コナラ(小楢)


 コナラはクヌギと並んで武蔵野の雑木林の代表的な樹木です。両種ともドングリ(団栗)のなる、ブナ科の樹木です。コナラは、時には高さ30メートル以上にも達する落葉高木ですが、雑木林では幹の直径が10センチメートルくらい(高さは10メートル以下)になると伐採され、薪や炭の原料、シイタケのほだ木などとして利用されてきました。その株元から力強く萌芽した幹をまた20年くらい育て、直径10センチメートル程になったものを伐採するサイクルを繰り返すという方法で維持管理されてきました。雑木林は、現在三鷹周辺で見られるものよりももっと樹高が低く、林の中にも光が降り注ぐ明るいものであったようです。落ち葉は畑の堆肥に利用され、持続可能な社会の基礎として植物の持つ力を利用していたのです。少し標高の高い山地に見られるミズナラのことをオオナラとも呼びますが、このオオナラに対して、コナラと呼ばれています。

 ブナ科の樹木は、いずれも私たち日本人の生活に密着したものが多く、屋敷林の防風林として植えられた常緑樹のシラカシやスダジイ、備長炭にするウバメガシなどの実もいずれもどんぐりですし、ブナやクリ等もブナ科です。栄養価の高いこれらの実は、人間を含め、様々な生き物に利用され、雑木林の豊かな生態系を作る主人公といってよいでしょう。

 燃料としての利用のなくなった雑木林はすっかり姿を変えてしまっていますが、コナラは、葉にもさまざまな昆虫が集まりますし、幹に滲み出す樹液にカブトムシやカナブン、チョウなどが集まる様子は、さながら森の食堂のようで、都市の中で生物多様性を維持する貴重な存在となっています。どんぐりからの芽生え、銀色に輝く新緑、昆虫がたくさん集まる夏、味わい深い秋の紅葉、冬枯れの繊細なこずえなど四季折々のようすは、落葉広葉樹ならではの魅力といえます。


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