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第37回太宰治賞が山家望さんの「birth」に決まりました

三鷹市と株式会社筑摩書房との共同主催で復活後23回目となる「太宰治賞」の最終選考委員会が5月10日に開催され、選考委員の荒川洋治さん、奥泉光さん、中島京子さん、津村記久子さんにより、1548編の応募作品の中から、第37回太宰治賞が山家 望(やまいえ・のぞみ)さん(筆名)の『birth』に決まりました。

写真:第37回太宰治賞受賞者の山家 望さん
第37回太宰治賞受賞者の山家 望さん

受賞作「birth」

一ノ瀬ひかるは幼い頃、母に棄てられ、施設で育ち、高校を卒業して社会へ出た。手元に残された母子手帳が唯一の母とのつながりだった。誰も迎えに来てくれなかったとしても、母子手帳がある限りひとりぼっちではなく、ちゃんと存在が証明されている子どもなのだと実感することができた。わずかな記憶と、母子手帳に書かれた愛されていたはずの記録、そして児童憲章の理念を心の支えにしながら、余裕のない暮らしを送っていた。

ある日、ひかるは公園で誰かが落とした母子手帳を拾う。そこに記された母親の名前は「松島ひかる」。同じ名前で、生年月日まで同じだった。その母子手帳をクリニックへと届け、他人とは思えない松島ひかるがどんな母親であるかを見届けるためにひとり待つ。しかし、ようやく現れた松島は思わぬ行動を見せる-。

選考委員の評

受賞者の山家 望さん

受賞した山家 望さんは、東京都出身・在住の33歳。受賞の知らせを受け、「作家としての私の土台を醸成してくださった三鷹市が、共催する賞をいただけたことに大変うれしく思います。今後もより一層励んでまいります」と喜びを語りました。

第37回太宰治賞最終候補作品

受賞作および最終候補作のすべてと選考委員の選評などを収録した『太宰治賞2021』 は、筑摩書房から6月下旬発売予定です。

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太宰治賞