広報みたか2005年6月19日8面
■「絵本館構想検討会議」設置
市民のみなさんの声を受けて「絵本館構想検討会議」設置へ
「絵本館(仮称)の整備に関する基本方針(案)」に対するパブリックコメント(4月17日公表、5月9日募集終了)として、市民の方々から全部で25件のご意見をいただきました。
内容としては、絵本を通した事業の推進についてほとんどの方が賛同し、事業や施設に関してたくさんの提案や要望が寄せられています。しかし、施設のコンセプトや機能のイメージのとらえ方はさまざまに別れ、また、1カ所の建物ではなく身近な地域で絵本に親しむ環境づくりをすべきというご意見もいただきました。
市では、こうした結果を受けて、絵本館についての全体構想をもっと深め、豊かなものとする中で、市民のみなさんと具体的なイメージを共有化する必要があると判断し、公募市民や専門家などでつくる「絵本館構想検討会議」を設置し、その中で検討することとしました。検討会議では、さまざまな分野の専門家や関連団体をゲストスピーカーとして招くなどの取り組みも予定しています。
→コミュニティ文化室絵本館担当TEL内線2511
絵本館について、一緒に考えましょう!「絵本館構想検討会議」メンバーを募集
「絵本館構想検討会議」は、市民と市が絵本館のビジョンを共有するために行います。絵本の作り手、子どもへの伝え手など、さまざまな立場の専門家をゲストスピーカーとして招く場合は、検討会議メンバー以外にも公開し、検討会議の内容は随時ホームページほかでお知らせするなど、多くの方の声を聞きながら、約6カ月間開催します。会議は、主に平日夜間に保育付きで開催予定です。メンバーは、学識経験者・子どもと本にかかわる活動経験者計7人程度、一般公募(市民)3人、職員の検討チームで構成します。
◆公募枠募集 7月11日(月)までに、「子どもと絵本のかかわりについて思うこと」を800字以内にまとめ、住所・氏名・電話番号・メールアドレスを添えて「〒181-8555三鷹市役所コミュニティ文化室絵本館担当」<メール>komyunitei@city.mitaka.lg.jpへ郵送またはメールで申し込む(申込多数の場合は抽選)。
絵本館のめざすもの
子どもたちの心を豊かにはぐくむために
市長 清原慶子
「絵本館(仮称)の整備に関する基本方針(案)」に対して、パブリックコメントやそのほかの機会を通じて、市民のみなさんからさまざまなご意見をいただきました。絵本館についての数多くのアイデアや希望が寄せられる一方で、まず施設というよりも、もっと身近な地域に絵本に親しめる環境を望む声もありました。
「絵本館」は、絵本の楽しさや文化としての豊かさを伝え、子どもたちの心を豊かに育むことを目的とした、これまでにない役割をめざす施設です。「絵本館」という新しい拠点のイメージを通して、子どものための諸施策をつなげ、多くの新しい人材と地域資源を巻き込んだぬくもりやふれあいのある活動が展開されることを願って提案いたしました。
このような趣旨から、「基本方針(案)」は、施設整備を中心として取りまとめたものです。しかし、そのために絵本館の事業のイメージや、子育て支援施設、図書館などとの連携のイメージを伝えきれていない面があり、パブリックコメントでも、こうした点にご意見やご要望が集まったものと思われます。
◆なぜ絵本なのか
市の絵本館構想の根底にあるのは、子どもや子育ての現状に対する問題意識であり、それを解決したいという意欲です。
絵本に象徴される「子どもの世界」――紙芝居、昔話、人形劇、童謡、児童文学などを通して、親の子育て力と地域の子育て力を高めていくこと、子どもたちの想像力や創造力を育てる「ふれあい」と豊かな体験を持てるようにすることをめざしています。
さらに、絵本を媒介にすることで、子ども同士の遊びや体験は大きく広がります。おとなたちも「子どもの世界」に立ち戻って楽しむことができるだけでなく、絵本と子どもたちをつなぐ地域での活動の担い手になることができます。また、担い手が増えることで、新しいつながりや組織がコミュニケーションを豊かにし、連携を深めます。こうして、地域のあたたかいまなざしが子どもや親に注がれる協働のまちづくりをさらに進めることができるのではないかと考えます。
◆より豊かな イメージづくりから
こうした絵本のもつ可能性には、ほとんどの市民のみなさんが賛同してくださっています。そこで、望ましい絵本館のあり方について検討を深め、構想をより豊かなものとするため、市民のみなさんや専門家による「絵本館構想検討会議」を設けることとしました。
検討会議では、「基本方針(案)」をもとに、絵本のもつ可能性や意義、担い手づくり、連携のあり方、今後の進め方などを、さまざまな側面から柔軟な発想で検討し、建物だけではない「絵本館」事業全体のイメージを構想していきたいと考えています。また、先行事業として絵本館のサポーターになってくださる方たちのための講座なども予定しています。
検討の過程では、情報の発信・受信を十分に行い、具体的なイメージを共有しながら丁寧に進めていきますので、みなさんのご参加とご注目をお願いいたします。
■絵本館(仮称)パブリックコメント
市民のみなさんからいただいた主な意見(抜粋)
※寄せられたすべてのご意見は三鷹市ホームページに掲載しています。
………………基本的な考え方について………………
収集・展示を中心に
●選び抜かれた良質の価値ある資料を収集し、展示スペースを重視した館の運営を望みます。
●図書館の児童室と絵本館は、基本的に特徴を異にすると思います。絵本館では原画の展示がその中心であって欲しい。
参加型の事業を
●子どもたちのためには、参加型の絵本館を望みます。受け身でないものは、より面白いと思います。
絵本の案内人の教育機関
●身近なコミセンの図書室・学校図書館などに、信頼の出来る「絵本の案内人」がいて相談やガイダンスをしてくれる環境が望ましい。案内人の教育機関(案内人に経験を積ませるための場)として機能する程度でよい。
大人たちのために
●絵本は子どものためのとは限らないということを理解した運営を。我が家を離れていった絵本、子どもが好きだった絵本に再会を望む大人たちこそ、電車や自転車で、この地を訪ねてくるのです。
市民・子どもの施設に
●三鷹市が作り運営する絵本館であるなら、市民の税金を使うのですから、あくまでも市民のための施設であってほしいものです。
市外から来る人にも
●「ジブリ美術館」の行き、帰りに立ち寄って読み聞かせや原画展を楽しんでいただくのは「ジブリ美術館」の利用者数が多いだけに有効な方策であると思います。
身近な地域での環境整備や絵本関連事業を
●各コミュニティセンターの図書室を図書館化して絵本館とする。専門の職員を置く。乳母車をおしていける距離にあれば、助かります。小さい子をつれてバスに乗ることがどんなに大変なことか。
●「子どもにたいして絵本に身近に接する環境を整える」という最大の目的を外さない整備計画を望みます。そのために「三鷹市全域が絵本館!」といった方向性でもう一度検討して欲しい。
移動絵本館・配送
●絵本館を建てたから「さあいらっしゃい」ではなく、移動図書館のように絵本館が移動して、子どもたちのもとに行く。
●予約のあった本の宅配(「絵本館」とペイントをしたピザやさんのバイクのようなもので)、各施設(図書館、学校、コミュニティセンター、保育所、子育て支援施設など)間の本・絵本の配送。
図書館につなぐ役割
●絵本に親しむきっかけをつくるのが、絵本館で行われるさまざまな事業であり、その事業を子どもたちの日常につなぐ役割を担うのが図書館です。
図書館の分館に
●もし絵本館を建てるのであれば、図書館の分館としていただきたい。
●「図書館の分室」とすれば、収蔵室は不要になり、閲覧スペースを広く取れる。
●貸出のある図書室と、借りた絵本を三鷹の図書館ならどこに返却してもよいというシステムを。
まず図書館の充実を
●新たな建物を建てるより、図書館の児童担当の増員と、蔵書の充実を望みます。
●今の図書館にない機能、例えば、授乳スペース、ゴロゴロ寝ころんでもよい場所、ちょっとした飲食ができる場所、子どもが騒いで他の人に迷惑にならないような工夫が必要。可能な限り図書館を改装する。
建物整備は不要
●市内に1カ所絵本館ができても子どものこころの豊かさに大きな変化はないと思います。
●こじか幼稚園が、18年度末で閉園となります。その跡地に設置するのはどうでしょうか。今の園舎をそのまま使えます。
…………………運営計画について……………………
図書館、子ども関連施設、市民グループの連携を
●市民参加による「聞かれた 絵本館」。市内文化施設や学校、図書館、幼稚園・保育園、小学校、文庫やボランティアグループ、市外の絵本関連施設や絵本団体との連携・ネットワークを。
ある程度の声には寛容に
●図書館と違いある程度声を出してもいい施設にしてほしい。おとなしく声をださないでいるのが困難な障がいの人や、本を読んであげる人、落ち着きのない乳幼児のために、ある程度の声は、寛容に対応していただける施設があると助かります。
子どもに公共施設のマナーを
●親として、子どもに「図書館では静かに」というマナーを教えたいと思う。が、子どもはずーっと静かにしてはいられない。そのため、騒いでもいいスペースをあらかじめ設けてあり、ケジメをつけさせることが必要だと思う。
紙芝居・バリアフリー絵本も
●絵本と並んで重要な幼年児童のための文化財である「紙芝居」のことが抜けているのを残念に思います。
●バリアフリーの絵本などについて、ぜひ健常児も、障がい児もともに楽しめる場所と絵本を。
事業の提案
●子育て中の保護者を対象とした絵本講座。
●ブックスタートのフォローアップとしての絵本講座。●読み聞かせボランティアの養成講座。
●絵本館のボランティアや絵本に関心のある人を対象とした絵本セミナ一。
●絵本を書きたい/描きたい人のためのワークショップ。
●絵本作家を招いて講演会。
●英語の絵本の読み聞かせワークショップ。
●手づくりおもちゃや科学絵本を使った実験。
●紙芝居、絵本の読み聞かせ、昔話の人形劇や影絵などを声優や演劇の卵などに発注してはどうか。
●現在のような山本有三展は、新館に資料展示をして、記念館と新館と両方で行ってはどうか。
……………………施設計画について…………………
コンセプトを明確に
●限られたスペースを有効に利用するために、どのスペースを優先させるのか(明確なコンセプトを打ち出す必要も含めて)。
●有三記念館の限られた場であるからこそ、絵本文化の中から、どのような事業を選ぶのか、真剣に討議がなされることが必要です。
展示スペース
●温度湿度や空調を管理したしっかりとしたギャラリーは、絵本作家の方からも信用を得ることができ、より優れた絵本原画展の実現が可能となると思います。
閲覧・読書スペース
●フロアカーペット方式は子どもの読み聞かせの時の集中力に疑問視する説があります。外光を積極的に取り入れ、絵本の色彩を正しく読み取れるように。
●座り心地がよく、冬は暖かく、夏は涼しく感じられる畳の方が、フローリングやじゅうたんよりも適していると思う。
●作家別や書名のアイウエオ順の配架ではなく、年齢別、テーマ別 (季節の絵本、話題の絵本など )、コーナーを組み合わせた楽しく、気軽に絵本が選書できる工夫を望みます。
シアター・研修室について
●読み聞かせや紙しばいの実演の具体的な環境づくりとしてミニシアターのような空間の存在があるとイメージが高まり、癒される場所になるのでは。
●レクチャールームとして、階段式で、前方にステージとスクリーンがあると、絵本に関連する映像を見せたり、講演会などに、幅広く利用できると思う。同時通訳ブースなどもあるといい。
トイレ・授乳室について
●娘は四肢体幹機能障がいでオムツを使用しています。絵本が好きなので絵本館が出来たら、是非行きたいと思っていますので、オムツがえの出来るベッドの設置を切にお願いします。
●男性用トイレのオムツ替えスペースと、男性、女性それぞれのトイレの、子ども用便座。
●授乳室は、父親も入って赤ちゃんにミルクを与えていい空間と、母乳を飲む赤ちゃんのためにはカーテンで仕切られた空間。
カフェについて
●飲み物や軽食を提供するカフェテリアは不要と考えます。時を置かずして、近辺に、民間の個性的な(趣向のある)複数のカフェテリアが出来ることが予想される。
有三記念館の環境に配慮を
●三鷹市の宝である山本有三記念館の今の素晴らしい景観に手をつけないでいただきたく、当敷地を「絵本館」の候補地からはずしていただくようお願い申し上げます。
●こどもたちが訪れる場所であるとはいえ、静寂が守られることが第一。景観へ配慮するよりも利用者による有三記念館敷地への影響についての配慮をすべきです。
設計者選択に配慮を
●設計は、過去に子ども向け資料館や図書館などの経験のあるところに。図面や模型だけでは、開館してからの細部を、読めないことが、多々ある。
………………運営の方向性と今後の課題……………
専門スタッフの配置を
●絵本原画、創作ノート・構想メモなどを扱い、絵本作家や絵本関係者との交渉するには絵本や美術専門の学芸員が、絵本、絵本雑誌、絵本研究資料を扱い市民の相談に乗るには司書の配置が望まれます。
●絵本の専門家である職員の人材の確保とそういった人材を再生産できる施設。
●絵本という概念を、現代の視点で幅広くとらえられるキューレーターを起用してほしい。
有料・定員制について
●ある程度落ち着いて本を見る環境が整っている方がいいという意味で、定員制や、時間制が今後の検討課題なのだと思いますが、一方では思いたったときに、利用できる気軽さも欲しいと思います。
●有料化には反対です。
市民の運営参加を
●市民の声が運営に生かされる仕組み作り、絵本館のサポーターとなる「友の会」や「絵本館ボランティア」 の検討をお願いします。
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