緑と水の公園都市 三鷹市
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みたかの教育 2005年1月9日1面

■現在の小・中学校に在籍しながら、義務教育9年間の一貫教育をめざします。

 三鷹市教育委員会は、このたび、「三鷹市立小・中一貫教育校構想に関する基本方針(案)」を作成しました。これまで意見交換会やアンケート調査を通じて、ご意見をいただきました保護者・市民の方々、児童・生徒の皆さんに深く感謝を申し上げます。
三鷹市の小・中一貫教育校では、9年間の一貫したカリキュラム(指導計画)のもとに行う小・中学校間の児童・生徒や教員の強固な連携と交流を柱とし、これを支えるコミュニティスクールを土台とした学校づくりを、各中学校区で主体性をもって、着実なステップを踏みながら進めてまいります。
この基本方針(案)の内容は、その実践の基本的方向を示すものです。この案について、さらに充実したものとするために、今後も、保護者・市民の皆様とともに検討を進め、平成17年3月末までに最終的に基本方針を策定してまいりたいと考えています。
基本方針(案)の解説につきましては、教育委員会指導室のホームページに掲載しております。

保護者・市民意見交換会日程
●1月27日(木) 午前10時〜 市立 第二中学校 
●2月 1 日(火) 午後7時〜 市立井口小学校
●2月 5 日(土) 午前10時〜 市立 第二小学校
●2月 8 日(火) 午後7時〜 三鷹市教育センター

「二中学区3校合同研究会」の公開
●1月26日(水)午後1時45分〜 第二中学校
内容/授業研究・研究協議会

この基本方針(案)では、平成16年7月にまとめた「基本方針」(素案)の内容を次のように変更しました。
●基本方針の内容は、保護者・市民の方々にできるだけ分かりやすいものに改めました。
●基本的方向としては、義務教育9年間の一貫カリキュラムのもとに行う小・中学校の強固な連携とこれを支えるコミュニティスクールを中核としました。
●「豊かな心をもち、心身ともに健康で、たくましく生きる児童・生徒を育成する」ことを学校教育の指導目標として、各中学校区単位でそれぞれの特色を生かしながら、具体的な指導目標を設定します。
●最終報告書が提案していた「2・3・4の学年区分」については、学年区分としての区分けは行わず、一貫カリキュラムの作成の中で、児童・生徒の発達段階に応じて、各段階において重点化すべき学習のねらいを明確にします。また、小・中学校間の接続だけでなく、9年間を通した各学年間の接続として、各学年での学習内容の確実な定着を図ります。
●9年間を見通した特色ある学習活動として、地域(三鷹)学習・英語学習・IT学習のほか、生き方・進路指導などを追加し、これらについて各中学校区でその実情を踏まえ、段階的に取り組みを進めます。
●小・中学校の接続に関しては、一貫カリキュラムによる実践活動の積み重ねを図り、小学6年生と中学生とが授業や行事などの交流を通じて、互いの学びを深めていきます。


■基本方針(案)

1 小・中一貫教育校がめざすもの
1(1) 小・中一貫教育校の意義
児童・生徒は現在の小・中学校に在籍しながら、義務教育9年間の一貫教育を推進します。

 三鷹市では、子どもたちに確かな学力を定着させ、豊かな人間性をはぐくむことをめざして教育活動を進めてきました。しかしながら、社会環境の急激な変化等によって、学校教育にも様々な課題が生じています。子どもたちの学習意欲の低下や家庭での学習習慣の未定着、つまづきをかかえたままでの進級・進学、さらには学年進行とともに増大する不登校などの問題に直面しています。
児童・生徒の心身の発達段階における学力形成の特質や生活指導のうえでの課題が顕在化する時期などを考慮し、義務教育全体の中で学習内容や指導方法のあり方を見直し、各学年間や小・中学校間の円滑な接続を図る必要があります。
そこで、本市の小・中一貫教育校は、これらのことを踏まえ、児童・生徒一人ひとりの個性や能力を伸ばし、無理なく次のステップに移行できるように、義務教育9年間の一貫したカリキュラム(指導計画)のもとに、小・中学校が連続して、継続的に個に対応できるような教育システムを構築していくものとします。そして、児童・生徒は現在の小・中学校に在籍しながら、児童・生徒の交流や教員の交流を行い、保護者や地域の人々とともに、魅力ある教育を推進していきます。

1(2) 指導目標と育てたい児童・生徒像
豊かな心をもち、心身ともに健康で、たくましく生きる児童・生徒を育成します。

 三鷹市の学校教育の指導目標は、「豊かな心をもち、心身ともに健康で、たくましく生きる児童・生徒を育成する」こととしております。
小・中一貫教育校では、この目標のもとに、義務教育9年間の一貫教育を通じて、自ら学び、自ら考える力や生涯にわたって学び続けようとする意欲・態度などを養い、児童・生徒に確かな学力を定着させ、豊かな人間性をはぐくみます。このことを基本として、各中学校区単位でそれぞれの特色を生かしながら、育てたい児童・生徒像を設定し、具体的な指導目標を定めます。

1(3) 小・中一貫教育校の特色
小・中学校の強固な連携を図り、地域と一体となった学校づくりを進めます。

 三鷹市がめざす小・中一貫教育校の特色は、義務教育9年間を通した一貫カリキュラム(指導計画)のもとに、小・中学校間の児童・生徒や教員の連携・交流に重点を置いた「強固な連携」を図ることにあります。
また、小・中一貫教育校を支えるものとして、保護者や地域の方々が学校運営に積極的に参画する「コミュニティスクール」を取り入れた学校づくりを行います。
このように、小・中学校間の連携・交流を深め、基礎・基本の確実な定着と個性・能力の伸長を図る学習活動を充実するとともに、地域と一体となった学校づくりを進めます。

1(4) 小・中一貫教育校に期待される効果
子どもたちの確かな成長と学校・地域の連携の輪の広がりが期待できます。

 小・中一貫教育校においては、次のような効果が期待されます。
○小・中一貫教育校では、これまで6年間・3年間でとぎれていた指導を9年間で子どもたちを育てる指導に変えることで、子どもたちの確かな成長がより一層期待できます。
○異学年間や小・中学校間での異年齢集団による活動、地域社会とのかかわりの中で行われる体験活動などを通して、豊かな人間性と社会性をはぐくむことが期待できます。
○これまでそれぞれの小学校・中学校単位で行われてきた学校と地域とのかかわりを維持しながらも、中学校区に拡大された中で、地域ぐるみで子どもたちの教育を応援していきます。このことにより、それぞれの学校だけでは解決することが困難な課題にも、お互いに協力し合いながら取り組んでいくことが期待できます。

2 小・中一貫教育校における学習活動の充実
2(1) 9年間の一貫した カリキュラムの作成
義務教育9年間の各発達段階に応じて重点化すべき学習のねらいを明確にして、一貫したカリキュラム(指導計画)を作成します。

 現行の学習指導要領の範囲内で、義務教育9年間の一貫したカリキュラム(指導計画)を作成します。作成に当たっては、児童・生徒の発達段階に応じて、各段階において重点化すべき学習のねらいを明確にします。「基礎・基本を繰り返して習熟を図る時期」、「基礎・基本を生かして思考力・判断力・表現力をつける時期」、「基礎・基本を応用して個性・能力を伸ばす時期」などの学習段階で、重点的なねらいを設定し、各学年における学習内容の到達目標を定めます。このことにより、9年間を通して、各学年で学習内容を確実に定着させ、小学校と中学校との無理のない接続を図ります。カリキュラムの開発の中では、学習内容や指導方法のほか、教材・教具や評価のあり方などを検討します。
障がいのある児童・生徒への特別支援教育については、9年間の継続した教育計画を踏まえ、「個別指導計画」の作成をはじめ、校内体制の整備や特別支援教育コーディネーターの設置など、実施可能なものから取り組みます。

2(2) 9年間を見通した特色ある学習活動の展開
地域(三鷹)学習、英語学習、IT学習、生き方・進路指導など、特色ある学習活動を展開します。

 各教科での一貫カリキュラムによる学習活動を充実しながら、あわせて9年間を見通した特色ある学習活動として、次のような活動を推進します。
○地域(三鷹)学習--児童・生徒が地域や社会に関心をもち、主体的にかかわる態度を育てます。
○英語学習--小学校の段階から国際理解を深め、コミュニケーション能力を高めます。
○IT学習--学習活動の中で、コンピュータの操作技能・情報活用能力や情報モラルを養います。
○生き方・進路指導--9年間を通して、自分の生き方や進路を考え、将来を切り拓いていく能力を身につけます。
これらの特色ある学習活動は、各中学校区の実情を踏まえ、段階的に取り組んでいきます。

2(3) 小・中学校の児童・生徒、教員の連携・交流
児童・生徒の交流活動や教員の相互乗り入れにより、小・中学校の円滑な接続を図ります。

 小・中一貫教育校においては、児童・生徒は現在の学校に在籍しながら、小学校と中学校との間で、授業交流や学校行事などの交流を深め、9年間を通して互いに人間関係が深まるような交流活動を行います。また、小・中学校の教員は、相互に連携して学習指導や生活指導を行います。
特に、小・中学校の接続に関しては、一貫カリキュラムによる実践活動の積み重ねを図り、小学6年生と中学生とが授業や行事などの交流を通じて、互いの学びを深めていきます。

2(4) 学習の指導方法と指導体制の充実
小・中学校での少人数指導・習熟度別学習、小学校高学年での選択学習や部分的教科担任制による指導、中学校での選択学習の充実に向けて、人的配置を含めた指導体制の充実と学習環境の整備を図ります。

 児童・生徒に基礎・基本を定着させ、「少人数指導」(学級の枠を超えた少人数の学習グループを弾力的に編成して行う)と「習熟度別学習」(一人ひとりの学習の理解の程度や習熟度、興味・関心に応じた、きめ細かな学習指導を行う)とを組み合わせて、学習活動の充実を図ります。特に、読解力、文章力、計算力の充実と関連が深く、積み重ねの学習が必要な教科である国語、算数・数学での指導に重点をおいて取り組みます。
また、自ら学び、考える力など個性・能力の伸長を図るため、小学校高学年での選択学習や部分的教科担任制による指導の実施、中学校での選択学習の充実を図ります。
これらの学習活動を充実するため、補助教員やALT(外国語指導助手)の採用のほか、教育ボランティアの一層の活用、教員等の研修の充実を図るなど、人的配置を含めた指導体制の充実と学習環境の整備を図ります。

3 小・中一貫教育校を支えるもの
3(1) コミュニティスクール
地域ぐるみで子どもたちの教育を応援する「コミュニティスクール」を積極的に推進します。

三鷹市の特性を生かして、小・中一貫教育校の学区域の中で、保護者や地域の方々が学校運営に参画し、地域ぐるみで子どもたちを応援する「コミュニティスクール」を積極的に推進します。
三鷹市がめざす「コミュニティスクール」では、学校と保護者・地域のつながりをより一層深め、地域の人々が学校運営に積極的に参画できるようにします。 
また、教育ボランティアや学校外の特別講師として、子どもたちの学習活動に多方面から参加して、地域全体で学校を支える仕組みをつくります。学校の教育力を家庭・地域の学びの場に活用することで、学校・家庭・地域が一体となった学びと育ちあいの新しいコミュニティの核となります。その中核となるのが、現在各学校に設置されている「学校運営連絡会」であり、今後そのあり方を検討していきます。
「コミュニティスクール」の取り組みを側面から支援するために、全国に先駆けて市内全小・中学校に整備を完了した地域イントラネット(地域内限定コンピュータ通信網)を活用して、学校と家庭・地域が情報を共有し、教育活動に生かしていきます。小・中一貫教育校では、共通のネットワークを構築するとともに、地域イントラネットの運用を支える体制を整備します。

4 今後の取り組み
4(1) モデル校での実践と全中学校区への拡大
平成18年度に、第二中学校区をモデル校として、小・中一貫教育校を開設し、着実なステップを踏み、その実践を検証した上で、全中学校区への拡大を図ります。

 平成17年度においては、義務教育9年間の一貫したカリキュラムの研究開発を行うとともに、小・中学校の教員による学習指導面での連携や学校行事等を通して児童・生徒の交流活動などを実践します。
平成18年度には、第二中学校区(第二小学校、井口小学校、第二中学校)をモデル校として、小・中一貫教育校を開設します。モデル校での3年間程度の実施期間において、段階的取り組みを行います。小・中学校の接続のあり方や学習活動の充実について、毎年度実施目標と実施方法を定め、その成果と課題を検証しながら、着実な改善と実践を積み重ねていきます。
なお、モデル校での段階的取り組みを進める中で、教育課程の一部において、現行の学習指導要領の基準によらない自由な編成等が必要となった場合には、これを可能とするため、国の構造改革特区制度を活用します。
モデル校での3年間程度の実践を検証した上で、全中学校区への拡大を図ります。モデル校での実施期間中を含め、他の中学校区でも一貫カリキュラムの研究や小・中学校間の実践的な交流活動を進めるとともに、情報提供や研究会の設置、研修会の開催など、必要な取り組みを行います。

4(2) 「開設準備検討委員会」の設置
幅広い市民の参加を得て「開設準備検討委員会」を設置し、具体的な検討を行ったうえで、実施案を作成します。

 基本方針の策定後に、「開設準備検討委員会」を設置し、基本方針に基づいて、開設準備にあたっての具体的な検討を行います。この委員会は、学校関係者、PTA・保護者代表、同窓会代表、地域市民代表、公募市民、学識経験者などで構成します。
検討すべき主な課題として、(1)一貫カリキュラムの作成と学習指導方法の充実、(2)教員の指導体制の整備、(3)「コミュニティスクール」の仕組みづくりなどがあります。教育委員会は、「開設準備検討委員会」での検討結果を踏まえて、実施案を作成します。


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