん(写真)の親子コンサートです。歌に合わせてみんなで踊りましょう。

[日]10月9日(日)午前10時15分〜11時15分
[人]2〜5歳のお子さんと保護者100組
[所]一中体育館
[物]室内履き、動きやすい服装
[申]8月22日(月)〜9月5日(月)(必着)に往復はがきでお子さんと保護者の必要事項(7面参照)を「〒181-8505スポーツ振興課」へ(申込多数の場合は抽選)

※写真はPDFをご覧ください。


■図書館講演会「読み返される本の見つけかた」

 吉祥寺で出版社「夏葉社」を一人で営む島田潤一郎さんに、出版社から見た本の魅力を伺います。7月に同社から復刊されたばかりの『移動図書館ひまわり号』にまつわる裏話もお楽しみに。

[日]9月11日(日)午後2時〜4時
[人]50人
[所]三鷹図書館(本館)
[申][問]8月23日(火)午前9時30分から三鷹図書館(本館)TEL43-9151へ(先着制)


■杏林大学井の頭キャンパス図書館見学会

[所][問]同大学図書館(下連雀5-4-1)TEL47-8000

 今年4月に開設した同キャンパスの図書館を司書がご案内します。

[日]9月7日(水)午前10時から、午後2時から(各回30分程度)
[人]18歳以上の市民各20人
[申]8月22日(月)から必要事項(7面参照)、希望回を同大学[メール]ilib@ks.kyorin-u.ac.jpへ(1人1通。先着制)
※駐車場、駐輪場はありません。


■三鷹湯めぐり銭湯スタンプラリー

開催中

 4カ所のスタンプを集めた方には、特製ライト付きボールペンを進呈します(200本限定。無くなり次第終了)。暑い夏こそ銭湯でじっくり汗を流すと気分も爽快になりおすすめです。

[日]11月30日(水)まで
[所]アサヒトレンド21(上連雀2-7-1)、千代乃湯(井口2-4-31)、のぼり湯(井口5-5-18)、春の湯(下連雀3- 37-12)
[問]のぼり湯TEL31-7645、市生活経済課TEL内線2542


※詳細はPDFをご覧ください。


市外局番「0422」は省略。 【主】主催者 【日】日時・期間 【人】対象・定員 【所】場所・会場 【講】講師 【¥】費用 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保育】保育あり 【手話】手話・要約筆記あり

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