緑と水の公園都市 三鷹市
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広報みたか2009年8月16日12面

■太宰治賞受賞の柄澤昌幸さん寄稿文

 『だむかん』で第25回太宰治賞を受賞した柄澤昌幸(からさわまさゆき)さんが、6月19日に行われた太宰治作品朗読会に合わせて三鷹を訪れた時の印象を寄稿してくださいました。

 三鷹の改札を抜け、最初に耳にした町の声は「やっぱり人が多いね」だった。今日は太宰治生誕百年の桜桃忌である。

 この日、市役所のかたと町を散策する予定だが、約束より二時間も早く駅に着いた。太宰先生の墓参りのためだ。既に僕の作品を読まれたかたは御承知かと思うが、欠点が少なくない。それなのに、記念すべき年に賞を賜ったのは、ひとえに地下の太宰先生がイタズラ心を起こしたおかげである。だから、どうしても自らの足で出向き、お礼を申し上げたかったのだ。もう一つ理由がある。この紀行文は名所旧跡を紹介するのが恒例だが、太宰は『津軽』の冒頭でこう記している。私は小説家なのだから、このたびの旅行では専門家みたいな知ったかぶりは厳に慎み、心と心のふれあい、愛を探求すると。一人ひと足先に墓参したのは、師の心得を真似て、愛を探したいという思い込みもあった。

 駅を出て、中央通りを行く。小綺麗でまっすぐな通りは、特異日のせいか往来もにぎやかだ。道の先に広がる空は梅雨晴れですがすがしく、前を行く和服姿の御婦人たちは、日傘を回して歩いていた。禅林寺に着く。ものすごい人出だ。テレビクルーも何組かいて、墓地とは思えない雰囲気である。自然に出来た行列に並ぶ。観光気分で騒いでいる団体もいたが、一人で太宰に会いに来たおばあさんの姿もあった。

 ようやく墓前に立つ。たくさんの花束。ウィスキーのミニボトル。青森のりんごジュースに、手書きのファンレター。そんな供物に囲まれた墓石には、刻まれた墓碑銘にサクランボがいくつも埋め込まれている。僕は線香を手向けると、こうべを垂れて手を合わせた。周りの参拝者も手を合わせる。見知らぬ町で、大勢の見知らぬ人と、同じ故人をしのんでいることが、なんとも心地よかった。そして受賞以来、喜びの反面でひどく孤独だったことに気づかされた。

 禅林寺を出て、来た道を引き返す。駅前交差点で信号待ちをしていたときのことだ。杖にすがったおじいさんが、道路工事のオジサンに「禅林寺はどちらで?」と尋ねている。オジサンは腕組みして「うーん」と首をひねった。僕は思わずクチバシをはさんだ。
「この道をまっすぐ、突き当たりを右です」
「あ?」オジサンは僕に顔を向けた。「そうなんだけどよ、そっちは遠回りだろ。近道あんだけど、どう説明したもんかなァ」
「遠いんですか?」杖のおじいさんが心配そうに尋ねる。
「僕、さっき行って来たんですが、三十分くらいかかりました」
「近道ならそんなにかからないって」
「ご案内しましょうか?」同じく信号待ちをしていた老紳士が割って入った。「私、禅林寺の近所に住んでる者です」

 おじいさんは老紳士について行った。道路工事のオジサンは、ぶすっと持ち場に戻る。僕は、「津軽」にあった師の失敗まで真似ていることに気づき、頭を掻いた。
〈私は、れいによって専門家に向い、半可通を振りまわした。〉

※詳細はPDFをご覧ください。


■木のおもちゃが来場者に大人気!「星と森と絵本の家」で活躍中 森武彦さん

 7月7日にオープンしたばかりの「星と森と絵本の家」では、今、木の工作コーナーが大人気!教えているのは、森武彦さん(67)。「森さーん!今日は何を作るの?」夏休みを待ちわびていた近所の小学生が、この日も続々と集まってきました。今日の工作は丸太のチップで作るペンダント。森さんに見守られながら、子どもたちは自分の手でのこぎりを動かします。ドリルであけたくぼみに好みの飾り付けをして、ひもを通せば完成!自分で作った、世界に一つしかないペンダントをつけて、女の子はどこか満足げな表情を見せてくれました(左写真)。

 森さんは、銀行員・会社役員として多忙な日々を送る中、趣味の日曜大工も独学で腕を磨いてきました。そして2年前に退職。「これからは、自分のやりたいことを思いっきりやろう」と木のおもちゃ作りを始めました。この日作ったペンダントも、そのころ近所の保育園に通う子ども約100人全員にプレゼントした思い出の一品です。そして、保育園と交流を深めていく中で出会った職員から「星と森と絵本の家」に誘われ、森さんは一念発起。現在は工作コーナーの一方で、施設を盛り上げていくためのイベントをスタッフと考案中です。「この先、施設で使っていくいすを、みんなで作りたい」「子どもに木のおもちゃをプレゼントしたい大人のために工作のお手伝いをしよう」楽しそうなアイデアがどんどん出てきます。

 「自分の好きな木工が、たくさんの人の役に立って、喜ばれて…。こんなに幸せなことはないね!」充実感たっぷりの森さんの表情が印象的でした。

星と森と絵本の家
(大沢2-21-3 国立天文台三鷹キャンパス内)
TEL39-3401・FAX39-3402
開館時間 午前10時〜午後5時
休館日 火曜日、年末年始
JR三鷹駅・武蔵境駅、京王線調布駅からバスで「天文台前」または「天文台裏」下車
※駐車場はありませんので、自動車での来館はご遠慮ください。
※工作コーナー教室の開催日は、直接お問い合わせください。

※詳細はPDFをご覧ください。


■8月22日(土)・23日(日)三鷹阿波おどり

 三鷹の夏の風物詩「三鷹阿波おどり」は、市内外のおよそ30連が踊りの競演を繰り広げます。

[主]三鷹阿波踊り振興会
[所]三鷹駅南口商店街
[問]同会事務局TEL49-3111

22日(土)
午後5時30分〜 開会式
午後6時 スタート
午後9時 終了

23日(日)
午後6時 スタート
午後8時40分〜 閉会式
午後9時 終了

※詳細はPDFをご覧ください。


※詳細はPDFをご覧ください。


【主】主催者 【人】対象・定員 【日】日時・期間 【所】場所・会場 【¥】費用(記載のないものは無料) 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【託】託児あり

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