広報みたか2013年8月4日12面

■太宰治賞受賞者KSイワキさん　寄稿文

　「さようなら、オレンジ」で第29回太宰治賞を受賞したKSイワキさん（写真）が、お住まいのオーストラリアから6月22日に三鷹を訪れた時の印象を寄稿してくださいました。

　洗練された美しい平面の都市、というのが、今回太宰治賞の贈呈式のために大都会東京を訪れたときの印象ですが、後日、ご縁あって三鷹にお招き頂いたとき、私がこの街に抱いた確かなものは、同じ東京という土地でありながら、木彫りのレリーフのような温かみと静謐さを兼ね備えた立体の街であるということでした。

　「風の散歩道」「井の頭公園」をはじめ、至る所に溢れる瑞々しい緑、「もし、家を接収されなかったら、私も市民としてミタカにとどまっていたことであろう」という文章を残した山本有三の旧邸宅「山本有三記念館」、十年二十年先を想像して建てられたという「ジブリ美術館」、本格的な茶室があり、市民の憩いの場所として開放されている「みたか井心亭」、そして、太宰が生きたまち三鷹の陸標的な存在「太宰治文学サロン」。それらは単なる名所ではなく、人々の集う血の通った場所、という共通点があり、きっとそこからこの三鷹がこれからもさまざまに変容し立体として立ち上がる街という確信を私は持ちました。訪れた場所どれひとつとっても、そこにあること、それ自体が自然だと感じられました。そして、私のような一日限りのビジターにもそのような印象を与えるためには、市民の皆さんや関係者の方々の日々の努力と、なみなみならぬ街への愛情があることを、案内して頂いたガイドの方達の表情や語りから感じることができました。

　今回案内して頂いたなかで、個人的に一番印象に残った場所は、「玉川上水」です。そこを訪れた際に、太宰治と玉川上水にて入水した山崎富栄の遺書についてガイドの方から話を聞きました。その内容のあまりの激しさに戸惑うと同時に胸を打たれたあと、当時は人喰い川と呼ばれた現在の穏やかな玉川上水と「玉鹿石」の置かれた入水場所を目前にして、太宰治のような作品を書くことも、同じ女でありながら山崎富栄のように情熱的に死を選ぶことも、私にはとても真似できないなぁ、と感心させられた次第です。梅雨の晴れ間の日の光が川面に映っていて、軽やかな水音を放ちながらたゆたうさまが、臆病者の私をまるでせせら笑っているかのようでした。

　皆さんに心を配って頂いた三鷹での一日を終えてホテルに戻ると、昼間夫に連れられて、ジブリ美術館を訪れていた子供たちが「ネコバス」に乗ったのだと大騒ぎして出迎えてくれました。三鷹には天文台もあるそうよ、と伝えると、天体観測が好きな彼らは心底残念そうな顔をして、翌朝の成田出発を遅らせられないかと真剣に哀願してくるのでかわいそうになってくるくらいでした。

　南半球に生まれ育った彼らですが、次回お邪魔させていただくときには北半球の星を三鷹で見せて頂き、光あるものはどこに定められても同じきらめきがあるということを伝えられたらと願っております。

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■三鷹の夏の風物詩　第46回三鷹阿波おどり

8月17日（土）18日（日）

　市内外、約30の連が華麗な踊りを披露します。ぜひご来場ください。

［主］三鷹阿波踊り振興会
［所］三鷹南口駅前商店街（中央通り）
［問］同振興会事務局TEL0422-49-3111（三鷹商工会内）

8月17日（土）
開会式　午後5時30分
踊り開始　午後6時
終了　午後9時

18日（日）
踊り開始　午後6時
表彰式　午後8時40分
終了　午後9時

◎写真コンクールにご応募ください！
　当日撮影したスナップ写真をお寄せください。くわしくは同振興会事務局へ。

※詳細はPDFをご覧ください。

■三鷹市星と森と絵本の家　伝統的七夕まつり

8月11日（日）
「旧暦の七夕」に星と森と絵本の家ならではの七夕まつりを楽しみませんか？

［問］同施設TEL0422-39-3401

　古くから、日本の七夕と言えば7月7日ですが、国立天文台では、梅雨が明け、星が見やすい旧暦の7月7日を「伝統的七夕」（※）と呼び、その日付をお知らせしています。星と森と絵本の家で、昔の人たちも見た七夕の夜空を楽しみませんか。
※今年は8月13日（火）が「伝統的七夕」の日です。

催しスケジュール
◇七夕短冊づくり（午前10時～午後5時）
　昔のやり方にならって、サトイモの葉から露を取って墨をすり、願い事を書きます。
◇ジュニアスタッフの模擬店
　（午後2時～7時。4時～5時は一時閉店）
　かき氷屋、駄菓子屋などが出店します。
◇七夕ジャズコンサート（午後6時30分～7時30分）
　ジャズバンドの生演奏をお楽しみください。
◇星空観望（午後6時30分～8時）
　天体望遠鏡で星を見てみよう。夏の星座を見つけられるかな？
◇七夕セレモニー（午後7時30分～8時）
　夏の星空のおはなしを聞いて、祭壇で笹飾りのおたき上げをします。
※雨天の場合、午後5時以降のイベントは中止。
※小学生以下のお子さんは保護者同伴。
※天文台見学コースへの立ち入り不可。

星と森と絵本の家の定例行事（8月）
［日］（1）絵本のおはなし「池のおはなし」＝7日（水）午後2時から、（2）絵本リレー＝14日（水）午後3時30分から、（3）街頭紙芝居＝18日（日）午前11時30分から、午後1時から、（4）絵本リレーぷらす「夏」＝21日（水）午後3時30分から
［申］いずれも当日会場へ

※詳細はPDFをご覧ください。