広報みたか2003年8月17日2面
■三鷹市総合防災訓練
身につけよう! 自助の力 広げよう! 共助の輪
三鷹市総合防災訓練
7月26日に宮城県北部を震源として発生した地震は、犠牲者を出さなかったものの、それまで予測されていなかったことが次々と起こりました。一方、九州地方では観測史上まれにみる大雨に見舞われ、大きな被害が発生しました。
私たちは自然現象の意外性や恐ろしさを再認識すべきではないでしょうか。
そして、いつ、どこで、どのように発生するかわからない大災害に打ち勝つために、私たちに必要なのは十分な”自助の力”を身につけることと、力強い”共助の輪”を広げておくことです。
市では、毎年9月1日の防災の日を中心に、市内7地区で各自主防災組織が中心となり、地区の実情に応じた特色のある防災訓練を実施します。「自分の命は自分で守る」、「みんなのまちはみんなで守る」を合言葉にお近くの会場の防災訓練に参加しましょう。
防災課Tel.内線2283
震度6弱以上が1日に3回という観測史上初の連続地震が発生した宮城県北部の地域では、6千戸近くの家屋が損壊し、約2千400人の人たちが避難生活を送ることとなりましたが、死者が出ることなく震度の大きさのわりには被害が小さかったといえます。
その理由はなぜでしょうか。実は、この地方が平均37年という短い周期で繰り返し発生する巨大地震・宮城県沖地震を警戒する地域であるとともに、今年5月にも震度6弱規模の大きな地震を体験しており、地震に対する備えができていたことが大きな要因であると考えられます。
三鷹市で同規模の直下地震が発生した場合は、今回程度の被害で済むとはとても考えられません。今回の地震で最大震度を記録した付近の町と三鷹市の人口密度は40倍以上もの違いがありますし、8年前の阪神・淡路大震災でも、都市が地震には強くないことが実証されています。
このことからも、地震に対する事前の備えをしっかり行うことと、地震発生時の行動をしっかりと身に付けておくことがより重要であるといえます。
8月31日(日)〜9月7日(日)に市内各地区で実施される「三鷹市総合防災訓練」では、さまざまな訓練を通じて、大地震に対する”事前の備え”や”発生時の行動”を体験しながら学ぶことができます。
みなさんも各地区の総合防災訓練に参加して自助の力を向上させ、いざという時にご自身の身の安全そして家族を守るための技術を身に付けてください。
8月31日(日)
メーン会場 連雀地区
会場:第一中学校校庭
時間:午前9時〜午後0時30分
主催:連雀地区住民協議会・防災対策特別委員会 三鷹市
連雀地区の住民のみなさんは、
午前9時の大地震発生を想定し、
以下の順序で訓練を進行します。
(1) 各家庭における電気、ガスなどの出火防止、家族の安否および家屋の戸締りを確認。
(2) 一時避難場所の公園など(下地図参照)に集結。そこで実際の災害を想定した簡単な訓練を実施。
(3) 一時避難場所から訓練会場の第一中学校まで、安全な避難路を選択し徒歩で避難。
(4) 訓練会場(第一中学校)では午前10時に訓練を開始し、4つの訓練コーナーを巡回します。
(1)関係機関による災害時の対応の展示見学、(2)消火器や三角バケツによる初期消火訓練、(3)包帯法や心肺蘇生法など応急救護訓練、(4)防護衣着用やロープの結索などの体験
(5) 発災直後の住宅街を想定し、消防署など関係機関による救出救助や消火活動などの実演を見学します。
8月31日(日)
駅前地区
会場:産業プラザ前道路
時間:午前10時〜正午
主催:駅前地区自主防災連合会 三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、応急救護、本部設置運営、給食給水、119番通報訓練、情報連絡、災害弱者対策、担架搬送訓練
井の頭地区
会場:井の頭コミュニティセンター本館
時間:午前10時〜正午
主催:三鷹市井の頭地区住民協議会三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、応急救護、本部設置運営、給食給水
東部地区
会場:牟礼コミュニティセンター
時間:午前10時〜正午
主催:三鷹市東部住区防災連合会 三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、消防活動、応急救護、トリアージ、本部設置運営、給食給水
9月1日(月)
西部地区
会場:第二中学校
時間:午前10時30分〜午後0時30分
主催:三鷹市西部地区住民協議会 三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、消防活動、応急救護、本部設置運営、給食給水、情報伝達
大沢地区
会場:羽沢小学校
時間:午前10時〜正午
主催:大沢地域防災対策本部 三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、消防活動、救出救助、応急救護、本部設置運営、給食給水、情報伝達
9月7日(日)
新川中原地区
会場:新川あおやぎ公園ほか
時間:午前10時〜11時30分
主催:新川中原地区災害対策連合会三鷹市
〈訓練項目〉
出火防止、初期消火、可搬ポンプ運用、避難誘導、消防活動、救出救助、応急救護、医療救護、トリアージ、本部設置運営、避難所設置、避難所設営、給食給水、情報伝達、無線通信、伝言ダイヤル
いつかより 今がその時 地震の備え
大都市がはじめて大地震に襲われた阪神・淡路大震災の犠牲者の約9割が家屋の下敷きで亡くなり、80年前の関東大震災では火災で多くの方が犠牲となっています。
このような惨劇を二度と起こさないためには、一人ひとりが身の周りで起こる災害について考え、自らの命は自らが守る「自助の力」を高めることが防災の基本です。
「いつかより 今がその時 地震の備え」(東京消防庁防災標語)8月30日〜9月5日は防災週間です。この機会に備えの再点検を行い「自助の力」を高めましょう。
1 わが家の安全点検をしよう
(1)自宅周辺の特性や危険性を調べ、対応を考えましょう
(2)家の耐震診断と耐震補強
●家の耐震診断を受け、必要に応じて補強を行いましょう。
●塀や看板などが落下・転倒しないように補強しましょう。
●窓ガラスには、飛散防止フィルムなどを貼りましょう。
(3)家具などの転倒防止
震度5(強)以上になると、書棚の本が落下したり、テレビやタンスなどの重い家具が倒れる可能性があります。家具類は、L字金具などの転倒防止器具で固定しましょう。
2 火災を出さないために
地震による被害を少なくするためには、火災を発生させないことが重要です。そのためには、日ごろから小さな地震でも揺れを感じたら「地震 火を消せ!!」と声をかけあい家族全員が火を消す習慣を身に付けましょう。
消火の備えとして消火器や消火バケツなどを準備し、防災訓練などで使い方を覚えておきましょう。もし、出火した場合は、隣近所に協力を求めみんなで消し止めましょう。
◆地震時の火災を防ぐには3回のチャンスがあります。
◇チャンス1=揺れを感じたとき 『グラッ』ときた時、その瞬間をとらえ、使っているガスの火などを消します。
◇チャンス2=揺れがおさまったとき 大きな揺れの時は、まず机の下などに身を隠して、揺れがおさまってから消します。
◇チャンス3=出火したとき
もし、出火しても1〜2分はあまり燃え広がらないので、近くにある消火器具などで十分に消すことができます。
ただし、自力での消火は、火が天井に燃え移るまでが限度です。
3 非常用品を備えよう
大きな地震が起きると、電気、ガス、水道などのライフラインに被害が発生する恐れがあります。その時のために、みなさんのご家庭や職場でも非常用品を備えましょう
◆非常持出品 両手が使えるリュックサックなどに避難のとき必要なもの(飲料水、携帯ラジオ、衣類、食料品、マッチやライター、貴重品、懐中電灯、救急セット、雨具、ちり紙、電池など生活に欠かせない用品)をまとめ、目につく所に置いておきましょう。
◆非常備蓄品 地震後の生活を支えるもの、1人3日分程度
●停電に備えて…懐中電灯(予備の電池)
●ガス停止に備えて…簡易ガスコンロ、固形燃料
●断水に備えて…飲料水(ポリ容器などに)
◆防災準備品 地震直後の火災や家屋倒壊に備えるもの
●火災に備えて…消火器、三角消火バケツ、風呂水の汲み置きなど
●避難救出に備えて…スコップ、バール、防災シート、のこぎり、手袋など
三鷹消防署予防課Tel.47―0119内線521
三鷹市とJA東京むさし
災害時の応援協定を締結
7月12日、三鷹市と東京むさし農業協同組合との間で「災害時における農地の活用および生鮮食料品の調達に関する協定」が締結され、清原市長と、渥美東京むさし協同組合代表理事組合長との間で、調印式が行われました。
この協定は、三鷹市内に災害が発生し、または発生する恐れがある場合に、市の要請に基づいて、同組合の組合員が所有または管理する農地を、緊急避難場所、仮設住宅用地、資機材置き場などのためのオープンスペースとして活用することや、組合員が生産する生鮮食料品を購入することで市民のみなさんの安全確保や円滑な食料の供給を目的としています。
市内では、震災時にはオープンスペースも生鮮食料品も不足することが予想されることから、市としては来るべき震災に立ち向かうための力強い協働のパートナーとして期待しています。
家族を救った防災訓練
〜大地震発生直後の想定物語〜
夏休み最後の朝、マモルは家族と朝食をとっていました。午前9時、突然「ゴォーッ」と不気味な地鳴りと共に地震が発生、震度6強の激しい揺れが三鷹市を襲いました。
身の安全確保が最優先
「テーブルの下に!!」とマモル。あ然としていた両親と妹は、あわててテーブルの下に転がり込みます。食器棚からコップ、皿が次々に落下、破片が床を埋め尽くします。わずか30秒程の揺れが大変長く感じられました。
「くつを履かなければ」ここから動くには素足やスリッパでは大変危険です。マモルは、ガラスの破片に注意して玄関から4人分のスニーカーを取り出してきました。
被害を最小限にするために!!
すみやかな防災活動
「あ!火が!」突然、母が叫びました。見ると、ガスコンロ上のなべにエプロンが覆いかぶさり引火しています。「天井が燃え出すまでは消火できる。消火器!」とマモルは叫びながら台所の隅にある消火器を取り、火元に向かって噴射、無事火を消し止めました。母が念のためとガスの元栓や電気ブレーカーのスイッチを切ります。家族とわが家の無事を確認した後、マモルは表に出ました。壊れている家がいくつもあり、この地震で相当な被害が生じたことはマモルにもすぐに理解できました。数本の煙の筋が見えますが、消防車のサイレンは聞こえません。
隣近所で助け合い
ふと、隣の家を見ると一部屋根が崩れています。隣の一人暮らしのおばあちゃんが心配です。「おばあちゃーん」と叫びながら家に駆け込みました。玄関脇の茶の間で倒れた柱と食器棚に足をはさまれ倒れ、動けないでいます。「大丈夫?」「ううっ」額からは少量の出血ですが、柱にはさまれた足には大量の出血がみられます。急がなければ。マモルは救急車を呼ぼうとしましたが、電話も携帯電話もつながりません。
大声で自宅にいる両親と妹を呼び、バールやジャッキなどの工具と救急箱を持ってくるよう言いました。工具と救急箱はいつも家の車の中に置いてあります。工具を利用し、4人でどうにか柱の隙間をつくり、おばあちゃんを助け出しました。
次にマモルは救急講習で学んだ止血法などを必死に思い出し、三角巾と包帯で額と足の応急手当てを行いました。「マモルちゃんありがとう」とおばあちゃんの一言にマモルはようやく安堵感を覚えました。
みんなの地域はみんなで守る
周りを見ると、まだ救出や消火活動が続いています。200メートル先では数軒の家が倒壊しています。その1軒から煙が出て、出火元の2軒先の角からバケツリレーの列が火の元に連なるのが見えます。
マモルたちは自宅の外塀にあった街頭消火器を手に駆け寄りました。すると隣の家屋では、下敷きになった人を助け出そうとしていました。
消火と救助、4人は二手に分かれます。みんな声を掛け合いながらも必死の形相です。しばらくして火が消え、続いて下敷きの人も助け出すことができました。
この時マモルの腕時計は10時を過ぎたばかりで、地震発生からまだ1時間しか経過していませんでした。
役に立った防災訓練
マモルは、防災週間に開催する地域の防災訓練に毎年参加しており、今回の地震ではその時学んだことが大変役立ちました。
訓練で得た防災の知識や技術は、災害時のいざという時ばかりか、普段の生活でも大いに役立ちます。一度身に付けた技術は、たとえ忘れかけても体は覚えています。全く知らないのとは比較になりません。
また、日常生活で使うものでも、ちょっとした工夫で災害時にも役立ちます。
マモルは「毎年、防災訓練に参加していて良かった」としみじみ思いました。
―おしまい―
【主】主催者 【人】対象・定員 【日】日時・期間 【所】場所・会場 【¥】費用(記載のないものは無料) 【物】持ち物 【申】申込方法 【問】問い合わせ 【保】保育あり