三鷹市と株式会社筑摩書房との共同主催で復活後26回目となる「太宰治賞」の最終選考委員会を令和6年5月10日に開催し、選考委員の荒川洋治さん、奥泉光さん、中島京子さん、津村記久子さんにより、1,405編の応募作品の中から、第40回太宰治賞が市街地ギャオ(しがいち・ぎゃお)さん(筆名)の「メメントラブドール」(めめんとらぶどーる)に決まりました。
「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を喰う「私」、男の娘コンカフェでキャストな「私」、SIer企業でダウナー院卒若手社員をつとめる「私」、高専時代は姫でいられたかつての「私」、その武器ももはや壊れ始めている「私」、それでも誰かを欲しがる「私」、幸か不幸かすべてが己と理解しつつも世界にエラーが起きていく。貼りつけられたペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。
奥泉光さん
性的マイノリティを扱った作品。ネット用語を駆使し、様々な新しい言葉を取り込んで小説をつくるスタイルで、複数の人物たちがいきいきと躍動し、最終候補作品の中で最も小説としての魅力を感じた。
受賞した市街地ギャオさんは、大阪府出身の31歳。受賞の知らせを受けコメントをいただきました。
「これからメメラブを読んでくれるあなたへ。文学ガチ勢ですか? それとも公募ガチ勢? ただの物見遊山とか? 褒めたい? 腐したい? 読まなきゃわかんないよね。ナニモクでも、興味を持ってもらえて本当に嬉しいです。ことばで会いましょう。」
受賞作及び最終候補4作品と選考委員の選評などを収録した「太宰治賞2024」は、筑摩書房から発売予定です(6月21日(金曜日)発売予定)。