みたかの教育2018年9月16日1面
■地域ぐるみで学校教育を支援 各学園のコミュニティ・スクール委員会の取り組みをご紹介します
コミュニティ・スクールは、学校・保護者・地域が連携し、ともに学校教育に参画する仕組みです。コミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育を行っている三鷹市では、小・中一貫の7つの学園ごとに、PTA、地域の団体や協力者、教員等で構成する「コミュニティ・スクール委員会」(以下、CS委員会)が設置されています。CS委員会は、学校運営に関する協議や評価を行い、改善に向けて取り組むとともに、保護者や地域による学校教育支援を推進しています。
地域の人財にご活躍をいただきながら、特色を活かし、工夫をこらした各学園の学校教育支援活動について、CS委員会の皆様から紹介していただきました。
→指導課TEL内線3245
にしみたか学園(第二小・井口小・第二中)
地域の協力者を開拓し学校に繋ぐ活動を広げる
にしみたか学園CS委員会では、「キャリア・アントレプレナーシップ教育」「自主学習の推進」「地域人財の確保・活動の支援」に力を入れています。
キャリア・アントレプレナーシップ教育では、中学生の職場体験や小学生の職場訪問の受け入れ先となる地域の事業所の新規開拓や調整、引率ボランティアの募集、職業人による講演の講師選定などを行っています。
自主学習の推進については、漢検や英検の学校での団体受験の準備や、今年度から始まった「みたか地域未来塾」(放課後の学習・二中カフェ)の学習支援員の募集を担当し、子どもたちの学習意欲を高めるお手伝いをしています。
地域人財の確保・活動の支援については、昔の暮らしや戦争体験について語ることができる、ニュースポーツや伝統文化体験の講師ができるなど、様々な技能や経験を持つ地域の人財と学校を繋ぐ役割を果たしています。
にしみたか学園は、保護者・地域が学校教育活動にたいへん協力的な地域です。これからも、子どもたちのより良い学びのために、学校・保護者・地域を繋ぐ活動を広げていきます。
三鷹中央学園(第三小・第七小・第四中)
CSから独立した学校支援組織と連携し持続可能な支援活動を展開
三鷹中央学園CS委員会では、「学習ボランティア」「支援相談窓口」「みたかSCサポートネット」の3本の柱を中心に、子どもたちの学びを応援しています。
学習ボランティアは、校外引率や算数の丸付け、家庭科や図工、音楽の実技補助など授業のお手伝いをしています。有志の保護者による事務局が、教員からのボランティアの依頼とボランティア登録者からの参加受付などの窓口となっており、現在、155名もの保護者や地域のボランティアが登録しています。
支援相談窓口では主に、地域をフィールドにした調べ学習、伝統文化体験や昔遊びなどの学習活動に、地域の人財をゲストティーチャーとして紹介するなどの支援をしています。
みたかSCサポートネットは、CS委員会から独立した学校支援組織(一般社団法人)です。防災教育、放課後や夏休みの補充学習、漢検・数検・英検の団体受験の実施など、学園が取り組んできた先進的な教育支援活動を担い、CS委員が交代しても、これらの活動が継続・発展できる仕組みをつくっています。
鷹南学園(中原小・東台小・第五中)
学校を支援する「仲間の輪」を広げるために
学校教育支援活動を継続するためには、持続可能な仕組みをつくることが大切です。そのためには、人財の確保が不可欠であり、鷹南学園CS委員会では、保護者や地域のコミュニティ・スクールへの理解を深め、支援活動に参加するサポーターの裾野を広げることに力を入れています。
鷹南学園では、「鷹南っ子ジャンプアッププラン」に基づき、(1)学習習慣の定着、(2)挑戦心、やりとげる力、協働する力の育み、(3)バランスのよい体力向上、(4)いじめのない学園づくりという4つの重点テーマの実現のために、数々の取り組みを行っています。
サポーターの募集については、あらゆる機会に情報発信しているほか、学校支援ボランティア募集システムが更新されたことを踏まえ、現在、同システムのボランティア登録用ガイダンスを作成するなど、システムの充実に取り組んでいるところです。また、今年度から配置されたCS推進員と協力し、広報資料の作成や、人財のコーディネートを進めています。
子どもたちのための活動は楽しく、大人同士のつながりも深めます。「鷹南による、楽しいCS」を運営する仲間として、あなたのお力もぜひ!
■教育委員コラム「教育委員会による学校訪問」
教育委員会 委員 池田 清貴(いけだ きよたか)
三鷹市教育委員会では、毎年、いくつかの学校を訪問し、校長先生から学校の状況をうかがい、実際に全クラスの授業をみせてもらっています。
学校訪問をするといろいろなことを感じます。子どもたちが落ち着いてじっくりと学んでいるぞ、先生方が協力しあって、よく練られたいい授業をされているぞ、などと頼もしい思いをすることがほとんどです。でも反対に、あれ、何だか子どもたちに元気がないぞ、先生方はお忙しいのかな、などと思ったりすることもあります。私たちは、そうした思いを校長先生に伝えて、次に訪問するときを楽しみにしながら帰ります。
私が学校訪問をしてきた中で、印象深かった授業にこんなものがありました。黒板に、何やら難しそうな漢字がたくさん書かれた模造紙がはってあります。「今有雉、兔同籠、上有三十五頭、下有九十四足。問:雉、兔各幾何?」
漢文の授業ではありません。小学校の算数の授業です。先生が、この中で分かる漢字はありますかと問いかけると、子どもたちから、頭、足などと声が上がります。そして、先生からヒントをもらいながら、キジ、ウサギという漢字が分かり、そのうちに子どもたちは、キジとウサギの数が問われていることに気付きます。「キジとウサギが同じカゴの中に入っていて、頭は35個、足は94本。さて、キジとウサギは何匹?」という問いです。そう、つるかめ算の授業です。この題材は、後から調べたところ、中国の南北朝時代に書かれた「孫子算経」という算術書の中にある問題だそうです。子どもたちは昔の中国の子どもたちもつるかめ算を学んでいたことを聞いて驚き、学びを深めていきます。とても楽しい授業ですね。先生の周到な準備に脱帽します。
このような授業との出会いを楽しみにしながら、今月もまた学校に足を運びます。
池田清貴氏は、平成30年5月26日付けで教育委員会委員に再任されました。池田委員は2期目で、任期は3年間です。
【略歴】
弁護士(東京弁護士会所属)。現在、東京都児童相談所非常勤弁護士、中央大学法科大学院非常勤講師、東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する特別委員会委員、日本弁護士連合会子どもの権利委員会委員、日本弁護士連合会家事法制委員会委員などを務める。