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第39回太宰治賞が西村亨さんの『自分以外全員他人』に決まりました

三鷹市と株式会社筑摩書房との共同主催で復活後25回目となる「太宰治賞」の最終選考委員会が5月11日に開催され、選考委員の荒川洋治さん、奥泉光さん、中島京子さん、津村記久子さんにより、1246編の応募作品の中から、第39回太宰治賞が西村亨(にしむら・りょう)さんの『自分以外全員他人』(じぶんいがいぜんいんたにん)に決まりました。

写真:第39回太宰治賞受賞者の西村 亨さん
第39回太宰治賞受賞者の西村 亨さん

受賞作「自分以外全員他人」

あと1年半、あと1年半待てば俺は自殺できる――。マッサージ業界でフリーランスとして働く柳田譲。不安定な日々を過ごし、生きる支えも希望もなく、45歳が限界だと思っていた男は自らに死亡保険をかけ、自殺でも保険金が下りるようになる日を待っていた。人とうまく関係を築くことができず、母とも母の再婚相手とも分かり合うことはないまま家を出て、職場の同僚や客ともおおよそ心地の良い会話はできない。鬱で退職した元同僚の真似をして始めたサイクリングだけが唯一の心のよりどころだったが、逆走する自転車や幅寄せしてくる車を見かけるたびに腹を立て、気が狂いそうになるのを必死で抑える日々。極めつけは入居しているマンションの駐輪場での置き場所トラブル。自分の魂そのものになった自転車を屋根付きの駐車場に止めたい、それだけだったのに、自分はなにも悪いことをしていないはずなのに。日常が怒りに染まっていく中年の破滅の物語。

選考委員の評

受賞者の西村 亨さん

受賞した西村亨さんは、鹿児島県出身の46歳。

第39回太宰治賞最終候補作品

※受賞作および最終候補作のすべてと選考委員の選評などを収録した『太宰治賞2023』は、筑摩書房から6月下旬発売予定です。

関連リンク

太宰治賞