令和7(2025)年5月9日、第41回太宰治賞(株式会社筑摩書房・三鷹市主催)の選考委員会が三鷹市下連雀二丁目の「みたか井心亭(せいしんてい)」で開かれ、選考委員4氏(荒川洋治氏、奥泉光氏、中島京子氏、津村記久子氏)による厳正な選考の結果、受賞作が決定しました。
息子の不登校に悩む四十代の「私」。美容品を扱う店でテスターを使用したその日から、祖母の霊を降ろせるようになってしまった。掃除に打ち込む「私」の傍らで、もの言わぬ祖母は何をどう感覚しているのか。重曹と洗顔料と生家の思い出を携えて、パート主婦が越冬する。
中島京子さん
最終候補作品はどれも粒ぞろいで、選考会では白熱した意見が交わされた。受賞作は、女性の日常を題材にした作品で、候補作の中でも特に作者の細部を描く意識やセンスが評価され、受賞となった。
受賞した前田 知子(まえだ・ともこ)さんは、宮城県出身、千葉県在住の49歳。
受賞の知らせを受けコメントをいただきました。
「最終選考の日は複雑な気持ちでした。受賞したいのか、それとももっと修練を積みたいのか。受賞決定の電話連絡を受けたあとは次第に喜びがわいてきたので、そういう自分にほっとしました。 見上げつつ憧れていた文学賞でした。応募者として励める場所があったことに、感謝を申し上げたいです。」
受賞作及び最終候補4作品と選考委員の選評などを収録した「太宰治賞2025」は、筑摩書房から発売予定です(6月19日(木曜日)発売予定)。